表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/100

迷惑な兄妹

日曜の朝から連れ出され髪を切りに。

いくら親から頼まれたからって断って欲しいな。

せめてさっぱりしたんだからまともな感想ぐらい言ってよね。

それにしてもご褒美って何だろう? まったく思いつかない。

昨日のあれがなければいくらでも思い浮かんだだろう。

しかしあれを上回るご褒美など果たしてあるのだろうか?


「ご褒美って何かな? 」

「キス…… 」

「間に合ってます」

感情を抑え拒否する。

「もう本当にしてあげないよ」

別にそれは構わないが傷つかれても困るからな。

ここはお言葉に甘えてキスをしてもらうか。

ああ本当に情けない。


人のいないところでキス。

「これってご褒美なの? いつもしてると思うけど? 」

「うん。元気がしたそうにしてたから」

僕のせいにしようとする。確かに僕はキス好きだけど人前ではさすがに無理。

まるで人に見せつけるみたいで格好悪い。そこまで自分に自信がもてない。


昨日から一転して晴れ渡る空。きっと洗濯物も乾くんだろうな。

「そろそろ戻ろうか元気」

そう言って手を繋ぐがなぜかまだ帰らせてくれない。

手をぎっちり繋がれ自由を奪われて情けない限り。

ついに駅前まで来てしまった。一体ここに何があるのか?

「元気がかわいそうだから助けてあげる」

どうも言ってることがよく分からない。ただ僕の為に何かしてくれるのだろう。

余計なお世話だが彼女がそうしたいのなら任せるとしよう。

でもミツキちゃんだからな。あまり信用できない。

手を離してもらえずにゆっくりと改札方面へ。まさか駅に?

一人で帰ればいいのに僕を巻き込む。なぜだ? なぜなんだ?

ミツキちゃん宅へと歩みを進める。


「おい冗談だろう? まさかこんな言い逃れ不可の現場を光に見せつける気か?」

「ふふふ…… そこまでバカじゃない。いいからよく見てて」

あれ? ミツキちゃん宅前の通りに人影が。どうやら家の様子を窺っているよう。

これは不審人物か? ミツキちゃんは僕に何とかしてもらいたがってるのか?

ではご希望に応えて…… いやいやだからっておいと言って颯爽と登場できない。

そんな度胸があるはずがないじゃないか。仕方なく静かに見守ることに。

一体誰なんだ。足は震えるばかり。

ミツキちゃんは僕の気も知らずに押し出そうとする。冗談でもやめろよな。


嘘…… まさか碓氷さん? いやこれが日常だった気もする。

光にしつこく付きまとうストーカーのような存在。

僕はもちろんミツキちゃんも早い段階で気づいてる。知らないのは光本人だけだ。

「ふふふ…… 行こう元気! 」

ミツキちゃんは自由だ。どこまでも自由。どうしてこんな状況に陥ったのか不明。

もう訳が分からない。誰にでも彼にでも見せつけようとしてるかのよう。


「待ってくれって! これはまずいって…… 」

なぜ碓氷さんの前でミツキちゃんと恋人ごっこしないといけないのか。

確かに昨日取り返しのつかないことはしたがそれでもミツキちゃんが喜ぶならと。

だけど何も碓氷さんに見せつけなくてもいいじゃないか? 異常だよ。

今までの努力が無駄になってしまうぞ。

「ほら早く! 」

まるで見せつけるように無理やり腕を組む。

「いや。だからさ…… 」

「元気早くしてよ! 」

「ああ…… 」

堂々と碓氷さんの前を横切る。

当然向こうも僕の存在に気づいてるはず。そうでないとおかしいと言うか悲しい。

こうしてそのまま近くの公園まで連れて行かれる。


「ふふふ…… どうだった? 緊張したでしょう? 昔の女に会っての感想は?」

小悪魔的なミツキちゃん。まさか初めから見せつけるのが目的だったのか。

これは嵌められた。ついミツキちゃんに誘われ最悪な状況に。

でもそんなことしてどうする? ミツキちゃんなりの宣戦布告なのか?

「どう言うつもりだ? まさか碓氷さんに何かする気じゃないだろうな? 」

「何かって何? これくらいいいでしょう? 」

惚けるが常によくない感情を抱いてるからな。放っておけば何するか分からない。

当然いいはずないがミツキちゃんに付き合うしかない。


「もう。明日の楽しみにしてあげようと思ったのに。教えてあげようか? 」

笑顔が憎たらしいが我慢だ。大したことなかったらもう相手してやらない。

「ぜひ頼むよ。明日まで待てるはずないだろう? 」

「それじゃあこれね」

隙を突いてのキス。どうも最近大胆になって行く気がする。

「はあ? よく分からないんだが…… 」

「だったらもう一度」

「いや違うんだってそう言うことじゃないだろう? 悪ふざけはよしてくれ! 」

きっぱり言ってしまう。真面目に聞いてるんだからいい加減にしろよな。

つい感情的に。しかし大丈夫だ。ミツキちゃんだからな。


「おお! 元気何してるんだ? 」

呑気な光が登場。まさか密会していたなどと思われてないよな?

「もうお兄ちゃん邪魔しないで! 」

そう言ってまたしても頬にキスをする。

待てよ! なぜそのような危険な真似をする? もう信じられない。 

「よしよくやった! では続いて俺もと」

罰ゲームだから我慢してくれと意味不明な光が挨拶のキスをする。

ここは外国かよ? もう意味が分からないぜ。それとも二人して酔ってるのか?


「光…… やめろって! 何をするんだよ? 」

「悪い悪い。ちょっとゲームしてて罰ゲームで元気にキスをするだったんだ」

「そうそう。お兄ちゃんってば弱いから負けたの」

「最後だけな。それまでは五回連続勝利。勝つまでやるって聞かなかった」

「ほら元気。じっとしてて」

ミツキちゃんは罰ゲームと称して僕の頬にキス。

でもこれって本当に罰ゲーム? ドンドン過激的になってる気がするのは僕だけ?

なぜ僕を巻き込む? 二人で好きなだけやればいいだろう?

しかしどうにか修羅場は乗り切った。危ない。もはや言い訳のしようもない。


「つまらないことで巻き込まないでくれよ! 」

「だから悪いって言ってるだろう? 」

「よしせっかくだから元気もどうだ? 面白いぞ? 」

日曜の真昼間から何をしてるんだか。誘われても困るんですが。

こうしてまた呑気に三人で遊ぶことになった。

うーん。それにしても本当にこいつは鈍感だな。

迷惑な兄妹と楽しく過ごすことに。


               続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ