日曜日だってすっきり
フィニッシュ!
長々と体を重ね充分に愛を確かめ合ってから果てる。
「お疲れ様」
そんな風に称える余裕。格好をつけてるつもりはない。ただ自然と。
これが僕さ。何と言っても紳士だからな。でも紳士はこんなことしないか。
何となくだが罪悪感がある。やはりミツキちゃんが……
いやもうそんなことを気にしててはダメだ。
しかし何であれ親友の妹に手を出し裏切った事実は消えない。
「頑張ったね元気」
うわ…… ミツキちゃんの方が大人。どこで覚えたのかな?
知りたいようで知りたくない。そんな感じ。
これですべてを終えたのだからもう用はないはず。
「よしもう充分だ。さあお家に帰りな」
ふざけたことを抜かしているとものが飛んでくる。
それが現実。そしていつものセリフを吐く。
決してわざとではないが止められない。
「元気のくせに生意気! もう頼んでもしてあげない! 」
堂々の拒否宣言。相当酷い扱いをしてしまった。
悪いなと思いながらもどうしても雑な扱いになってしまう。
それでもミツキちゃんは満足してるよう。
「あーあ完全に濡れちゃった。ミツキちゃんのせいだよ」
余計な一言をつい。気が緩んだのだろう。
「元気酷い! 何でそんなこと言うの? 」
大人びたミツキちゃんも気が抜けたのかガキっぽく怒る。
まだお子様のイメージ。そこがかわいいとも言えるが。
おっと…… これ以上はよそう。もうガキじゃないさ。
一人の素敵な女性として扱うんだ。
「いや…… 実際そうだろう? 雨で濡れて洗濯物が…… 」
ずぶ濡れでどうにもならない。もうここは諦めて放っておくしかない。
留守番もできないのと言われるんだろうな。
情けない話だ。これで信用はガタ落ち。別にいいけどさ。
「洗濯物? そっち…… 」
「ははは…… 何を考えてるんだよ? 洗濯物以外あり得ないだろう? 」
「そうだね…… 」
そうやって納得したのか笑顔がこぼれる。
清々しいほどの笑顔にドキッとしてしまう。抱きしめたいほど。
しかし今から再び求めてはさすがに悪い。自分勝手だ。
それにもう僕だって限界さ。
「あの…… もう一度したい? 」
いきなりとんでもないことを言う。これはまだ興奮してるな。
「いや間に合ってます」
「もう元気ってば我慢し過ぎ! 」
そうやって笑い合う。
「ははは…… うん」
「どうしたの? 」
「いや…… 」
すべてを終えると途端に言葉数が減る。
結局は自分の欲の為に動いていたことがよく分かる。
これが愛のはずがない。ただの欲に負けただけのどうしようもない男さ。
ゆっくり時間をかけてシャワーを浴びる。
ふう…… 本当に疲れたな。これからどうしよう?
とにかくもう明日は会わなくていいかな。
ミツキちゃんも満足しただろう。
翌日。
「あの…… ミツキちゃん? どこに行くのかな? 」
朝起きたと思ったら連行される。
朝飯も食ってないのになぜか外へ。眠いし意味が分からないんですけど。
「いいから着いて来なさい! 」
怖い。命令口調だ。まさか昨日粗相があってそれで怒ってる?
でも嬉しそうに満足そうにしてたよな。だったら問題ないはずなんだが。
一体どこに連れ出そうと言うんだ? まったく読めない。それだけに怖い。
「ほら早く! ダメでしょう! 」
無理矢理引っ張られて文句を言われる。まったっくもって意味が分からない。
これでは駄々っ子を注意する母親だよ。恥ずかしくて仕方がない。
いい笑いものじゃないか。まさか親子プレーがしたくなったか?
だとしたらここは素直にママと言うべきだろうか?
いやいやそんなタイプじゃない。ミツキちゃんに限ってそんなことするものか。
母親? 子供? するとまさか僕たちの……
待ってくれ…… それはないよな。だってきちんと例のブツを使った訳で。
でも絶対はない。どんなことでも絶対はない。たださすがに早過ぎる。
人間ではあり得ない。さすがにエイリアンでもないとあり得ない話。
光に確認してみるかな。
到着! ようやく解放された。もう本当に強引なんだから。
ここは床屋…… いや美容院かな?
まさか…… ミツキちゃんは美容師になりたいのか?
でもだからって日曜の朝っぱらから連れ回さなくてもいいだろう。
美容院デートなんて渋すぎるよ。それで何をするの?
「一名お願いします」
そう言って整理券を手に取ると席に座る。
落ち着いたところで話を聞くことに。
「どうしたのミツキちゃん? 」
「ハイ静かに。お母様に言われたんだから」
どうやら想像と大して変わらない現状。
そう言えば二か月は髪を切ってなかった。
長過ぎると指摘されたけど髪の毛が目に掛からなければいいと流していた。
でもこれくらいどうってことない。
「では次の方どうぞ」
「呼ばれたよ元気。さあ行って」
「ちょっと待ってくれよ。なぜ美容院デート? 」
「だからデートじゃない! ものぐさだから何とかして欲しいってお母様に」
ミツキちゃんは僕よりも母さんの言うことを聞くらしい。
失望したよ。しかしここまで来れば断れない。下手すれば恥を掻くことになる。
ここは冷静に。笑顔で応えようじゃないか。
とりあえずさっぱりしたところで感想を聞いてみる。
「清潔感が出たよ…… 」
一分ほど考えて絞り出した答え。感想はそれだけか?
気を遣ってくれるのは分かるがもう少し何かあるだろう?
「あの…… 僕は不潔でしたか? 臭かったですか? 」
いじけてみる。
「もう元気ったら…… そうじゃないでしょう? 」
素敵とも格好いいとも見違えたとも言ってくれない。
それは確かに第三の山田だけどさ昨日の想いは何だったんだ?
あれは幻か? へへへ…… そうかそうか幻かな。
これでは僕だけが積極的だったみたいじゃないか。
だけど当然ミツキちゃんからだからね。今日だって無理やり。
「分かった。ご褒美上げるからそれでいいでしょう? 」
そんな風に照れる。
「よくないし…… 」
「もう元気ってば不貞腐れてかわいい」
どうやらいつの間にか凄く下に見られているよう。
しかし三個も先輩の僕をそんな風に扱うなどあってはならない。
もちろんご褒美はもらうけどね。
続く




