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大剣の冒険者  作者: beck2026


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第一章:鉄の塊を背負う者

始まりは、いつも通りの、何の変哲もない朝だった。

 

小鳥のさえずりが響く街道を、青年――レイは一人で歩いていた。

 

その足取りは、ひどく重い。

 

理由は明白だった。

 

背中に背負った、身の丈を超えるほどに巨大な鉄の塊。

 

並の人間であれば、持ち上げることすら諦める重量の「大剣」が、一歩歩くたびにその身をきしませていたからだ。

 

「くっ……重、すぎる……」

 

額から流れる汗を、粗末な布の袖で拭う。

 

レイの体つきは、お世辞にも戦士に向いているとは言えなかった。

 

線が細く、どちらかと言えば、魔導書の頁をめくっている方が似合うような風貌だ。

 

街の誰もが、彼が大剣を買い求めたとき、正気を疑った。

 

「そんなひょろい体で、何をするつもりだ」と、鍛冶屋の親父にも呆れられた。

 

それでも、レイはこの大剣を選んだ。

 

いや、これ以外の武器を選ぶわけにはいかなかったのだ。

 

彼には、どうしても手に入れたい「圧倒的な力」があった。

 

「……ここでへばってたら、あの人に、笑われる」

 

レイは歯を食いしばり、大剣の重みを受け止め直して、再び足を踏み出す。

 

目指すのは、この先にある新興都市、ギルム。

 

多くの冒険者が集い、そして多くの富と命が循環する、始まりの街だ。

 

街道の先に見えてきた巨大な城壁を見上げながら、レイは胸の奥でふつふつと湧き上がる、焦燥に似た決意を確かめていた。

 

まだ、この鉄の塊をまともに振るうことすらできない。

 

しかし、ここからすべてが始まるのだ。

 

若者が一歩ずつ、重い足跡を刻みながら、栄光と混沌の待つ門へと吸い込まれていく。

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