4話 王女リリアナ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!!
ため息を飲み込む。
そして――
「メイ――いや、今は手紙の魔女だったね。久しぶり」
王城のある一室――応接室で、一台何十億セルしそうなソファーに、向かって右からメイ、レビー、ミアは座っていた。声の主はその向かい側、これまた高そうな服を身にまとい、足を組んで頬杖をつく長髪の男。彼こそトリリアン王国シャビア王家の当主、ギリアン――国王その人である。その隣には王女リリアナがいた。
「陛下こそ、お元気そうで何よりです」
――このくそやろう。
初めて会った時から、メイはトリリアン王国の国王をそう評していた。国王に会うのは十年ぶりだが、メイの印象は変わらない。
――くだけた服装に、話し方。全てがカモフラージュ……いや、嘘っぱち。
はぁ、とメイは心の中でため息をついた。
◇◇◇
国王とリリアナが出ていき、メイの顔から一切の表情が消える。はぁ、とため息をつくメイからレビーは視線を外し、机の上の本を見た。
その本はトリリアン王国の王家が秘宝に繋がるヒントとして代々継承した本だった。その本の中身はほとんどが白紙で、特に何も書かれていない。ただ、背表紙には「フィリトーン」と。そして、中に紙が挟まっていた。
「フィリトレーンの本はここにある」
ミアが読み上げた。
「どゆこと?フィリトレーンが『勇者の子』だとしても、サッパリわからん」
あとなんか最初のページに『 年 月 日 曜日 天気 』と書いてあり、そのすぐ下に『何書いたらいいかわからん』と書いてある。
「僕はこれからどうやったら秘宝のありかにたどり着けるのかがわからないよ」
「右に同じだぜべいべー」
「べいべー?」
首を傾げるレビーを無視し、ミアは最初のページを眺めていた。
「あー無理わからん!!メイ様、気晴らしに探検してきます!!」
「あ!わたしも行く!」
「ちょ、待ってください!」
本を置いて部屋を飛び出したミアとメイをレビーは本を持って追いかけた。
「あれが代々の国王の絵画」
「あれが庭園」
「あれが噴水」
メイは歩きながら、王城にあるものを紹介して回った。
「なんで知ってるんですか?」
レビーはメイにそう聞いた。
「……十年前、わたしが十歳の頃ね。わたしはここに来てたの。わたしの両親は共に魔女で、半年間だけ王城で仕えてたから」
「そうだったんですか」
「そこでオダルディさんと知り合ったんですか?……それと、リリアナ王女殿下と」
「馬車で見せた写真ね……」
実は馬車の上で見せられた写真に写っていた三人目の少女はリリアナだった。
「髪の色が赤から金髪に変わってましたけどね」
「髪の色が変わるのは魔力が変質したからだとか色素が抜けるからだとか、よくわかってないの」
「メイ様、オダルディさんには会えないんですか」
「……探せば、会えるんじゃない?」
メイは、意味深な微笑みをレビーに向けた。
「それってど――」
ミアが聞こうとした時、一人の女性が現れる。
「メイ、久しぶりね」
長い金髪の髪――そしてシャビア王家の証、赤褐色の瞳。日焼けを知らない肌。それでいて、病的なほど痩せた体。後ろには、中年の執事と初老の侍女と若い侍女の、三人がいた。
「ええ。リリー」
「リリーって……」
「わたくしの愛称ですわ。ミアさん」
「え、私の名前を覚えて……?」
にこやかな笑顔が、なぜかミアにはひどく恐ろしく思える。
――なんだろう……名前を覚えられることで呪われる予感がする。怖いよぉ……
ミアは肩を抱えてブルブル震えていた。
「新聞、見たよ。オドー、死んだんだって?」
「――ええ」
また、リリアナが微笑む。その瞳は、死んでいた。
そう、オダルディは死んでいる。彼は五、六年前に亡くなったと新聞が記事に載っていた。トリリアン王国随一の天才魔術師の訃報として。
「でも、それだとおかしいのよ。リリー」
それなら最後のフィリトレーンが死んだ時点でその本は消える、と。メイは静かにレビーの持つ、秘宝の手がかりとして渡された本を指す。
「それだけじゃないわよ。オドーが生きているという確証は他にもあるの。リリー、貴方にはまた別の目的があるわよね?」
メイはじっとリリアナを見つめた。
ここまでなんだか話が進んでなくて本当に申し訳ありませんでした……
ここから話が動くので(たぶん)もっと読んでもらえると幸いです!




