表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『「100円のゴミしか出せない」と追放されたが、魔導兵器も無制限調達でした〜緩衝地帯で要塞村を作ったら今更泣きついても遅いです』  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/17

【Love & Money】「強欲アイドル、全てを奪う」

【Love & Money】「強欲アイドル、全てを奪う」

「ひははははっ! 見ろタクミ! これが俺の隠し財産! 神界の税務調査から逃れるために、オフショア口座(裏ダンジョン)に隠し持っていた『特級魔宝石(課金石)』だ!」

 泥だらけの勇者ゼロスは、血走った目で真っ赤に輝く宝石を天高く掲げた。

 彼が持つユニークスキル【マネー】は、文字通り『財産(課金)』を消費することで自身のステータスを一時的に爆上げする能力である。

「この石一つで、金貨数万枚の価値がある! これを全部スキルに突っ込めば、俺のステータスは限界を突破し、キャルルだろうがお前の100均防衛網だろうが、すべて粉砕できるんだよぉぉっ!」

 ゼロスの身体が、不気味な赤いオーラに包まれ始める。

 起死回生を狙う勇者の最後の悪あがき。

 だが、その『金貨数万枚』という言葉に、この世界で最も敏感に反応する少女がいた。

「——金貨、数万枚……!?」

 ピクッ、とリーザの頭のアンテナ(アホ毛)が激しく反応した。

 元人魚姫であり、パンの耳と雑草で命を繋いでいた極貧の地下アイドル。

 彼女はマイク代わりのフライドポテトを握りしめ、キラキラとした、しかしどこか深淵を覗き込むような『強欲』の瞳でゼロスを見つめた。

「アイドルは、おスパチャを持ってるファンを、絶対に見逃しませんのよ……♡」

「な、なんだお前は! 引っ込んでろ!」

「ふふっ、ステージに上がったアイドルは、誰にも止められませんわ! さぁ、私の歌を聴いて、貴方の『すべて』を私に捧げてくださいな!」

 リーザはスマホの配信カメラに向かってウインクを飛ばすと、どこからともなく『お賽銭箱型掃除機』を取り出した。

 木製の古びた賽銭箱に、掃除機のノズルがついた謎の魔導具。

 それこそが、彼女のユニークスキル【貧乏神】の具現化であった。

「ミュージック、スタートですわ!」

 チャリーン♪ という軽快なSEと共に、リーザのライブが幕を開ける。

『五円! 五円! 御縁! 御縁! ハイ!』

『五円! 五円! 御縁! 御縁! ハイ!』

「な、なんだこのふざけた歌は……! え? ……ひっ!?」

 ゼロスが掲げていた『特級魔宝石』が、突如としてパラパラと崩れ始めたではないか。

 崩れた宝石は無数の『五円玉(真鍮の硬貨)』へと姿を変え、宙を舞い、リーザの構える『お賽銭箱型掃除機』のノズルへと凄まじい勢いで吸い込まれていく。

あかでもない しろでもない』

『狙い打つのは 真鍮しんちゅうのゴールド!』

『穴の向こうに 未来が見える』

『覗いてみてよ 私とキミのディスタンス!』

「あ、あぁぁぁっ!? 俺の課金石が! 俺のステータスの源が吸い込まれていくぅぅっ!?」

 ゼロスは慌てて宝石を胸に抱え込もうとしたが、無駄だった。

 リーザの【貧乏神】スキルは、対象の『運気』『能力』『全財産』を強制的に没収し、弱体化させるという極悪非道なデバフ能力。

 ひとたび彼女の『集金ライブ』のターゲットになれば、隠し財産はおろか、電子マネーの残高に至るまで、一円残らず吸い尽くされるのだ。

「や、やめろ! 返せ! それは俺がヤラセで稼いだ血と汗の結晶だぞ!」

「『ちょっと重いかな?』って五十円!」

「『重すぎて無理!』って五百円!」

「身軽な愛をジャラジャラさせて、私の配信ステージ投げ込みカモン!」

 ズゴゴゴゴゴゴォォォォッ!!

 掃除機の吸引力がさらにアップする。

 ゼロスの懐から、財布、隠し持っていた金貨、さらには彼のスキル【マネー】に蓄積されていた『ステータスポイント』までもが、黄金の粒子となってリーザのお賽銭箱へと吸い込まれていく。

 ちなみに、吸い込まれた財産はリーザの懐に入るわけではなく、文字通り『無(虚無)』へと還る。純粋な破壊ロストである。

『絶対無敵のスパチャアイドル!』

『五円が積もれば山となる!』

『御縁をちょーだい キラキラ☆キラリ』

『推しの生活 支えてちょーだい!』

「あ、あああ……俺の……俺の口座残高が……! ゼロに……マイナスになっていく……!!」

 ついに特級魔宝石は完全に砂と化し、ゼロスの身体から湧き上がっていた赤いオーラも完全に霧散した。

 そればかりか、着ていた衣服(辛うじて残っていた魔導服の残骸)すらも価値を吸い取られ、ただのボロボロの麻布へと変わってしまった。

『ハイ! ハイ! スパチャよろしく!』

 キュイィィィン……ポンッ!

 掃除機のスイッチを切り、リーザはカメラに向かって完璧なアイドルスマイルとピースサインを決めた。

 世界中に配信されていたそのライブ映像には、『リーザちゃん可愛い!』『スパチャの吸引力ダイソン超えww』『勇者の財産全ロスしてて草』と、爆発的なコメントが寄せられている。

「……あ、あ……」

 広場に崩れ落ちたゼロスは、もはや立っていることすらできないほどに弱り果てていた。

 【マネー】のスキルを完全に無力化され、ステータスは一般人以下。体力も筋力もなく、文字通り『スッカラカン』のチビな男に成り下がったのだ。

「いやー、素晴らしいステージやったでリーザちゃん。ワイの算盤も感動して震えとるわ」

 パチパチパチ、と嫌味な拍手をしながら、ニャングルがゼロスを見下ろした。

 彼の手には、先ほどの『金貨10万枚の請求書』が握られている。

「さて、勇者……いや、ただの無一文のオッサン。この金貨10万枚、どうやって払うてくれるんや? 隠し財産もゼロになったみたいやし、臓器売っても足りへんで?」

「うぅ……ひぃっ……」

 ゼロスは恐怖に顔を引きつらせ、ガタガタと震えながら後ずさった。

 だが、彼に逃げ道はない。

 突如として、ゼロスの背後の空間がグニャリと歪み、そこから『サングラスをかけ、黒のスーツを着た筋骨隆々のレスラー体型の男たち』が二人、無言で現れたのだ。

「ひっ!? な、なんだお前ら!」

 天界の借金取り——神々のクレジットカード滞納者や、悪質な契約違反者を連行するために遣わされる、通称『黒服』である。

 ワイズ神への借金(リボ払い)が焦げ付いたゼロスを回収しに来たのだ。

「ゼロス・ディバイン。スポンサー契約解除に伴う債務不履行、および度重なる不正行為を確認。……これより、強制労働施設への連行を執行する」

 黒服の男たちは、ゼロスの両脇をガシッと掴み、軽々と持ち上げた。

「は、離せ! 俺は勇者だぞ! こんな扱いが許されると……!」

「行き先は、シーラン海沖合の『マグローザ漁船』だ。借金を返し終わるまで、船内通貨『K(ケツフキのK)』でチンチロでもしながら、一生魚の餌付けをしてこい」

 バカッ! と、黒服の一人が巨大なスーツケースを開き、ゼロスを物理的に折りたたんで無理やり中に詰め込み始めた。

「や、やめろぉぉぉっ! 狭い! 臭い! 助けて! タクミ、助けてくれぇぇぇっ! お前が一声かければ、この村の金で俺の借金を……!」

 スーツケースの隙間から、涙と鼻水にまみれたゼロスが俺に向かって絶叫する。

 俺はタブレット端末から視線を上げ、冷ややかに言い放った。

「悪いが、金はない。俺のスキルは『100円』をバグらせるだけで、現金を生み出すわけじゃないからな。……それに、俺はファミレスの『秋の新作・マサカ茸の和風パスタ』の原価計算で忙しいんだ。達者でな、元・勇者殿」

「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!!」

 バタンッ!

 ジッパーが容赦なく閉められ、ゼロスの絶望の悲鳴はスーツケースの中に封じ込められた。

 黒服たちは一礼すると、スーツケースを担いで歪んだ空間の中へと消えていった。

 理不尽な追放劇から始まった、炎上勇者ゼロスとの因縁。

 それは、彼自身の身勝手さと強欲さ、そして俺の『100均チート』と仲間たちの前で完全にへし折られ、マグローザ漁船行きという哀れな末路をもって、完全な幕引きを迎えたのである。

「ふぅ。これでやっと、静かなスローライフに専念できそうだな」

「お疲れ様タクミさん! 今日はルナキンで祝勝会だね!」

「よし! ワイがとびきりのサケスキー(高級酒)を開けたるわ! もちろん、タクミっちの奢りでな!」

「私は食後のデザートに、ハニーかぼちゃのパフェをお願いしますわー!」

 すっかり日常の平和を取り戻したポポロ村。

 俺は仲間たちの笑顔に囲まれながら、ようやく手に入れた『最高の居場所』で、ゆっくりと背伸びをしたのだった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!

「リーザの貧乏神スキル強すぎるww」

「ステータスも財産も全ロスは最高のざまぁ!」

「マグローザ漁船(蟹工船)へスーツケース詰めでドナドナされる勇者(笑)」

ついに勇者ゼロスのざまぁが完全決着いたしました!

スカッとした! 面白かった! と思っていただけましたら、ぜひページ下部(または上部)の

【ブックマークに追加】

【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価

をポチッと押して、タクミたちの今後のスローライフを応援していただけますと幸いです!

皆様の「★」評価が、作者にとって最高のスパチャ(執筆エネルギー)になります!!

次回、第12話。

ゼロスの脅威が去り、平和になったポポロ村に、なんと『ジャージ姿の女神様』たちがお忍びでご来店……!? 神々をも虜にする100均スローライフの続きをお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ