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九尾の孫 番外編【策】  作者: 猫屋大吉
13/18

遭遇

更新遅れました、すいません。

夜、

研究室の時計は 0時を少し回っていた。

シミがグニグニと蠢いている。

真ん中が黒く丸く盛り上がって行く。

半球に盛り上がった球面に赤い光が灯る。

赤い光は球面上を忙しなくクルクルと動き出した。

まるで目の様に辺りを見回すとシミ全体がせり出して行きやがて床にゴトンと言う音と共に転がった。

シミから物になった。

転がった物は流線型の両端が尖った物体へと変化して行く。

壁にあったシミの大きさからは考えられない大きさに、

大人の人間と同じ様な大きさに成った。

壁のシミのあった場所には紅黒く血が塗られた様な跡がべったりと残っている。

変化しながらくすんだツヤの無い金色を帯びた毛に覆われ やがてゆっくりと消えて行った。




聡は学生二人を乗せて近畿自動車道を走り環状中央線に乗り換え、水走(みずはい)で降りるとそのまま直進して石切神社前に出る。

旧外環状線へと進路を取る為に右折した。

少し行くと右手のスーパー手前を右折し、一人目の自宅前に車を停めた。

聡がドアを開け車の外に出ると 女生徒がドアを開き車の外へ出て家の玄関へ走って玄関を開ける。

「お父さん、お母さん、ただいまー」

家の中から走って来る音がして

「大丈夫なのか? 平気か」等、

娘を心配する声が聞こえ

「教授に送って貰ったんだって? 挨拶しておこう」と言いながら 夫妻が玄関を出る。

「遅くまで申し訳ありません。娘さんは無事です。ショックがかなりあった見たいで」

聡が言うと

「臨床心理士の阿部先生がね、ケアしてくれたんだよ」女学生が言った。

「何から何まで、御世話を掛けました」

父親が頭を下げると母親と女学生も頭を下げた。

「私は何もしてませんよ。しばらくは学校休んで阿部先生の所へ通うと良いよ。私が学校には事情を説明しておくからね」

と言い、

「もう一人、送って行きますので後、宜しく御願いします」聡が言い、頭を下げ車へと戻る。

車が発進して角を曲がるまで女学生と彼女の両親が見送っていた。


「うちも母親が生きて居たらあの位 女らしく育ってたろうに・・・」

聡が呟くと後部シートに座って聞いていた男子生徒が

「おてんば だ そうですよね」と聞く

「バイクを傾けて凄いスピードで走っているよ」少し笑いながら言うと

「好きな人が出来たら変わりますよ、男も女も。もっとも、子供が出来てからの女性の変わり方は半端じゃないですけど」

ため息をつきながら言う。

「随分と達観してるんだね」

「うちの姉貴、見てれば・・・結婚に二の足を踏みたくもなりますよ」

笑ながら言った。

「急激な環境変化と責任か」聡が言う。

「姉貴の旦那が可哀想で」

「其れが自然何だろうね、ところで君は良く普通にしてられるね」

「うちは店をしてるんでしょっ中、イタチが残したネズミや蛇の死骸を俺が片付けさせられていますからね、でも流石に腰が抜けそうになって思わず彼女達の手を取って引き寄せて其の儘 研究室に逃げましたよ」

「火事場の何とかってヤツかい?」

「その場で腰を抜かすともっとマズイって本能の様な物ですね、結果的に其処から逃げる事を優先しました」

「君も一応、阿部先生を訪ねるべきだね」

「はい、そうします。思い出すとドキドキしています」

「学校には言っておくから阿部先生を訪ねなさい。うーんと君の家ってこの辺りかな?」

「其処の角を曲がって直ぐです」


聡は男子生徒を送り届け、彼の両親との挨拶を済ませて家路へついた。

(ここからだと川沿いを帰るか)

聡は進路を大和川沿いに取る。

13号線に差し掛かろうとした時、前方を霧の様な物が急激に湧き出し視界が奪われた。

聡はトグルスイッチを操作しパーキングランプを点滅させ、後続車がいない事を確認すると車を降りた。

前方の霧の中で何かが蠢いた。

聡は目を凝らしてジッと見ていると

「約束は覚えているな」

頭の中で響く嫌な高音を伴った声がした。

「お前か!、あの約束は無効だ!、お前は私に偽りの情報を寄こした。娘は遣らん!、其れと一連の怪異もお前の仕業だろう。関係の無い人達をこれ以上巻き込むな」

いつに無く激しい口調で聡が叫んだ。

「クックック、あの手伝いをしていた女と助手とか言う奴か、俺を裏切った罰を与えただけだ。それと例の情報、お前が望んだ内容だったろう? クックック」

「お前が何者で目的は何かなんて知らない、だが、お前のした事は許す訳には行かない」

「其れで? たかが人の分際で? 俺に何が出来る。幻術、妖術の一つも使えない癖に」

「なに‼︎ お前はいったい」

「知る必要は無い、娘は必要だと分かったら力づくで奪ってやる。お前の言う通り 無駄な殺しは お前を殺した後で考えてやらんでもない。話は終わりだ。此処で死ぬが良い」

言うと聡の頭の上、前方に巨大な獣の手が現れ、その手の先端にはこれも巨大な鉤爪の形をした爪があった。

ムチがしなる様な柔軟性を持って 一気に聡に振り落とされる。

ビィーーンと鋼と鋼がぶつかる音と共に辺りの空気が振動し、空間に裂け目が出来た。

聡はその衝撃で後ろへ弾き飛ばされ、転がった。

聡はとばされwながら裂け目の向こうの景色を見た、海と岩山、岩山の上に獣がいた。

「何!、グゥッ」

短い声を発した魔物とも言うべき相手は後ろへ一歩退き

「お前、何をしやがった」と叫ぶ。

「・・・」

聡は何がどうなったのかが分からず道路にひっくり返った上半身を起こし、右肩を左手でもみながら考える。

右肩は飛ばされた時に打った様だった。

立ち上がって周りを見ると霧がどんどん薄れて行く。

(私は助かったのか)

聡は呟き、自体を把握して内ポケットの封書を取り出した。

封書は斜め上から半分近くまでナイフで切ったかの様に裂け目が入っていた。

聡は、封書の状態を見て持つ手が震えている。

震える手で内ポケットからスマホを取り出すと樋口に電話する。

直ぐに電話に出た樋口に聡は、今あった事を説明し、封書の状態を伝えると樋口は、もう一通あるので聡の自宅へ届けると言い電話を切った。

聡はまたすぐに自宅へ電話する。

優子に樋口が来る事を伝え、自分の現在地を伝えると電話を切り、車に乗り込んだ。

車は、13号線を北へ走り、20分程で自宅に帰り着いた。


聡は自宅に戻ると優子に封書を見せ、川沿いであった事を話した。

優子は庭先で影を見たせいもあってかブルブルと震えながらも父、聡を心配して声を掛けた。

「お父さん、少し、休もう。私も有給使うから。やっぱり、今は家が一番安全だと思うよ」

「そうは言ってもな・・・明日、大学に行って目撃した三人の学生の事を話して私も休みを少し、貰う様にするよ」

「うん、それが良いよ」

優子が言い終わった時、玄関の呼び出し音が鳴った。

「おっ、樋口さんだ」聡は、言い、玄関へ向かった。

「夜分遅くにすいません。上がって下さい」聡は、樋口を招きいれると樋口の後ろに真宮寺が、にっこりと笑いながら同行して来ましたと言う。

樋口に続いて真宮寺も同行していたので聡は、

「優子、樋口さんと真宮寺さんがいらっしゃった」と家の中へ向け、声を掛ける。

「はーい、食べる物要るよね」優子が返事をした。

三人は、リビングへ移動する。

「御嬢さん、こんばんは」樋口が声を掛ける。

「夜分、不躾ながら来させて頂きました」真宮寺が言う。

「真宮寺さん、ピザを取ったんだけど食べるよね」

優子がにっこりと微笑みながら真宮寺を見ると、

「ピザ!、い、頂きます。ありがとうございます」

優子は、ピザを温めながら

「樋口さん、泊まっていけますか?」と聞くと

「あ、は、はい」

「じゃ、ピザだから・・・ビールで良いですか」

「頂きます。ありがとう」

優子は温めたピザ2枚をソファーのテーブルに並べ、ビールグラスを4つ並べるとキッチンに取って返し、小さなビールクーラーに缶ビールを数本入れて戻り、ビールを取り出すと樋口、真宮寺、聡とグラスに注ぎ、自分の分を注ぎ終わると

「お疲れ様」とグラスを宙に差し出した。

他三人が、慌ててグラスを手に取り、差し出されたグラスに手に持ったグラスを合わせる。

「お前、こんなに食べるつもりで取ったのか」

聡は、テーブルに並ぶピザを見て驚いた様に聞くと、

「どっちにしようか迷ったから両方頼んじゃった。残ったら明日も食べれるしね。でも来客があって良かったよ、幸いだね、ついてるね。真宮寺さんも来てくれて良かったよ」明るくしゃべる。

「そう言って頂けるだけで泣きそうに嬉しいです。毎日でもOKですよ」

真宮寺が言うと樋口が思いっきり真宮寺の頭を後ろから殴った。

「イッター」真宮寺が頭の後ろを抱えて樋口を見る。

「遠慮と言う物をしろっていつも言ってるじゃないか」樋口が冷静な顔をして言い、

「これだから妖は・・・」と言った。

「来る時は、樋口さんに了解を貰ってから来たらいいじゃん」優子が言う。

「はい、すいません、そうします」真宮寺が頭の後ろを撫でながら言った。


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