第百六話
翌日、命は召喚モンスター達に装備させている装備を外して金倉が紹介してくれた職人の元に向かう。
書かれた住所へとやってきたらかなり、町中から離れており人気も少ない場所に工房が作られている。黒崎工房と古びた看板が立てかけられており呼び鈴を鳴らすと直ぐに出てきてくれた。
「金倉さんから紹介されてきた柏崎と申します」
「あぁ、莉音ちゃんが言ってた子だね。入って、入って」
出迎えてくれたのは温和な笑顔を浮かべた作業着の男性でとても優しそうな人であり金倉の知り合いなのだからそんな変な人なわけがないかと安心する。
工房の中はとても広く外で見た時よりも大きく感じて空間魔法で拡大されているのだと分かる。これだけの広さに拡張するには相当な技量が必要であり命では到底できない。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
わざわざお茶を淹れてくれて冷めないうちに飲む。少し渋めのお茶であるが飲みやすいようにぬるめになっていて細かな気遣いを感じる。
「それでどういった御用かな?」
「装備の手入れをお願いしたくて」
「こんな場所までわざわざ来てくれたんだ。よろこんでお受けしよう」
「ありがとうございます」
此処に広げてくれと大きめのテーブルを指さされて命は手持ちの装備を全て放出する。召喚モンスター達の分もあるからかなりの量で気が引けるが黒崎は表情1つ変えない。
「良い腕をしてる……遠藤君も確りと莉音ちゃんを導けてるみたいだね」
優し気な表情から鋭い目つきになり職人の顔へと変わる。装備を1つ1つ確認しながらどういった状態か見てくる。
「確りと手入れされてる。最近の探索者は手入れを怠りがちだから」
「恐縮です」
「これなら一日あれば十分だね」
「一日!?この量をですか!?」
かなり探索で酷使してしまっていると自覚していてもう少しかかるものだと思っていたのだが、金倉が紹介してくれただけあって並の職人とはレベルが違うのだろう。
「物が良いからね。それに手入れも確りしてるし一日もあれば十分さ」
職人としてそれ以上、時間が掛かるのは看過できないと暗に言っており早速、作業を始めるとのことで命は折角だからと作業を見学させてもらう。
作業場は奥の方にあるとのことで案内してくれる。扉を開くと凄まじい熱気が感じられて思わずエンチャントを自身に付与して熱気を遮断する。
「装備を見て、そうだとは思っていましたがやはり魔法職でしたか」
「暑くないんですか?」
「こればかりは慣れですね」
黒崎は全く暑そうにしておらず平然としており燃え盛る炉の中に装備を放り込んでいきハンマーで叩く。ハンマーで装備を叩くごとに装備が輝いているような感じがして凄腕の職人に扱われて喜んでいるように見える。
良い物を見せてもらったとそんな気持ちで作業を見守る。




