竹と月
ショウは目を覚まして、洗面台で冴えない顔と頭に冷水をぶっかけ、いつものようにカミソリ片手に本日の行動予定を考えた。
・学校に行く
・ミホに相談する
・スキルを使い、育てる
朝食を食べ、身支度を整え、生徒手帳を胸に仕舞い、駅に向かった。
改札を通りつつ、思い出すのはこの場で生徒手帳を拾ってくれたOLだ。
なんて思っていると件のOLを見かけた。
未だにある彼女の心のモザイクを覗くと、彼女には思い人がいた。しかもそれは朝に必ず行く、彼女の会社の近くにあるコンビニ店員であった。
この後に合う予定であり、彼女の表情がやや明るい。意外な事実をしりなんとも、彼女の幸せを祈るばかりだ。
そして、いつもの教室に着いた。クラスメイトに挨拶をしつつ、席に着くと声を掛けられた。
「よう、モザイ」
「おはよ、タケ」
「今日も朝からテンションひっくいな」
「お前が高いだけだろ、無駄に」
「無駄っていうな」
「ははは」
彼は竹下大地、通称タケ、勇者イサミとミホが最近作った女神研究会に初期メンバーとしてショウが入部することを昨日聞きつけ、初日の活動報告を聞きに接近して来ているようだ。
ちなみにタケにもモザイクがある。
タケの隠し事。それは思い人がいることだ。相手は彼と幼なじみでもある同じクラスの月野ヒカリだ。
ヒカリは明るい性格でクラスのムードメーカーだ。
ヒカリは今、教室いて他のクラスメートと楽しそうに話をしている。
一見隠し事はなさそうな彼女の心にもモザイクが掛かっていた。
そして、ショウはその彼女の隠していたい部分を覗き見した。
彼女を明るい人とクラスメートからは思われているが本当は少し違う。彼女は明るかった。
彼女は異世界での戦争で恋人を亡くしていた。未だに彼女はそのことを引きずっている。
彼女の今の明るさは偽りなのだった。
そんな彼女を慕う、幼なじみのタケは彼女の偽りの明るさに気づいている節があった。
今もショウとの挨拶を終えた後に、タケはヒカリを無意識に目で追っている。そして、彼はヒカリが笑っていることとは対照的に苦しそうな表情で彼女を見て、たまに息を吐く。
タケの態度から、今のヒカリが何かに悩み、苦しんでいることを察してはいるが、どう声を掛けて良いか分からずに彼女を見守っているように見えた。
タケの様子を見たショウはその後の昼休みにそれとなくタケに聞いた。
「なあタケ?」
「なんだモザイ」
「最近読んだ本で家が隣同士の同い年の幼なじみが出てくるんだが、冷静に考えてこの条件の人っているのかな?」
「……、知らねえよ!! でもいるにはいるだろ?」
「しかも、このお隣さんと主人公が付き合うのが物語だと定番だけど、あり得るのかな?」
「だから、知らねえよ!!」
「でも、こういう定番のシチュエーションはちょっとは憧れるようなぁ……、タケはどう思う?」
「まあ、なくはないよな」
「そっかぁ、いいよなぁ~、タケは?」
「??? 何が?」
「だって、お前んちの隣り、月野さん家なんだろ?」
「なんで知ってんだよモザイ!?」
「どっかで聞いた。いいなぁ幼なじみ」
「そんなんじゃねぇーよ」
「でも満更でもないんだろ? 告れ、告れ!」
「軽く言うなって」
「大丈夫、大丈夫、彼女は優しそうだし、押せば何とかなるよ、たぶん」
「……、そんなんじゃねぇーよ! 今のあいつはそんなんじゃ、断じてねぇーよ!!」
タケの大声に周りの視線がやや集まる。
「そうかな?」
「この話はやめだ、やめ!!」
その後は、くだらない話をしつつ昼休みは終わり、無事に本日最後のHRも終了し、部活動の為、職員室で鍵を受け取り、多目的教室に向かう。
多目的教室の扉の前には、携帯端末を片手にショウを待っていたミホがいた。
面白いと思って頂けたら、嬉しいです。
道 バターを宜しくお願いします。
他にも作品をアップしています。
作者ページを見て頂くと、なんと!?すぐに見つかります(笑




