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強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

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1276/1284

1242 おじさん不在の中で昇進の話が進んでいく


 王城である。

 駆けこんできた学園長が国王の私室にいた。


「師父よ、そんなに慌ててどうかなされたのか?」


 どん、と重厚な机に両手を置く学園長だ。

 椅子に腰を落ち着けることなく言う。

 

「うむ。リーの昇進について閃いたのじゃよ、陛下!」


「ほう! それは興味深い!」


 国王ものってくる。

 今や王国上層部において目下の悩み事だから。

 おじさんの昇進に関しては。

 

「ただ……もう監国という地位じゃからな。官位でそれ以上の昇進はない」


「なにせ一位だものなぁ」


 官位における序列である。

 一位となると、もうそれ以上の上はない。

 つまり、おじさんは官職の最上位に就いていることになる。

 

「そこで、じゃ!」


 学園長がくわっと目を大きく開く。

 ちょっと興奮しているようだ。

 その様子に国王は若干だが引いている。

 

「リーには爵位を与えるしかないんじゃが」


「うむ。だが、リーに相応しいとなると大公くらいしかない」


 そこが問題なのだ。

 公爵の筆頭が大公である。

 爵位を与えるのはいいのだ。

 

 王国の上層部は誰も反対しない。

 だが、それに見合う領地がないのである。

 

 いわば名誉大公的な扱いになってしまうのだ。

 それが王国的に具合が悪い。

 

「うむ。ワシは思ったんじゃ。リーには迷宮があるではないか、と」


「ふむ。と言うと……」


 国王はまだピンときていない。

 それを少しじれったく思いながら、学園長が説明をする。

 

「なに、かんたんなことじゃ。迷宮を領地として認めてしまえばいい」


「……迷宮を領地に? よくわからん」


 そもそも迷宮とは神の試練とも言われるものだ。

 それを個人の領地というのは問題ないのか、と思う国王である。

 

「ああ! そうか! そこを端折っておったな」


 学園長はぺしりと自らの禿頭を叩く。

 

「どういうことですかな?」


「リーは既に自分の迷宮を幾つか持っておる!」


「にゃああああああ!」


 あまりにも訳がわからなすぎて猫になる国王だ。

 自分の迷宮?

 それも一つではなく、複数?


 どういうことだ、という話である。

 

 いや、確かにコアと契約をしたという話は聞いていた。

 そう――それはもしかして迷宮を所有するということなのか、と。

 

「驚きすぎじゃ! まったく、いくつになっても落ちつかんな、陛下は」


「い、いや驚くでしょうに、師父よ」


「まぁその気持ちは分からんでもないがな」


 ――どっちやねん。

 だが、大人の国王はそんなツッコミはしない。

 蛮族でもないからだ。

 

「まぁそこのところは横に置いておくぞ。たぶん話がとんでもないことになるからの」


 しれっとスルーする学園長である。

 白鬚をしごきながら言う。

 

「まぁあれだ。ワシもその辺はどうなっておるのかわからんしな。それと……つい先ほどリーと話しておった聞いたのだがな。迷宮の階層は自由に増やせるようなのじゃよ」


「それって、つまり……迷宮の数だけ領地があると同じことなのか?」


「いや一つの迷宮ですら、公爵家に匹敵するほどの領地になる可能性があるというわけじゃな。下手をすれば王国丸ごとということも考えられる」


 実際には魔力量によるのだ。

 ワンフロアの大きさは決まっている。

 が、階層がどこまで増やせるかは魔力次第だ。

 

 つまり――おじさんの無限とも言える魔力を考えると……好き放題できる。

 

 まだ迷宮に関しては、自重している方なのだ。

 おじさんは。

 

 やろうと思えば、どんどこ階層を増やせるのだから。

 

 ミグノ小湖の迷宮コアがアミラ。

 古代都市のコルネリウス。

 学園迷宮のディーパ。

 引きこもり川底ダンジョンのデメテル。

 塔型ダンジョンのウルディア。

 

 今のところ、おじさんが契約しているダンジョンは五つだ。

 たぶん――それは今後も増えていくだろう。

 その事実を学園長も国王も知らない。

 

 学園迷宮とミグノ小湖の迷宮。

 この二つだけがおじさんのダンジョンだと思っているのだから。

 

「ええと……ということは?」


「迷宮コアと契約した場合、そこを領地として認める。そう考えれば、だ。大公家の領地問題は一瞬で解決する!」


「な、なんてこったあああああ!」


 ぐしゃぐしゃと髪の毛を鷲づかみにする国王だ。

 これで悩みは解決したのかもしれない。

 リーを大公に叙する。

 

「ぬわははははは! 師父よ! これで解決ですな!」


「うむ。とりあえず男爵程度の爵位を与えておくといいぞい」


「男爵? 大公ではなく?」


「バカ! 最初から大公を与えてしまうことはできる。が――迷宮の攻略具合につれて徐々に陞爵させてやればいいではないか」


 要は子爵、伯爵とランクアップさせればいい、と。

 それならしばらくは保つはずだ。

 おじさんの昇進問題は。

 

 今はとりあえず勲章を与えるということでお茶を濁してはいる。

 が、そんなものいずれは頭打ちになるのが目に見えているのだ。

 

 ここで少し解決できるかもしれない方法が見つかった。

 それはとても喜ばしいことではあったのだ。

 

「師父よ、ロムルス、スラン、ドイルにも報せねば!」


「……うむ。まぁその辺りはゆるりといこうではないか! 温泉地でな!」


「ぬははははは! それはいいですな!」


 国王も温泉地を気に入っているのだ。

 早速だが、王家からも人を派遣するほどには。

 おじさんからの要望をこれ幸いと、人材選びも自分でしたのである。

 

 ちなみに王家からの派遣先として温泉地は特大の人気であった。

 なにせ全員が希望したのだから。

 不満がでないように調整するのが大変だったのは秘密である。

 

「ならば、行くとするか!」


 学園長はスキップしそうなくらいの勢いだ。

 なんて良いことを思いついたのだ、と。

 

「師父よ、あちらにいい酒を送っておきましてな」


「ほう。陛下が言うとなると……サン=オルディナールか」


 有名な銘柄なのだ。

 王家の所有する領地で作られるワインである。

 昔から王家御用達の高級品だ。


「ご名答! いいのがありましてな。それを樽ごと」


「陛下、よくぞ成長なされましたな!」


「ぬはははは。これも師父の教えあっての賜物ですな」


 二人で笑い声をあげる国王と学園長だ。

 そんな国王の首根っこがむんずと掴まれた。

 

「ぬへえ!」


 変な声がでてしまう国王だ。

 咳き込みながら、背後を振り返る。

 そこにいたのは王妃であった。

 

「あなた! あのサン=オルディナールを温泉地に送ったのですか!」


「ええと……」


 なぜ王妃が怒っているのかわからない国王だ。

 学園長はスッと気配を消した。

 巻きこまれたくなかったから。


「あれは! この子が成人して次代の王位についたら皆で楽しもうと購入したものではなかったのですか!」


「はうあ!」


 すっかり忘れていた国王である。

 確かそんなことを言った記憶があるのだ。

 ただ……適当な言い訳だったからすっかり忘れていた。

 

「い、いや……忘れておらんぞ。うん。大丈夫!」


「大丈夫なわけあるか、このぼんくらが!」


 ぱっかーんといい音がした。

 国王の頭がはたかれたのである。

 王妃に。

 

 夫婦喧嘩は犬も食わない。

 ということで――。

 

「し、師父!?」


「どこへ行こうと言うのです。まさか今から温泉地で一杯なんてことはないでしょうね!」


 ぎくりとする国王だ。

 女の勘というのは恐ろしい。


「い、いや、ち、ちが……」


 あだだだだ、と国王が叫ぶ。

 耳を引っ張る王妃である。

 

「あ゛あ゛ん?」


「ち、ちがう! は、話を聞いてくれえええい!」


「うるさい!」


 ぎゃああああ。

 国王の身になにがあったのか。

 王妃以外は知らないのである。


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