表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強制的に転生させられたおじさんは公爵令嬢(極)として生きていく  作者: 鳶丸
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1156/1273

1122 おじさんちょっとしたデモンストレーションをする


 学園長との話し合いを終えて、おじさんが闘技場ダンジョンに戻ってきた。

 と、同時におじさんは目を見開いていた。

 

 男子組四人を含めて、全員が闘技場の外で仰向けになっていたから。

 息を荒げ、悔しそうな顔をしている。

 

 いや、ケルシーだけはお尻を持ち上げるような形でうつ伏せだ。

 ビクビクとたまに痙攣している。

 

「なにかありましたの?」


 黒騎士に聞きながら、治癒魔法を発動するおじさんだ。


「リーは自覚なし、か。まぁかんたんに言えば、皆のやる気に火がついたということじゃよ」


「まあ! そうですの?」


 ちょっと驚いてしまうおじさんだ。

 あの蛮族たちが? とは口にしないが。

 

「リーや。少しワシの話を聞いてくれんか?」


「もちろんですわ」


「皆、リーとウナイの試合には思うところがあるのじゃよ」


 ふむ、と頷くおじさんだ。

 

「リーとて、その強さを得るためにはたゆまぬ努力を続けてきたであろう?」


「そうですわね……」


 おじさんは病気知らずだった。

 いや、現在進行形で病気になったことがない。

 恐らくは女神の寵愛を受けているからだ。

 

 だから、晴れの日も風の日も雨の日も雪の日も。

 来る日も来る日も練習してきたのだ。

 一日も休むことなく。

 

 おじさんという中の人がいたからだ。

 ふつうのお子様はそんなことできやしない。

 

「その時期がな、きたということじゃよ」


「ほおん……」


「ま、あまり実感がなさそうじゃの」


 ははは、と笑う建国王こと黒騎士である。

 

「リー、明日の前哨戦じゃ。ちと手合わせをしようか」


「……かまいませんが? ひょっとして……あなたもかぶれましたの?」


「ま、そんなところじゃ」


 呵々大笑。

 豪快に笑う建国王が大剣を肩に担いだ。

 

「皆、しかと見ておくが良い」


 おじさんが舞台に上がった。

 軽く跳んだのだ。

 

 同時に黒騎士が踏みこんでいた。

 圧倒的な速度、そして振り下ろされる大剣の迫力。

 それは舞台ごと真っ二つにしそうな勢いであった。

 

「……まったく。エーリカかケルシーのやりそうなことですわね」


 すっと目をそらす蛮族たちだ。

 心当たりがありすぎるから。

 

 動じることなく、おじさんが言う。

 すぐ目の前にまで大剣が迫っているのに。

 

 ――当たった。

 

 誰もがそう思った瞬間、おじさんの身体がブレた。

 ほぼ同時に黒騎士の大剣が折れる。

 

 おじさんが身体をずらし、その勢いで大剣の腹を叩いたのだ。

 だが、それだけで折れるほど軟弱な剣ではない。

 

 おじさんの目が捉えていたのだ。

 剣の弱点とも言える赤い点を。

 

 学園長の身体で実験したときと同じである。

 やはり赤い点は弱点なのだ。

 

 きぃんと金属特有の甲高い音がする。

 

 くるくると回って、大剣の先が床を転がった。

 皆の目がそちらにいく。

 

 だが、おじさんと建国王はさすがであった。

 しっかりとお互いを見て、戦闘を継続していたのである。

 

「むぅ……我が愛剣をへし折るとはのっ!」


 建国王が柄をおじさんにむかって投げる。

 ただの牽制だ。

 

 もちろん、おじさんも理解している。

 だからほぼその場を動かずに、わずかな動きだけ躱す。

 

 建国王が再び踏みこんでくる。

 舞台を割らんとするばかりの震脚。

 そこから繰りだされるのは、大砲のような豪拳であった。

 

「あ!」


 誰が声をだしたのか。

 ただ、他の者も思いは同じだ。

 あの技にやられたのだから。

 

 リー様! そう叫ぶ前に黒騎士の拳がおじさんに肉薄する。

 

「ふふ……奥伝ですわね」


 おじさんが瞬時にして魔力を手にまとわせる。

 そしてらせん状に回転させた。

 

 ばちちち、と火花が散るような音がする。

 

 おじさんが黒騎士の豪拳を受けとめたのだ。

 掌で。

 

「ほう! リーも使えるのか?」


「今ではカラセベド公爵家の奥伝として伝わっていますので」


「ククク……そうか。あやつがいちばん巧かったからのっ!」


 接近してからの蹴りだ。

 なにもかもなぎ払うかのような迫力がある。

 

「そちらも既に覚えていますわ」


 足にも魔力をまとわせ、回転させるおじさんだ。

 体勢を変えるようにして蹴りで相殺する。

 

 またもや、ばちちと音が鳴った。

 

「ほう! 素晴らしいな!」


「この程度なら、いつでもできますの」


 おじさんの右腕に焔が巻きついていた。

 左腕には風が、右足には氷が、左足には雷が。

 

「……え? 知らないんじゃが」


「だって、わたくしが進化させたのです! これは魔法となる以前の魔力、そこに属性を与えたものですわ」


 今度はおじさんが踏みこむ。

 その速度は建国王の比ではなかった。

 

 もはや、おじさんの身体がすり抜けたかのような感覚。

 建国王は、そう感じていた。

 

 で、おじさんはと言えば、建国王の背後にいた。

 一瞬の踏みこみで移動したのである。

 

「黒騎士さん、背中がお留守ですわよ」


 とん、と左手にまとった風の魔力を流すおじさんだ。

 

「なぬ?」


 衝撃がこないことに建国王は驚いていた。

 しかし、次の瞬間。

 

 建国王の身体は宙に浮いていた。

 いや、押し流されていたとも言えるだろう。

 おじさんの風の魔力によって。

 

 しかも、この魔力はらせんの動き。

 

 建国王の身体が空中でぐるぐると螺旋を描く。

 そして――結界にぶち当たった。

 

 ふわり、とおじさんの髪が舞う。

 

「と言うことで、ありがとうございました」


 すっとカーテシーを決めるおじさんであった。

 

「か、かかかか、かっこいいいいい!」


 蛮族一号と二号が叫んだ。

 ほええと口を半開きにして、おじさんを見ている。

 

「リー! 今のどうやるの!」


「やりたい!」


 一号と二号がおじさんの周りをぐるぐる回る。

 そんな二人の頭をなでるおじさんだ。

 

「教えてもいいですが、かなり精緻な魔力制御と魔力操作が必要ですわよ」


「やりたい!」


 一号と二号が声を揃える。

 

「ん~先日、やったでしょう? 動きながら魔力を操作する」


 首を傾げる一号と二号だ。

 先日、きぃええええと叫びまくった件は忘れたようだ。

 

「あれを極めた先にあるのが、先ほどの技です」


 ということで、とおじさんは気づいた。

 一号と二号の後ろに列ができている。

 

 撫でられ待ちだ。

 さすがに男子組は参加していないが……。

 

 ちょっと羨ましそうに見ている。

 

「ま、ご褒美になるかはわかりませんが……」


 おじさんは一人一人頭をなでていくのであった。

 

「ぬぅ……最初にあの技を作ったのはワシなんじゃがのう」


 建国王はぼそりと呟く。


「軽々と超えられたか」


 ふふ……と建国王は笑った。

 

「リー! ひとつ良いか!」


「なんでしょう?」


 頭をなでながら答えるおじさんだ。

 

「明日の試合、ワシが立ち会い人を務めよう!」


「それはこちらからお願いしようと思っていましたの」


「うむ。では、引き受けた!」


 かかか、と笑う建国王こと黒騎士である。

 

「さて――皆も明日の戦いはよく見ておくのですよ?」


 おじさんの言葉に頷くアルベルタ嬢たちだ。

 男子組も興奮して、何度も頷いている。

 

「きぃいいいええええええ!」


 蛮族一号と二号を除いて……。

 やる気はあるのだ。

 

 ただ、技術が追いつかないのである。

 あと精神的な耐性がない。

 

「お嬢様、私も少し黒騎士殿と……」


 おじさんちの侍女だ。

 ちょっとウズウズしてきたのだろう。

 

「時間もありますし、いいですわよ」


「やろうではないか!」


 さすが王国の始祖である。

 脳筋なのは隠せない。




+++

宣伝です

ホラーの短編小説をアップしました

1日3話更新、今日で完結する予定です

もしよろしければ下記からどうぞ

https://ncode.syosetu.com/n9405ln/

+++

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ