1話 手紙の中身
私の目覚ましが鳴ったのは7月20日の7時30分であった。
まだ寝足りないと思いながらも、目を開ける。
カーテンから差し込む光に目を細めながら、私は眼鏡をかけた。
この時間に起きるといつも、一階から秀斗の声が飛んでくるのだが。
「おーい、加鳴ー、起きたかー?朝ごはんできてるよー」
ほら、呼ばれた。
私の平日はいつもこんな感じだ。
朝ごはんはいつも彼氏の秀斗が作ってくれる。
私は甘いジャムの匂いに誘われて1階に降りた。
「おはよう、加鳴ちゃん、朝にポスト見たら加鳴ちゃん宛に手紙がとどいてたよ。」
と、秀斗のイケメンボイス。私は朝からまたキュンキュンしてしまった。
この胸のたかなりは、いつまで続くのだろうか、私の心臓が持ちそうに無い。
私はおはようと、ダイニングテーブルに置いてある朝食を見渡し、手紙に手を伸ばした。
誰からだろう。封筒には私の家の住所と風森 加鳴 様と書かれている、私宛なのは確かだが、差出人は書いていない。
差出人不明で不安ながらも、封筒をペーパーナイフで開けた。中には一枚の手のひらサイズの白い紙が入っていた。
「風森 加鳴様へ このたびは、突然なお手紙、失礼します。あなたに伝えねばならないことがあります。あの方が来たら屋根裏にある、エメラルドグリーンに輝いた石を渡してください。 」
「は?」っと思わず声が出てしまった。あの方とは誰のことだろう。そもそも、私の家には屋根裏がない。エメラルドグリーンに輝く石、そんなのが、家の屋根裏にあるなら、やねを開けてでも探して見ようかな。
でも、そんな事したら大家さんに怒られるのは間違えなし。
「んー?どうした、手紙誰からだった?」と朝ごはんを黙々と食べている秀斗が言った。
「これ、差出人どこにも書いてないのよね」
どれどれと、秀斗が手紙を広げる。
ふむふむ、とまじまじと手紙を見て
「明日にでも、屋根裏見てみるか?なんかも面白そうじゃん。」
秀斗は宝をこれから見つけ出す子供のように、目をキラキラと輝かせた。
私はその手紙を寝室にあるタンスの中にしまった。




