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血が出るほど…… 

新入部員に碓氷さんにミツキちゃんの件と新年度になって悩みが絶えない。

まずは一つ一つ解決していくしかない。


せっかく収まった話を蒸し返す光。いい根性してるよ。相談相手を間違えた?

でも大田原さんについては特にこれと言ってない。

酷いと思われるだろうがそれが普通だ。光だって同じはず。違うのか?

「僕は好きだな。うん好きだよ」

「おい本気か? 」

なぜか光が恥ずかしがる。聞いたのはお前だろう? 慣れてるくせに。

大田原さんは日頃お世話になってるし当然嫌いな訳もない。だから好き。

「本気も何も僕は嘘を言わない。好きだよ。光は? 」

「ああ俺だって同じさ。近くに居過ぎて気づかなかっただけで中々だ」

「好きなの? 」

「ああ好きだぜ」

「もう一回。好きなの? 」

「当たり前だろうが! 何度も言わせるな! 」

おかしな展開になって来た。当然の告白についていけない。

こんなところを他人が見れば僕がせがんで光に言わせてるように思うだろう。

しかも何度か確認してるのも誤解を受けやすい。僕はいいが光は困るはず。


おっと…… つい話に夢中になって油断していた。後をつけられてるじゃないか。

この視線に殺気が混じったものは恐らく碓氷さんだ。

どうやらもう姿を消したらしい。逃げ足の速いことで。後ろを振り返ったからな。

それにしても何を考えてる? もうクラスメイトだからそこまでする事ないのに。

僅かとは言え光に触れたはずだ。失望しただろう? それでもまだ続けるつもり?


「それで本気か光? 」

「ああ本気だって。好きだよ。いい人じゃないか大田原さん」

「付き合いたいと? 」

「いや同じ仲間として好きなだけだ。勘違いするな」

「ああやっぱり。僕も似たような感じ」

「ははは! そうだよな」

結局僕たちは何を話してたんだっけ? 今日はこれくらいでいいか。


三年になって会長にも就任し忙しい。

何と言っても新入部員を集めるのが大変。

志望者がいないのに無理やり探す訳だからな。他のクラブとはそこが違う。

クラブとしての魅力があればそれもいいが会長の僕自身がいまいち分かってない。

勧誘するにしてもぼやけた説明になる。

このままだと光と大田原さんとの三人だけに。

たとえ正規のクラブではなくサークルだとしても存続は厳しい。

少なくても後二名は必要だ。

僕たちだけでなく大田原さんのことも考えるとどうして後二名確保したい。

それが優しさだろう。しかし集まって来るのは…… いないや。


ふう…… 今日も一人も来ない。

後一か月以内にどうにかしないと本当に廃部に追い込まれる。

それはそれでいいが会長の座を手に入れるとどうしても放したくなくなる。

居心地がいいんだよね。去年から大田原さんには次期会長と呼ばれ浮かれていた。

どうにかして最低でも一年は継続させないといけない。

そんな風に忙しい中なぜか光ではなくミツキちゃんが姿を見せる。


いつも光がうろついてる公園ならすぐに会えるだろうとトボトボ歩いていた。

家に行ってもいいんだけどミツキちゃんがいるから……

ミツキちゃんを回避しようとしたのにその彼女が姿を見せる。

「どうした? 何か用か? 」

つい心に余裕がないからか乱雑な扱いになってしまう。

「元気のくせに生意気! 」

「ははは…… かわいいよ」

からかうとむくれる子供っぽいミツキちゃん。

僕はこんな子に今から何をしようとしてるんだ?

いや…… 実際は僕から何かしたことはない。

気分が乗った時だってそうなる前にタイミングが悪くて別れてしまう。

僕たちって相性があんまりよくないのかもしれないな。


「そうだ。前回お邪魔した時に勝手にお土産を持って行ったけどよかった? 」

ミツキちゃんが確認をするなどおかしい。でもどうでもいいことさ。

所詮お土産はお土産。八つ橋は自分用に一つ。家に一つ。

それ以外は何を買ったかまったく覚えてない。

ミツキちゃんにも買おうかとも思ったがせっかく光がいるから余計なことしない。

「別に構わないさ。それでうまかったか? 」

「うん。血が出るほどね」

おかしな褒め方。お菓子なだけにふざけたか? まあどうでもいい。


「そうだ。ミツキちゃんはスーベニアって知ってる? 」

「はあ? 何それ? お土産でしょう? 」

「そうそう。スーベニアのお土産。それで碓氷さんは欧州で僕はオセアニア。

ミツキちゃんはどっちだと思う? 聞いたことない名前だったんで…… 」

調べよう調べようとしてそのままにしていた。せっかくだから聞いてみることに。

「ねえ元気…… 」

生意気にもそこで止まる。どうせ僕を馬鹿にしてるのだろう。


「そっか…… ミツキちゃんにも分からないか。悪かったね」

いつまでも修学旅行を引きずっていて見苦しいだろう。

でも僕には夢のような出来事だったから。

行きも帰りも碓氷さんと幸せな時間を過ごした。

しかしその日を境に碓氷さんとの関係が悪化。

四月になり急激に悪化してしまう。

僕は何もしてないはずなのに彼女が勝手に勘違いしてライバル視するし。

すべて光が悪いのだが僕としても限界が近い。


「もしかして元気って馬鹿? 大体調べればすぐ出て来るでしょう? 」

面倒臭いから聞いたのにミツキちゃんに聞いた方が面倒臭かった。

ただ教えるだけでいいんだ。僕に対する感想は求めてない。 

「その件はもういいや」

「よくない。碓氷さんって誰よ? 」

細かいところを突く。答えが知りたいのであって登場人物はどうでもいいだろう?

「だから…… よく犬を散歩させている女装マニアの碓氷さん…… 」

適当に答える。

「はあそれが修学旅行について来たの? 」

「それは…… きれいなお姉さんだったかな。ははは…… 」

危ない。何とか笑ってごまかせたが安易に碓氷さんの名を出さない方がいいな。

何をするか分からないのがミツキちゃんだから。

「はあ? クラスメイトで同じ班の碓氷朱里でしょう? 」

ダメだ。全然ごまかせなかった。

なぜかすべてを把握しているし。嘘は吐かない方がいい。

「いや…… そうだったかな? そう言えばいたような…… 」

「お兄ちゃんが言うには元気の彼女だってさ。そうなの? 」

うん? 嫉妬か? それともただの感想? 穏やかでないのは間違いない。


「ははは…… 暗くなったしそろそろ帰ろうか? 」

「嫌! もっといる! 」

おっと…… 明らかな我がまま。疲れるんだよな。でも顔には出せないし。

どうしよう?


                続く

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