第58話「連携」
放課後。
カードゲーム部の部室。
机の上にはカードが広げられていた。
リア先輩がホワイトボードの前に立っている。
「タッグデュエルのルール、ちゃんと理解してるか?」
レンジが手を上げる。
「二対二で戦う!」
「それはそうだな」
リア先輩は軽く笑う。
「でも、普通のデュエルとはかなり違う」
ホワイトボードに簡単な図を書く。
「まず、ライフは共有だ。
ただし通常の10から、タッグ戦では15になる」
カエデが驚く。
「共有なんですか?」
「ああ。どっちがダメージを受けても、同じライフが減る」
リリ先輩が続ける。
「だから一人が守り、一人が攻める、みたいな役割分担もできるの」
樹里先輩が言う。
「フィールドも変わるわ。
ユニットゾーンは5から8、アーティファクトも3まで設置できる」
マックス先輩が腕を組む。
「つまり盤面が広い分、コンボも増えるってことだな」
リア先輩が頷く。
「そうだ。だから――」
少し間を置く。
「タッグ戦で一番重要なのは、連携だ」
部室が少し静かになる。
レンジが言う。
「単純に強い奴が二人いれば勝てるわけじゃねぇってことか」
「そういうことだ」
リリ先輩が静かに言う。
「二人で一つのデッキみたいなものなの」
樹里先輩がカードを整理しながら言う。
「片方が盤面を作って、片方が勝負を決める。
そういう役割分担が必要になるわ」
マックス先輩が笑う。
「俺と樹里は守ってから一気に攻める感じだな」
「勝手に決めないで」
樹里先輩がため息をつく。
レンジは希美の方を見る。
「俺たちは速攻だろ?」
希美は椅子を揺らしながら答える。
「まあ、たぶんね。
速いデッキ二つなら流れ取れるし」
リリ先輩はリア先輩を見る。
「私たちはコントロール寄りね」
リア先輩が頷く。
「盤面制圧型だな」
そして、全員の視線がハルトとカエデに向く。
少しだけ沈黙。
レンジが笑う。
「で、お前らどうすんの?」
ハルトは少し考える。
「俺は風と光の混合デッキです」
カエデが続ける。
「私はサポート寄りのデッキかな」
リリ先輩が言う。
「じゃあ、ハルトがエースでカエデが補助ね」
リア先輩が腕を組む。
「問題は連携だな」
ハルトは少し黙る。
「……連携」
カエデも少し考える。
「一人で戦うのとは違うんだよね」
樹里先輩が言う。
「タッグ戦はね、二人で一つの流れを作るの」
希美も珍しく真面目な顔で言う。
「片方だけ強くても勝てないよ」
「二人で流れ作らないと」
ハルトは机の上のカードを見る。
エアロフォトン・ドラゴン。
風と光。
二つの属性。
「二人で……流れを作る」
小さく呟く。
リア先輩が言う。
「よし」
「とりあえず練習試合やるぞ」
レンジが立ち上がる。
「来た!」
「組み合わせは?」
リア先輩は少し考えてから言う。
「ハルトとカエデ」
「樹里とマックス」
カエデが驚く。
「いきなり樹里先輩!?」
マックス先輩が笑う。
「練習だからな」
樹里先輩は静かにカードを構える。
「手加減はしない」
ハルトもデッキを手に取る。
「……望むところです」
カエデもカードを構える。
「頑張ろう、ハルト」
ハルトは頷く。
「ああ」
エアロフォトン・ドラゴンのカードが、手の中で光った気がした。
二人で戦う。
それが、次の戦いだった。




