第60話「希美とレンジ」
放課後。
カードゲーム部の部室。
机の上では何人かがデッキを広げて調整をしていた。
レンジはカードをシャッフルしながら希美を見る。
「なあ、ちょっといいか」
希美は椅子に座ったまま、カードを整理しながら答える。
「なに?」
「一回、俺とやってくれ」
希美は少しだけレンジの方を見る。
「バトル?」
「ああ」
少しだけ沈黙。
そして希美は立ち上がる。
「いいよ」
リア先輩がそれを見て言う。
「希美とレンジか」
「いい組み合わせだな」
リリ先輩も頷く。
「タッグ戦の参考にもなるわね」
樹里先輩はカードを整理しながら小さく言う。
「レンジ、すぐ突っ込みすぎないようにね」
マックス先輩が笑う。
「それがレンジだろ」
レンジは笑いながらデッキを構える。
「行くぞ」
希美も静かにデッキを構える。
二人が同時にカードを引く。
「「リンク!」」
バトル開始。
---
序盤。
レンジは炎刃デッキらしく、速い展開をしていく。
「炎刃兵、セット!」
さらにサポートカード。
序盤から攻める形。
希美は落ち着いてカードをセットする。
「宝石龍、セット」
静かな展開。
盤面はレンジが攻め、希美が受ける形になる。
レンジが言う。
「そのまま押し切る!」
攻撃。
希美は防御カードを発動。
攻撃を止める。
さらに次のターン。
宝石龍の効果で盤面が少しずつ整っていく。
レンジは気付く。
(盤面取られてる……)
攻めているのに、流れは希美だった。
数ターン後。
希美がカードを置く。
「エクリプス召喚」
宝石龍がフィールドに現れる。
盤面が一気に変わる。
レンジが笑う。
「やっぱ強ぇな」
それでもレンジは攻める。
炎刃のコンボを発動。
「これで一気に削る!」
攻撃を通す。
ライフを削る。
だが、届かない。
次のターン。
希美が静かに言う。
「終わり」
攻撃。
レンジのライフがゼロになる。
バトル終了。
---
レンジは大きく息を吐く。
「やっぱ強ぇな、お前」
希美はカードを片付けながら言う。
「レンジも強いよ」
「でも、ちょっと単純」
レンジが笑う。
「よく言われる」
リア先輩が言う。
「レンジは流れを作るタイプだな」
リリ先輩も続ける。
「希美は流れを支配するタイプ」
樹里先輩が言う。
「タッグ戦だと、どっちも必要ね」
レンジは少し考える。
「流れを作る、か」
希美が言う。
「レンジはタッグ向いてると思うよ」
「速いから」
レンジは少し驚く。
「マジ?」
「うん」
「私一人だと遅いから、レンジみたいなのが前に出てくれると助かる」
レンジは少し照れながら笑う。
「じゃあタッグ大会、暴れるか」
希美も少しだけ笑った。
「うん」
タッグ大会に向けて、
それぞれの役割が少しずつ見え始めていた。




