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光にいろいろ聞いてみる

兄妹揃って何を考えてるのか?

無関係な者を巻き込んで罰ゲームするんだから苦労するよ。

でもそのおかげでキスを咎められずに済んだのでよしとしないとな。


「お前髪切った? 」

あの光がそんな言葉を発した?

嘘だろう? とても信じられない。だってこれは往年のタモさんの芸だぞ?

あの光が? そんなタイプじゃない。反省した?

そもそもそのギャグ面白いのか?

でも言えない。光は僕にとってかけがえのない親友だから。

指摘して傷ついたら取り返しのつかないことになる。

何と言ってもミツキちゃんよりも繊細で天才肌だからな。頭は悪いんだけどね。

そんなところを碓氷さんは気に入ったんだろうな。ははは…… ふざけるな!

仕方ない。ここは無難に行きますか。


「おい元気聞いてるのか? 」

「うるさい! いきなり起こされてキスされたんだぞ! 」

まずい。余計なこと言ったか?

「嬉しいくせに。ははは…… 」

「嬉しいはずないだろう? うっとうしいと思ってるぐらいなんだから」

「はあ? 元気何を言ってるの? 」

ミツキちゃんがキレている。どうやらうっとうしいが堪えたらしい。

気持ちは分かるがこれはあくまで二人の関係を悟られないようにするためだ。

勘違いしてはいけない。


「それにしても久しぶりだな。三人で遊ぶのはいつ以来だ? 」

「ミツキちゃんの手料理を食わされた時だから修学旅行の前日」

強く印象に残ってる。

あれ…… どうもミツキちゃんが怒ってる気が。

やっぱり失敗したから? でも仕方がない。まだまだ任せられない。

「それで何をする? 」

「元気の吊り下げ! 」

「おお…… いいね。それではさっそく」

「待ってくれよ! 二人とも酷いよ。ただの被害者じゃないか。

勝手に巻き込まれて堪ったものじゃない。おい聞いてるのか? 」

だが笑ってもう聞いちゃいない。本当に困った兄妹だな。

どうも奴は子供っぽいんだよな。いくら僕が大人っぽくてもこれでは意味がない。

こうして三人で日が暮れるまで遊んだのだった。


月曜日。

「ははは! 昨日は楽しかったな元気!

特にミツキがどうしてもお前にキスしたいものだから我がまま言って」

どうも妹思いが過ぎるのかまったく見えてない。現状を把握できてない様子。

愚かだな。人のことは言えないが。

確かに昨日は楽しかったしミツキちゃんも積極的だった。

だからこそどれだけ焦ったか奴には分からないんだろうさ。

嬉しそうに笑うのも違うし邪険に扱うのも違う。

そもそもそんなことをすればミツキちゃんが黙ってない。


それにしても兄の前でいちゃついてもいいようにといろいろと手を考えてるな。

関心する。僕もこの手を使い碓氷さんと…… 

まずい。妄想相手が目の前に。睨まれるか? 暴力まで行く?

しかしただ微笑むだけ。意味不明だ。なぜか改善されている。

いつも光と仲良くしていたから嫌われた訳で。何と言ってもわざとやってたから。

でも三年になって抑えてるのに光の方が勝手に。

そうして碓氷さんが僕をライバル視する。

自業自得とは言えどうしてこうなったのか? 頭が痛い。


今日になって急に改善された。

答え合わせをしたいがミツキちゃんと会うのも面倒。

碓氷さんの急変の謎。目の敵にしていたのになぜだ?

それはそれで嬉しいが本当に訳が分からない。

後はハイタッチが復活してくれるといいんだが。無茶な願いだと自覚はしている。


「あの碓氷さん…… 」

積極的に話しかけるが当然のように無視。

睨まれも叩かれも蹴られもしない代わりに無視。結局あまり変わってない。

そんな急に人は変われないか。それが人間さ。でもどうしてなのか知りたい。

ただ昨日碓氷さんの前を通っただけ。敵でないと悟ったか?

ああ…… ワンワンと纏わりつきたい。そんな衝動に駆られる。

しかし謎が解けないうちは危険は冒せない。

光を使う手もあるにはあるがそれだけはプライドが許さない。

まあいいか。急に仲が改善されるのは決して悪いことではないからな。


「なあ教科書忘れたから見せてくれないか」

そう頭はよくないだけでなく何も考えてないからすぐに忘れる光。

同じクラスになって分かったことだがここまでいい加減だとはね。

放課後は大田原さんがいるからどうにかなっていた。

そもそも何か持って行くこともない。忘れ物しても気にしないそんな奴だった。

まったく何を考えてるんだ? でもこれで碓氷さんからの評価もガタ落ちだろう。

愛想を尽かして僕に乗り換える可能性もあるな。

あれ? そんな彼もいいと見惚れてるぞ。これはもうどうにもならない。

何でだよ? だったら僕だってほぼ光と同じようなものじゃないか。

そうして先週と何が違うのか分からないまま放課後。


「そうだ。お前って何人だっけ? 昨日聞きそびれたんだった」

「はあ? お前と同じだろう? 」

あえて断定せずにこちらに振る。これは怪しいぞ。

「僕と同じ宇宙人? 」

「ええ…… 宇宙人なのか? そんな秘密は隠しておけよ」

どうやら宇宙人だとしても友情は変わらないそう。これはありがたい。

では人差し指と人差し指をくっつけるとしよう。


「昨日ミツキちゃんのお腹が大きかったから妊娠したのかなって心配したんだ」

正直に思ったことを言ってみる。

「おいおい何を言ってやがる? それで何で宇宙人? 」

「いや我々は宇宙人だった可能性もあるかなと…… どう思う? 」

「どう思うってそれはお前が疲れてるってだけだろう。大丈夫か元気? 

家に寄って休んでいいぞ。きっと溜まってるんだよ」

光に心配されてしまう。それもそうか。でも溜まってはいない。

だって土曜日にすべて解放したから。考え過ぎだろう。


「ありがとう。でも今日はまっすぐ帰るよ。ミツキちゃんに会いたいんだけど……

何か急に最近大人っぽくなって緊張するんだよ。どうしたんだろう? 」

光には何のことか分からないんだろう。でも少しは妹を見てやってもいい。

僕とばかりいるのはやはりよくない。それではどんどん悪い方向に進む。

「そうか? 俺にはまだまだ子供に見えるが」

何だか立派な兄を演じてる。そう言えばいろいろと最初の内は相談されたっけ。

「まあ胸はそうだが他は随分大人っぽくなったよ。もちろん気にしてないが」

「お前嫌らしい目で見てるだろう? 」

「そんなこと…… 」

そんなことあるが言えるはずがない。

「冗談だって。元気真面目に受け取り過ぎだぜ」

笑いごとではないのに。どうするんだろうミツキちゃん?

それにしても本当に鈍感な奴。真実を知ったらどうなるのか? 

どうせそうなっても現実を受け止められないで流すんだろうな。


うーん。やっぱりこれ以上光に黙ってるのはよくない。 

あの日を境にもう二人は戻れない。それは光との関係も同様。


               続く

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