第10話 ギルドで売却
町に戻ってくると、門が閉まる寸前だった。
ギリギリのところで門を抜けると、夜の町を散策して屋敷に帰る。
夜の町は昼とは違った顔を持つというが、
違うとしたら酒場がうるさくなるだけかな……
でも、夜はネコが多いな。
どこに隠れていたんだ?というぐらいネコが多い。
まあ、俺は気にしないでいつもの屋敷に戻るわけだが…
人化の法を自分のものにする。
そうすることで、俺はさらに自由を手に入れられるのかもしれない。
特に食生活は元日本人としては、食べたいものが多いな~
それに、町にある図書館にも行ってみたいし他の町や村にも行ってみたい。
あげればキリがないが、人化の法を身につけたおかげで
やりたいことの幅が広がったように思える。
とにかく、この屋敷で人化の法を極めるぜ!
あれから30日が立ち、屋敷の庭には一人の男の子が自分の体を点検していた。
「う~ん、服も着ているしこれで間違いないと思うけど…」
俺は、あれから人化の法を頑張ってマスターした。
今、自分の人化姿を点検しているがおかしいところはないと思う。
桶の中の水に映る俺の顔も普通だし、人族の少年になることができた。
あと、猫人族の少年にもなることができるのは元がネコだからだろう。
「ではさっそく、服を買う前に冒険者ギルドに魔石を売りにいくか」
そう、先立つものを俺は持っていない。
だから、空間収納に入っているゴブリンやオークの魔石を売ることにした。
本当は、オークの肉とかも売りたいが面倒なことになりそうなので今回はパス!
俺は元のネコに戻り、さっそく冒険者ギルドへ向かった。
冒険者ギルドの傍の路地裏で、誰もいないことを確認して人の姿になり
路地裏を出てギルドへ入っていく。
何度も忍び足とはいえ入っている冒険者ギルドだが、今回はどこか新鮮だった。
いつもは誰にも気づかれないのだが、今回は掲示板前にいた冒険者
受付カウンターで仕事をしていた受付嬢、
さらに食堂で食事をしていた様々な人が、俺を見る。
ぐるりとギルド内を見渡し、カウンターへと足を運んだ。
今はお昼近く、ギルド内は人が少ないとはいえ俺に対する注目は半端ない。
「あの、ちょっといいですか?」
俺が高いカウンター越しに話しかけると、
受付嬢のお姉さんは身を乗り出して答えてくれる。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。何かご用ですか?」
笑顔がまぶしいお姉さんは、優しく聞いてくる。
「えっと、魔石を買い取ってほしいんですがいいですか?」
「ええ、かまいませんよ。では、このトレーに出してくれるかな?」
受付嬢のお姉さんは、カウンターから乗り出すようにトレーを俺の前に出す。
俺はポケットの中から、袋に入ったまま魔石をトレーに載せると
「では、鑑定してきますので
その間、あそこにある椅子に座って待っててね」
俺は振り返って椅子を確認して、お姉さんに返事をした。
「はい」
笑顔で返事をしたんだが、お姉さんはすぐにカウンターの奥に引っ込んだ。
俺は椅子に座って待ちながら、何かまずったかな?と考える。
時折カウンターの奥から、変な声が聞こえるが気にしないでおこう。
30分ほどで、お姉さんが椅子に座っている俺の傍にしゃがみこんできた。
「えっと、少し聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「はい、どうぞお姉さん」
お姉さんが下を向いたぞ?…なんか笑い声が聞こえるが気にしないでおこう。
「…えっとね、あの魔石ってオークとゴブリンでしょ?
どうやって集めたのか気になったの、教えてくれるかな?」
「はい、父たちと一緒に森に行ったとき拾い集めたものです」
お姉さんは、少し困惑した表情を見せる。
おお、人の表情の変化がよくわかるな……
「もしかして、無理やり森に行かされているの?
それとも、いじめられてる?」
「いえ、違います。
僕『空間魔法』が使えるんです、それで荷物持ちでついて行っているので」
「へぇ~、君『空間魔法』が使えるんだ~
それじゃあ、あの魔石は…」
「父たちからの、お駄賃といったところです」
それを聞いた受付嬢のお姉さんが、何やらブツブツ言っているぞ?
もう1人の受付嬢のお姉さんが、トレーにお金の入った袋を持ってきた。
「先輩、鑑定が終わりました。全部で銀貨28枚と銅貨20枚です」
その声で我に返り、傍にいたお姉さんは俺に袋に入ったお金を渡してくれた。
「はい、大きなお金だから落とさないようにね?
使う時は考えて使うんだよ?」
「はい、ありがとうございます」
俺は、頭を下げてお金を受け取りそのままギルドを出て行った。
後ろで、何か騒ぎが起きているが気にしないでおこう。
このお金で、服を買うことができるしな~
▽ ▽ ▽
「先輩、かわいい男の子でしたね…」
「ええ、あんな少年見たことなかったわね…」
今日、先輩が応対していた男の子はギルドに入った時から注目されていた。
あんなにかわいいのだから当たり前だけど、でも気になるところがあった。
あの子、靴を履いてなかったのだ。
だから、先輩も心配になってあんな質問をしたのだろう。
「あの子、あのお金で靴を買うのでしょうか?」
「たぶん、靴の他に服も買うんでしょう。あの年頃なら、
お菓子とか食べ物に興味が行きそうだけど、そんな感じはしなかったし…」
先輩はよく見ているな~
「そういえば、あの子の名前聞きました?」
「ああ! 聞きそびれた……」
肝心なところが抜けている、それが先輩だな。
「……何か、失礼なこと考えてない?」
「いいえ、それより業務に戻りましょう~」
鋭いな……
ここまで読んでくれてありがとう。




