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ネコで異世界を生きる  作者: 光晴さん


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第9話 人化の法




屋敷のベランダから、夕日が沈んでいくのが見える。

今日もまた日が沈み、1日が終わっていく…


幽霊の女性が消えて30日が過ぎた。

この異世界では、1日は25時間。1か月は30日。1年は390日。

そう1年は13か月あるのだ。


……とにかく、1か月俺は頑張った。

魔法は覚えきった、実践もうまくいった。

魔物のこともいろいろ分かったし、今なら解体魔法もスムーズだろう。


だが問題は、格闘技だ。

俺はこの格闘技というものをなめていた。

ネコパンチが強くなればとか、

身体能力が上がればとか期待していたころの俺を殴りたい!


何度も格闘技入門編を読み込んだが、ネコの体では限界があることが分かった。

…関節技とか無理ッス!


とりあえず、ネコパンチは強くなった。身体能力も上がった。

気功を覚えた。

だけど、これらを実践するには森で魔物と戦わないといけない。


この屋敷の庭で、魔法で作った人形相手では限界がある。

明日からは、森に移動して魔物相手に頑張っていくか~

しかし、俺はどこへ向かっているのかな?




次の日、屋敷を出て門を抜け森へ一直線に来た。

今日もいろんな冒険者たちが、草原で森で採取や討伐をしている。

俺は森へ入り、どんどん奥へ進んでいく。


格闘技を学んだことで、俺は『気配察知』を身につけた。

これを本で見つけた時はうれしかったよ。ただ、身につけるのが大変だった。

町の大通りの端に座り込んで、目を瞑り通る人の気配を感じ取る。


……何度そのまま寝てしまったことか。

結局、身につけるまで20日もかかった。

しかし、身につけてからは気功とかが簡単に判り覚えやすかったな。



ん? 奥まで進み過ぎたか?

何か犬のような魔物が、俺を狙っているようだが…

…右か! 違った左だ!


俺は魔物に襲われた、そしてその魔物は2匹同時に襲い掛かり俺をなめまくった。

「ニャニャ~」

やめろ~、くすぐったいではないか~


赤い狼の子供たちよ、いい加減なめるのはやめてくれ~

『フフッ、久しぶりだなネコよ。

こんな森の奥まで来るとは、かなり力をつけたようだな』


[挨拶の前に、この子供たちを何とか離してください~]

『おお、すまんな。

お前たち、いい加減放してやりなさい。』


赤い狼の子供たちは、親の言うことを聞いて俺を放してくれた。

[た、助かった~]

『それにしても念話を身につけたのだな、話しやすくなってなによりだ』


俺は、赤い狼の子供たちが2匹でじゃれあっているのを見ながら

[何とか念話は身につけましたが、あることで行き詰ってまして…]

『ほう、私でよければ力になるぞ。あの時の礼をしようではないか』


俺は、赤い狼を見て相談した。

[人化のやり方を、ご存じありませんか?]

『ふむ、人化のやり方か……

確か「人化の法」といったかな、身につけてみるか?』


[知っているならぜひ!]

『なに、難しいことではない。

知能の高い魔物は、誰しもが身につけている。自分の身を守るためにな…』


[守るために、ですか?]

赤い狼は頷き、さらに詳細を教えてくれた。


『人化の法を作り出したのは、古代竜が最初だと言われている。

古代竜もそうだが、竜、ドラゴンという魔物は

捨てるところがないといわれる素材の宝庫。


さらに、知能の高い魔物はえてして素材として高値で取引されるようだ。

それに強いからな、人間どもは挑戦して自分の力を誇示したいのだろう』

俺は頷いて話を聞く。


『そんな人間から自分を守るにはどうすればいいか。

強くなるという選択肢もあったが、古代竜の一体が狙われないようになれば

いいのではないかと作り出したのが人になる方法、すなわち人化の法だ』


[それをあなたも身につけているのですか?]

『一応な、だが使うことはめったにない。

この森の奥で生活は成り立つし、不自由はないからな』


[そうなのですか…]

『まあ、いいだろう。

まず人化の法は、魔力による身体変化と覚えておくといいだろう。

自分の体の周りに、魔力をまとっていく感じだ。


濃い魔力を纏うというより魔力を薄く伸ばし何重にも纏うとした方がいいだろう。

その方が人になった時、自然に行動できるそうだ』

[う~ん、難しいな…]


『私が実践してみよう…』

そう言うと赤い狼は、自分の魔力を布のように何枚も纏うようにしていく。

10枚ほど纏った時、赤い狼は一瞬光ったかと思うと

そこには赤い髪の美人が姿を現した。


「どうかな? 久しぶりに人の姿になったが違和感はないだろう?」

[はい、美人の女性に見えます!]

「うむ、お世辞を言えるようなら一人前だな」


[それにしても服まで作れるんですね…]

「これも魔力によって作っているが、人として生活するなら服は購入することだな」

ふむ、ということは服の種類は多くないし魔力が切れるのが早まるのかな?


[魔力の問題ですか?]

「そうだ、人になるときにかなりの魔力を使う。

しかし、服などは人化と違い常に魔力を使い続けるらしい」


[わかりました、服は購入するようにします]

「ああ、それと人化の法は魔力を纏うことで使うからこんなこともできる」

赤い狼は自分の赤い髪に手を当てると、髪の色が赤から青へ変化した。


[すごい、色まで変化させることができるんですね…]

「では、やり方はわかっただろうから後は練習だな」

[がんばります!]




赤い狼は元の姿に戻ると、子供たちを自分の傍でお昼寝させて

俺の練習に付き合ってくれた。

何度も、魔力を纏うというのを繰り返し魔力がなくなって休んでいる時に


赤い狼がいろんなアドバイスをしてくれる。

それのおかげか、夕方前には人になることができた。

「おお、人になれた…」


『まだまだ、練習が必要だがとりあえずは人化の法の獲得おめでとう』

赤い狼は、俺の全身をくまなく眺めると

『ふむ、どこからどう見ても人の子供の姿だな』


「……人の下半身を見て、納得しないでください」

俺は人化の法を解くと、元のネコに戻った。

『あとは、服や髪の色などを変えるところまで来たら本物ということだな』


[でもこれで、行き詰っていたことも解消できそうです。

ありがとうございました]

『なに、またいつでもこの森の奥に来るがいい。

相談ぐらいは聞いてやろう、それに、子供たちも喜ぶ』



俺は、赤い狼親子に別れを告げて町へと帰っていった。

再びあの屋敷に籠って『人化の法』の練習だ!








ここまで読んでくれてありがとう。


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