表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/116

正直に言ってみる

修学旅行で欠かせないのが寝床。僕ってデリケートだから。

広すぎず狭すぎず。できるなら碓氷さんと一緒に…… 無理だろうな。

班を男女に分けて三人一部屋でゆったり使っている。

山田兄弟は皆目立たないし地味。だからこそつまらないと言うか話が合わない。

一人はクイズ好きでもう一人は筋トレマニア。

僕は筋トレマニアさんと一緒にお風呂へ。そこに光が。


「なあ頼みがあるんだけど…… 」

二人っきりになったところでお願いごと。

言うか? 今すぐ言ってしまうか? でも情けなくて恥ずかしい。

恥ずかし過ぎてまともに頼めない。どうしよう?

「頼み? 改まって何だよ」

「実は…… ミツキちゃんがあまりにも魅力的で…… 僕にくれないか? 」

ついに言ってしまった。これでどう反応する? 奴が慌てればそれも収穫さ。

「続けてくれ。それで? 」

「だから僕たちの関係を許して欲しいんだ。お前さえ認めてくれたら僕たち……」

真剣な表情を崩さない。あと五分で出ないといけないので思い切って言うことに。

「それで本当は何だ? つまらない冗談はよせ」

どうやら光はすべて分かってるらしい。

「ミツキちゃんをください! 」

「やるよ。冗談はいいから早くしろって! 」

どうもイライラしてる気が。


「本当は…… 下着の予備がないから貸してくれないか? 」

言いにくいのでまずは軽い話から。でも光はまったく動じない。仕方なく正直に。

「まったくマジな顔しやがって! いいよ。やるから使え! 」

何だか機嫌が悪いのか? それとも単純に嫌なのか?

どうも分かり辛いんだよな。何だかんだやっぱりミツキちゃんが気になるのかな。

「代わりと言っては何だが女子のを取って来てやるから。それでいいだろう? 」

さすがにただでもらうのは悪い。ここはきちんとお礼をしないとな。

それが僕たちの信頼関係にもつながる。

「ありがとう。っていらねえよ! 」

どうやら間に合ってるらしい。まあ僕も間に合ってるから気持ちは分かる。

でもこれだってただの冗談でまさか本気にしたか?

まさか奴の正体はとんでもない…… 後で碓氷さんにそれとなく伝えておこう。

「そうか。だったら遠慮なくもらうな」

「ああ気にしてるなら今日飲みものおごってもらったからそれでいい」

意外にも物分かりのいい奴で助かった。さすがは親友。


「それで話を戻すがミツキちゃんを僕にくれないか! 」

「まだふざけてるのか? 外ではミツキの話はするなって! 」

相当大切にしてるようだ。どこがいいんだミツキ…… 妹か。

「お前が言ってた学校で浮いてるって話はどうやら大げさだったぞ。

だから心配するな。きっとミツキちゃんも大丈夫だよ」

励ます。かわいい妹を持つと何かと大変だ。その原因の僕が言うことでもないが。


「それから寝る時は下着をつけるようにした方がいい」

つい余計なアドバイスまでしてしまう。

自分の立場が危うくなると分かっていてもついお節介したくなる。

どうやら浮かれてるんだろうな。奴に気づかれないギリギリを攻めて楽しんでる。

本当に関係が発覚した時の言い訳にもなる。僕って酷い人間なのかも。

光たち兄妹を手玉に取って遊んでいるような感覚。

これもすべてミツキちゃんのせい。僕になど好意を寄せるから。


「まったく元気のくせに生意気だ! 」

うわ…… ミツキちゃんの口癖が移った。

行きの車内で碓氷さんから出たからつい反応してしまった。

もしかしてこれって流行ってるの?

生意気は分かるけど元気のくせには僕以外当てはまらないのだが。

それともこの元気は僕ではなくただ元気な人のこと?

ただそれだと元気なくせになるはずだが。うーん。

兄妹揃って僕を馬鹿にしてるか。でも気のせい。きっと気のせいだ。


「そろそろ出ようぜ。もう終了の時刻だぞ」

光に言われようやく営業時間過ぎたと気がついた。

「ほら元気行くぞ! 」

「待ってくれよ光! 置いていかないでくれって」

そう言って裸で迫る。

「うわやめろって! 」

明らかに嫌がる動きを見せる困った奴。裸でくっ付いてもいいじゃないか。

何をそんなに焦っているんだ? 

下着をくれた恩人とは言え容赦なく突っ込む。

それが僕のやり方さ。相手が誰かなど関係ない。

恩も愛情も関係ない。好きなように動くのさ。


もう疲れた今日はこれくらいでいい。

本当だったら碓氷さんと二人で手を繋ぎながら寝たかったな。

でも山田兄弟で仲良く布団を温めるとしましょうか。

おやすみなさい。

こうして修学旅行一日目が終わった。


二日目は京都と奈良を巡る。タワー見学と清水寺それから……

まずは大仏を見る。

やっぱり迫力あるな。何だか睨みつけてる気がする。

「凄いな…… これはですね…… 」

「いいから行く! 」

碓氷さんは何だか今日はご機嫌斜めのよう。ハイタッチもしない。

普段なら朝は機嫌いいはずなんだけどな。夕方になると疲れるのか不機嫌。

僕に優しくできずに強く当たってしまう不器用な女の子。

それにしても今日は異常なほど。何かあったか?

朝食を食べ過ぎた? それとも寝不足?

「僕は鎌倉大仏しか見たことがないからさ。いや牛久大仏なら外から見たかな」

「感心してないで急がないと次が間に合わないの! 」

どうやら時間が押してるらしい。これはまずい。


続けて清水寺に。

「どうです? 改装が終わって…… おっと…… 」

外国人観光客が押し寄せて修学旅行客が隅っこに。巻き込まれるところだった。

「景色は最高ですね」

「いいから戻ろう! 狭くて苦しいの嫌! 」

どうも碓氷さんは子供っぽいことを言うな。もしかして飽きた?

僕だって中学でも行ったから若干飽きてるんだよね。


「どうして元気と二人っきりなの? 」

今回だけは仕方がない。何と言っても清水寺だから。

最高のスポット。集団よりも男女二人の方が盛り上がると第二の山田が提案。

どうやら昨夜の筋トレで自信を回復したらしい。手伝った甲斐があると言うもの。

山田同盟を結んで男女二人ずつで回っている。

二組はそうだが僕たちは迷ってると言ってもいい。

ここは第三の山田に頼らずに自分の勘を信じるべきなのについ文句を言う彼女。

それはそれでかわいいがこのままだと待ち合わせの場所にたどり着けないぞ。


                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ