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『「100円のゴミしか出せない」と追放されたが、魔導兵器も無制限調達でした〜緩衝地帯で要塞村を作ったら今更泣きついても遅いです』  作者: 月神世一


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【PV大逆転】「神々も注目するS級スローライフ」

【PV大逆転】「神々も注目するS級スローライフ」

 ポポロ村に『ルナキン(ファミレス)』と『ルナミスーパー銭湯』が建設されてから数日。

 村の生活水準は、かつてない高みへと到達していた。

「タクミ様! 見てくださいませ! いただいたこの四角い板、すごいんですの!」

 ファミレスの特等席で、リーザが興奮気味に黒い板——俺が【ポッキリショップ】で100円相当として召喚した『100均スマートフォン』と『100均配信用リングライト』を掲げていた。

「このボタンを押すと、私の姿が画面に映るんですの! 昔、王宮で見た『遠見の魔鏡』と同じ……いえ、それ以上に綺麗ですわ! これで私、またアイドル活動ができますの!」

「あぁ、好きに使ってくれ。Wi-Fi……というか魔導通信網も100円のルーターで村中に飛ばしてるから、世界中どこにでも配信できるはずだ」

 地球の100均にも売っているスマホ用スタンドやマイク。それらが俺のバグスキルを通した結果、なぜか『8K超高画質・自動追従AI搭載・次元通信突破型・超魔導配信用機材』へと進化して実体化していた。

「やりますわ! 私、ポポロ村の素晴らしさと、私の可愛い姿を世界に発信して、投げスパチャをガッポリ稼いでみせますわ!」

 リーザは強欲な笑みを浮かべると、さっそくスマホの配信ボタンをタップした。

『あー、あー、テステス! 世界の迷える子羊の皆様、こんにちは! 絶対無敵のスパチャアイドル、リーザですわ! 今日は私が拠点にしているポポロ村の、夢のような生活を大公開しちゃいますの!』

 リーザの背後では、俺が100均で召喚した『豚神屋ぶたがみや』監修の二郎系ラーメン——極太麺にドカ盛りの野菜、そして暴力的なまでの背脂とニンニクが乗ったどんぶりが湯気を立てている。

「タクミっち、ニンニクの匂いがエグいで……」

「これがいいんだよ。前世じゃ、金曜の夜しか食えなかったからな。ズズッ……うまっ」

『見てくださいこのお食事! お肉が輝いておりますの! そして食後は、あちらの超巨大温浴施設『ルナミスーパー銭湯』で、心も体もリフレッシュできちゃうんですのよ!』

 リーザがカメラを外に向け、城のようにそびえ立つスーパー銭湯の全貌を映し出す。

 俺たちはのんびりとラーメンをすすりながら、彼女の配信を微笑ましく眺めていた。

 この時、俺の召喚した100均通信機が、次元の壁すらも突破して『神々の配信サイト(ゴッドチューブ)』のトップページに強制割り込み表示されていることなど、知る由もなかった。

——天界セレスティア、世界神の執務室。

「あー、もう! 勇者ゼロスの配信、全然面白くないじゃない! なによこれ、チビの男が泥まみれになりながら、臭そうな魚かじってえずいてるだけじゃないの!」

 第3種惑星創造神格公務員であり、永遠の17歳(自称)を名乗る女神ルチアナは、芋ジャージ姿で健康サンダルを突っかけ、ピアニッシモ・メンソールを吹かしながら、デスクに突っ伏していた。

 神々の予算と権力は、彼らが管理する世界から得られる『ゴッドチューブ』のPV(視聴数)で決まる。

 ルチアナの後輩であり、最近調子に乗っている炎上神ワイズが契約した『勇者ゼロス』のチャンネルは、少し前まではヤラセの悲劇と逆転劇でそこそこのPVを稼いでいた。

 だが、ここ数日は悲惨の一言だった。

「防衛拠点は更地になってるし、飯はゲロオムレツだし……。ワイズの奴、スポンサーのくせにちゃんと兵站ロジスティクスを支援してないわけ? こんなんじゃ、アナステシア世界の総合PVが落ちて、私の給料も減っちゃうじゃない!」

 イライラしながらエンジェルすまーとふぉんをスクロールしていたルチアナの手が、ふとピタリと止まった。

『絶対無敵のスパチャアイドル、リーザですわ!』

 画面の端に、突如として『8K画質』という神界の機材すら凌駕する超絶クオリティのサムネイルが出現したのだ。

 タップしてみると、そこに映っていたのは——。

「な、ななな、何これぇぇぇっ!?」

 ルチアナは咥えていたタバコをポロリと落とした。

 画面の中では、人魚姫が豪華なファミレスで極上のハンバーグを頬張り、その後ろで、冴えない顔をした青年が『二郎系ラーメン(ニンニクマシマシアブラカタメ)』を凄まじい勢いですすっている。

「じ、二郎系ラーメン……!? ファミレス!? なんでアナステシア世界に地球のインフラがあるのよ!? ど、どういうこと!?」

 ルチアナが混乱していると、執務室のドアがバンッ! と開いた。

「ルチアナ! 見たか今の配信!」

「ス、スアイ!?」

 飛び込んできたのは、元氷魔将軍にして、現在はフリーのガチキャンパー兼DIY女子としてポポロ山を開拓している永遠の17歳、スアイだった。

 タローマン製のオーバーオールを着た彼女は、スマホの画面をルチアナに突きつけた。

「サ、サウナだ……! あの村に、本格的なサウナと水風呂がある! しかもあの青年の周りには、私が喉から手が出るほど欲しい最新のキャンプギア(100均グッズ)が山のように……! ハァ、ハァ……と、ととのいたい……っ!!」

「ちょっとスアイ、落ち着きなさいよ! 鼻息荒い!」

「落ち着けるか! あの村はどこだ! 緩衝地帯のポポロ村か!? すぐに行くぞ!」

 冷静沈着な氷魔将軍が、サウナと現代インフラの誘惑に完全に正気を失っていた。

 その時、ルチアナの端末に、魔王ラスティアからの通信が入る。

『ルチアナ! なんなのあの美味そうな飯は! しかもあのタローマンってホームセンター、私の趣味に刺さる品揃えじゃない! アバロン魔皇国の国庫を切り崩してでも、あの村の特産品を買い占めるわよ!』

「魔王まで!? ちょ、ちょっと待って……これ、やばいわ!」

 ルチアナがゴッドチューブのランキングを確認すると、リーザの配信枠は、開設からわずか数十分で視聴者数が天文学的な数字に跳ね上がり、『世界デイリーランキング堂々の1位』に躍り出ていた。

 神々も、魔王も、世界中の権力者たちも。

 誰もが、タクミの作り出した『規格外のS級スローライフ』と『極上の飯テロ』に完全に釘付けになっていたのだ。

『皆様、たくさんのコメントありがとうございますの! おっと、ここでスーパーチャットが! 「永遠の17歳女神」様から金貨100枚! 「サウナ行きたいキャンパー」様から金貨500枚!? ひゃあああっ! ありがとうございますわぁぁぁっ!』

 画面の中で、リーザが大量の神力スパチャを浴びて歓喜のダンスを踊っている。

 ポポロ村には今、世界の富と注目がブラックホールのように吸い寄せられていた。

「ぜ、ゼロス様……」

 冷たい雨に打たれる森の中。

 泥まみれの副官が、震える手で魔導通信端末をゼロスに差し出した。

「なんだよ……。魔人ギアンとの交渉は済んだのか? 早く死蟲機をポポロ村にけしかけろ」

「そ、それが……ギアン様からの通信が途絶えました。それどころか、ゴッドチューブにおけるゼロス様のチャンネルの視聴者数が……ついに『ゼロ』になりました……」

「は……? ゼロ? バカな! 俺は勇者だぞ!? じゃあ、今世界中の奴らは何を見てるってんだ!」

 ゼロスが副官の端末をひったくり、画面を覗き込む。

 そこには、暖かな暖炉の火が揺らぐファミレスで、タクミがキャルルやリーザたちと、大皿に乗った『熱々のフライドポテト』と『極上のステーキ』を笑いながらシェアしている姿が大写しになっていた。

『——いやー、サウナ上がりのメロンソーダは最高だな』

『タクミさん、私にも一口ちょーだい!』

『アカンて兄ちゃん、この特上カルビ、原価100円はバグやて!』

 和気あいあいとした、天国のような光景。

 コメント欄には『飯テロすぎる』『あの村に行きたい』『勇者のゲロオムレツ配信とは天地の差だなw』という、ゼロスを嘲笑する書き込みが滝のように流れていた。

「あ、あ、あああああっ……!」

 ゼロスは端末を地面に叩きつけ、泥水の中に膝から崩れ落ちた。

 自分が「無能」だと切り捨てた男が、自分を遥かに凌駕する注目と富を独占し、世界中から賞賛を浴びている。

 しかも、自分から奪い取ったわけでもなく、ただ『普通に生活しているだけ』で。

「タクミィィィィィィィッ!! 許さねぇ……絶対に許さねぇぞ! 俺の栄光を、俺のPVを返せぇぇぇぇっ!!」

 雨と泥にまみれ、ゲロオムレツの悪臭を放ちながら、勇者は血の涙を流して絶叫した。

 嫉妬と焦燥に狂ったゼロスは、もはや後戻りできない決断を下す。

 スポンサーであるワイズ神の力を借り、自らのステータスを限界まで前借り(リボ払い)して、ポポロ村を直接襲撃する——という、最悪の愚行に走ることになるのだった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

「二郎系ラーメンの飯テロ最高!」

「神々も夢中になるサウナとファミレスww」

「勇者のチャンネル視聴者ゼロは笑った、完璧なざまぁ!」

と、少しでもスカッとしていただけましたら、ぜひページ下(または上)にある

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皆様の応援スパチャが、作者の大きな執筆エネルギーになります!!

次回、第7話「【焦燥と陰謀】スポンサー(邪神)の怒り」

焦った勇者と炎上神が、ついにポポロ村へ魔物をけしかける! しかし、そこには100均チートの絶対防衛網が……!? お楽しみに!

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