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エクリプスレイン ~デッキと仲間と、俺たちの青春~  作者: 鳥雛


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第62話「ショップ:かちゅうのくり」

土曜日。


校門の前に一台の車が止まっていた。


運転席の窓が開く。


「はい、全員乗って」


瑞樹先生だった。


レンジが顔をしかめる。


「……マジか」


カエデも少し引いている。


「先生の運転……」


ハルトも同じように怯える。


レンジが真顔で言う。


「シートベルト、絶対締めようっと」


カエデも頷く。


「あとドリンクは飲まない方がいい」


ハルトも慌ててシートベルトを締める。


その様子を見ていた希美が言う。


「なにそれ」


「そんなにやばいの?」


リアが静かに言う。


「……乗れば分かる」


全員が車に乗り込む。


瑞樹先生は満面の笑みでハンドルを握る。


「今日は大会前だからね」


「ちょっとだけ、“無駄を削る公道最速理論”見せてあげるわ」


レンジ

「やっぱそれかよ……」


車が発進する。


加速が滑らかに速い。

ブレーキも柔らかいのに減速が正確。

車線変更も迷いがない。


カエデ

「ちょ、ちょっと速くないですか……」


ハルト

「景色が流れてる……」


レンジ

「だから言っただろ……」


しかしその中で一人だけ普通に座っている人がいた。


希美だった。


窓の外を見ながら普通に言う。


「運転うまいね」


車内が静かになる。


レンジ

「……え?」


カエデ

「怖くないの?」


希美は首をかしげる。


「全然?」


「むしろ無駄なくて上手くない?」


瑞樹先生が嬉しそうに言う。


「分かる?希美ちゃん」


「そうなのよ、無駄な加速と無駄なブレーキが一番遅いの」


リアが小さく言う。


「瑞樹先生、ほどほどに」


リリも静かに言う。


「事故だけはやめてくださいね」


瑞樹先生は笑う。


「大丈夫よ」


「事故はしないわ」


数分後。


車は滑るように駐車場へ入る。


「はい、到着」


瑞樹先生が指差す。


「ここがカードショップ――」


「かちゅうのくり」


店の前にはすでに何人かのプレイヤーがいた。


大会前だからか、人が多い。


レンジが店を見ながら言う。


「……人多いな」


マックスも周りを見る。


「大会前って感じだな」


樹里は店を見ながら言う。


「前に来た時より、人の雰囲気が違う」


リリも小さく頷く。


「みんなデッキ仕上げに来てるのね」


リアは店の前に立っている人たちを一人ずつ見る。


「……何人か、強いな」


ハルトは店を見る。


前に来た時は、楽しい場所という感じだった。


でも今日は違う。


強い人が集まる場所。

大会前の空気。


瑞樹先生が振り向いて言う。


「さあ、行きましょう」


「大会前の最後の調整よ」


そして少しだけ笑う。


「今日はね」


「タッグペア同士で行動しなさい」


「デートのつもりでね」


一瞬、全員が固まる。


レンジ

「は?」


カエデ

「デ、デート!?」


ハルト

「えっ……」


希美は普通に言う。


「まあ、タッグだからそういうもんじゃない?」


マックスが笑う。


「先生、面白いこと言うな」


リリは少しだけため息をつく。


「……まあ、間違ってはいないわね」


リアは静かに言う。


「タッグは一緒に行動するものだからな」


カエデは少し顔を赤くしながらハルトを見る。


「じゃ、じゃあカード見に行こうか」


ハルトも少し照れながら頷く。


「あ、ああ」


瑞樹先生は満足そうに頷き、そして付け加えた。


「先生は一人だけどね!」


一瞬の沈黙。


レンジ

「先生……」


マックス

「自分で言うなよ」


リリ

「……そのうち見つかりますよ」


瑞樹先生は笑った。


「カードが強い人じゃないとダメだけどね」


部員たちはそれぞれのペアで店の中へ歩いていく。


日本大会前、最後の休日。


それは少しだけ、

いつもと違う一日になりそうだった。


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