変な癖
ハアハア
ハアハア
いつもより余計に時間をかけこれでもかと強く抱き締めキスをする。
その繰り返しに飽きたところでゆっくり優しく絨毯へ。
押し倒すのではなく引き倒すように横にする。
「元気こんなところで? 」
ここは自分の部屋ではなくリビングだ。
でもどうせ二人っきりなのだから大胆に楽しめばいいさ。
それに自分の部屋は一週間掃除してないからな。
「ここでは嫌? 」
「嫌じゃないよ。でも…… 」
自分で誘っておいて恥ずかしくなったらしい。
「もう遅いよ。さあ大人しくしようね」
「しょうがないな元気ってば」
どうやら抵抗するのを諦めたらしい。
それはそうだ。嫌なら求めなければいいし我が家に近づかなければいいだけ。
「元気苦しい…… 」
呼吸が乱れて荒くなっている。どうしたんだろう?
でもそれが余計に興奮させるから。もっともっと!
いつの間にか首に手が回っていた。
あれ…… 僕は一体何を?
まさかこの手でミツキちゃんの細く白い首を絞めようとしていたのか?
いやそんな訳…… 僕は彼女の苦しむ姿など見たくない。
一瞬たりとも思ったことはない。それなのになぜかこの手が首へ。
無意識に首を絞めようとする。おかしい……
でも喘ぐ声がセクシーで堪らない。もう少し。もう少しだけ……
キスとハグだけでは足りないものを首を絞めることで満たそうとする。
苦しそうだ。でもそれが何とも言えない。
「ちょっと待って元気! ハアハア」
「どうしたんだよ? 」
「なぜ首を絞めるの? 」
そう指摘されては何も言えない。僕だって不思議に。それが僕の性癖らしい。
こんなこと今まで一度だってなかったのに。
当たり前か。これが初めてなのだから。緊張だってする訳だ。
第三の山田のおかしな願望が形を変えミツキちゃんに向かう。
恐ろしい。こんなことをする自分が恐ろしくて仕方がない。
自分が自分ではないよう。体のコントロールを失ったみたいだ。
どうしよう? こんなつもりではなかったのに。傷つけてしまったか?
一旦頭を冷やし再び抱き合う。それでも止められずに首を絞めようとしてしまう。
どうして? 無意識のうちに締めてしまう。もうどうにもならない。
ああ…… どうやら僕は苦しむ姿に興奮してるらしい。
いいよ! いいよ! ああもっとだね。
「やめて元気! 苦しいでしょう? 」
「ごめんごめん。どうしたんだろう? 何だか憑りつかれたみたいだ」
自分でもなぜこんなことをしてるのかまったく分からない。
アブノーマルな一面を見せてしまったらしい。
「どうしたの? 」
「悪い。今日はこれくらいで…… 」
本当に自分でも分からない。まるで自分が自分でないよう。
ただの第三の山田じゃないのか? もはやどうにもならない状況。
「元気…… 」
「この手が勝手に…… すべて無意識なんだ。傷つけようなんて思ってない。
本当だ。信じてくれ! 」
いくら言い訳してもやってることは最低で弁解のしようがない。
「いいの。激しい元気を待ってた! 」
ミツキちゃんはそれでも続行を希望する。覚悟と信念を感じる。
ならば続けるしかない。
「本当にいいの? 」
「うん」
「分かったよミツキ。さあ楽しもうぜ! 」
決心がついた。とにかく最後まで成し遂げてやる。
その間にこの手が首に行かないようにしないと。
「ミツキ…… 」
まずは上着から。
ワンピースをゆっくりと脱がす。
そして動物の絵がでかでかと描かれたTシャツを捲り上げ脱がしに掛かる。
うおお…… 腕が引っ掛かって服が伸びてしまう。
「もう元気ってば不器用なんだから。そうっとお願い」
Tシャツが脱げると自然と例のモノが。もちろん大事な部分は見えないが。
「あれ? 下着つけてるんだ? 」
つい雪山スキー合宿でのことを思い出す。あの時は下着をつけてなかった。
だから勘違いしてしまう。でも家に遊びに来た時は身に着けていたっけ。
「当たり前でしょう! まさかノーパンノーブラで外出しろと? 」
そこまでは言ってないけどそれも悪くない。強制するつもりはまったくない。
「でも寝る時はつけない? 」
「どうしても苦しい感じがして」
「ははは…… 僕もたまにやるから気持ちは分かるな。それでまさか太った? 」
「バカそうじゃない! 解放感があるの。こんなこと言わせないで! 」
おっと…… これは気分を害してしまったよう。
「悪い。続けるね」
Tシャツからお目見えしたのはかわいらしいお胸とそれを包むもの。
無言でされるがままのミツキちゃんを見ているとドンドン興奮して行く。
これは止まりそうにない。征服欲が刺激されたのだろう。
でもまたおかしなことをしかねない。ここは冷静に。ってできるか!
「かわいいね。とってもかわいいよ」
つい語彙力がないものだから下手に褒めてしまう。嘘くさいかな?
「かわいくない! 私の胸は圧倒的なんだから! 」
なぜかムキになって否定する。でもそこまでのこと?
褒めてるんだから素直に受け取ってくれたらいいのに。
「まさか気にしてるの? でもかわいいよ」
「だからかわいいは禁止! 私の体はかわいくありません。
胸だってかわいさのカケラもないんだから! 」
ミツキちゃんはどうやら胸の大きさを相当気にしてるらしい。
そう言えば何度か触れ合って…… 一度見せてもらおうとした時も気にしてたな。
「ははは…… 大丈夫。胸なんか本当にどうでもいいって」
「でも私Bカップだから…… 」
「何だよAカップじゃないのかよ! てっきりそうだと……
だったら尚更どうでもいい。いやかわいいんだからそんなこと気にするなって。
それも違うか。別にかわいかろうがそうでなかろうが気にするなよ」
胸の大きさなど競い合うものでもない。大体まだ成長段階だしさ。
AだろうとBだろうとそれこそCだろうと…… Dだっていいんだ。
「でも恥ずかしい」
小さいのが恥ずかしいとはよく分からない。
見せるのが恥ずかしいなら理解できるんだけどな。
僕だって人様に裸を晒すなんて嫌なんだから。
でも今それを言えば彼女自身を否定することに。
ではそろそろ次の段階に進むとしよう。
もうこれで二人は元の関係には戻れない。それでもお互いを信じて突き進む。
続く




