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エクリプスレイン ~デッキと仲間と、俺たちの青春~  作者: 鳥雛


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第55話「新入部員と新弾と」

放課後。


西陽台高校、カードゲーム部の部室。


「今日来るんだよな」


レンジが椅子を揺らしながら言う。


「新入部員」


カエデが頷く。


「たぶんね。部長が言ってたし」


ハルトは何も言わず、デッキを整える。


カードを指で軽く弾く。


(強い……か)


その時だった。


――コツ。


廊下から足音。


止まる。


扉の前。


部室の空気がわずかに張り詰める。


ガラリ。


ドアが開いた。


「失礼しまーす」


入ってきたのは、一人の女子生徒。


金髪のポニーテル


少しだけラフに着崩した制服。


軽い雰囲気――


だが。


目だけは違った。


リア先輩が言う。


「来たか」


「カードゲーム部へようこそ」


女子生徒は軽く頭を下げる。


「一年の、東雲希美っす」


その名前。


一瞬だけ。


空気が止まる。


樹里の視線が向く。


「……何しに来たの」


希美は肩をすくめる。


「部活だけど?」


間。


レンジが小声で言う。


「え、知り合い?」


樹里はため息をつく。


「……妹」


「はぁ!?」


カエデが声を上げる。


「え、妹!?」


マックス先輩が笑う。


「マジかよ」


リリ先輩だけは落ち着いた様子で言う。


「妹ちゃんも強いんだよ」


部室がざわつく。


希美は気にした様子もなく中へ入る。


椅子に座る。


その動きは、妙に無駄がない。


カエデが小声で言う。


「……雰囲気、全然違うね」


レンジも頷く。


「だな」


樹里は一言だけ。


「……見たまんまでしょ」


希美は机のカードを見る。


「へー」


軽く言う。


「ちゃんとしてんじゃん」


ハルトの手が止まる。


(軽い……けど)


視線。


カードの見方。


(ちゃんと見てる)


リア先輩が言う。


「座ったなら、まあ好きに見てけ」


希美は鞄を開ける。


デッキケースを取り出す。


白。


光を反射するような色。


カエデが気づく。


「光……?」


希美は頷く。


「そーそ」


「光が一番扱いやすいっしょ」


ハルトが思わず聞く。


「……扱いやすい、ですか?」


希美はちらっと見る。


「うん」


「流れ作れっからね」


短い。


軽い。


だが――


核心だった。


ハルトは言葉を失う。


(流れを……作る?)


その時。


リア先輩が思い出したように言った。


「そうだ」


机の下に手を入れる。


ドン。


さらに――


ドン、ドン、ドン、ドン。


積み上がる箱。


合計、五箱。


「新弾パックだ」


一瞬の沈黙。


レンジ

「……は?」


カエデ

「ちょっと待ってください」


マックス先輩

「買いすぎだろ」


リリ先輩

「これ全部開けるの……?」


リア先輩は平然と言う。


「部長だからな」


空気が一気に弾ける。


パックが配られる。


ビリッ、ビリッ。


開封音が重なる。


「うお、これ強っ!」


「このカード見て!」


そんな中。


樹里先輩がカードを見ながら言う。


「今回の新弾……」


少し目を細める。


「種族間サポートが大量追加されてるみたいね

それに……ついに複合属性カードも出た」



レンジが覗く。


「マジで?」


マックス先輩がポテチを食いながら言う。


「それさ」


全員が見る。


「混ぜた方が強くなるやつじゃね?」


一瞬の間。


樹里先輩が小さく笑う。


「……雑だけど、間違ってない」


ハルトはカードを見る。


(混ぜる……)


風と光。


まだ噛み合っていない。


だが――


その時。


希美がカードを一枚手に取る。


「今回、光も普通に強いよ」


軽い口調。


「サポート増えてるし」


「展開、かなり安定するっしょ」


樹里が視線を向ける。


「詳しいね」


希美は肩をすくめる。


「まあ、ちょっとは」


ハルトは確信する。


(この人……)


(分かってる)


カードを引く前から。


構築の段階で。


もう見えている。


リア先輩が笑う。


「いいな」


「面白くなってきた」


レンジが言う。


「絶対やろうぜ!」


カエデも頷く。


「うん、楽しみ」


ハルトはデッキを握る。


(同じ光なのに――)


(全然違う)


胸の奥が熱くなる。


(早く……戦いたい)


その時。


希美がふと樹里を見る。


「ねえ、姉ちゃん」


軽く言う。


「やるっしょ?」


夕暮れの部室。


新しい光が、


確かに入り込んでいた。

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