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ポッキーでやってみたいこと

ブレークタイム。

光が我がままを言って眠ってしまった。

タートルさんは僕を警戒してか話したがらない。

何でか不機嫌なんだよな。告白した仲なんだからもう少し優しくしてもいいのに。

仕方なく二人っきりの世界を楽しむことにする。

光だってそうしろと言ってくれる訳で。碓氷さんだって仕方ないと感じてるはず。

ここは願望を叶える時だろう。練りに練ったポッキー作戦。

と言っても作戦と言うほど大げさなものでもないが。

ただ二人で楽しくポッキーを食べれたらなと。

そして…… ダメだ。これ以上は何も言えない。


「どうです碓氷さん。ポッキーありますよ」

今はまだ肌寒い季節なので陽の当たるところに置かない限り溶けないだろう。

そんな風に油断してると意外にもドロドロして悲惨なことになる。

ただこのドロドロをネガティブに考えずにポジティブに行こうかと。

「ポッキー? 元気君ってかわいいところあるんだね。子供っぽいよ」

そんな風にからかわれてしまうが悪くない選択だと思う。

「はい。どうです碓氷さんも一緒に? 」

気にせずに勧める。だが決してすぐにはうんとは言わない困った人。

もう我がままなんだから。せっかくの夢を叶え損なうじゃないか。

上手く誘導せねば。だが誘導員がこの第三の山田では上手く行くものも行かない。

失敗する自信はある。そんなの何の自慢にもならないが。

本当ならこれはミツキちゃんにやるのが正しい選択だろうが恥ずかしいからな。


「本当にいいんですか? 」

念を押しても無反応。これは嫌われたかな?

しつこいのはよくないよな。仕方ない。ここは外の景色でも見て気を紛らわすか。

あーあ隣に光なんかいるから風当たりが強くなるんだよ。

困るんだよな。僕の立場がなくなってしまう。


ポッキーの袋を開け一本咥える。

あーあ何でこうなったんだろう?

後悔のポッキーは意外にも美味しい。とは言えすぐ飽きる。別に悪口ではない。

ポッキーって普通に食っても何だか味気ないんだよな。

だからまずはチョコの方を食い尽くす。そこから木の皮を剥いたようなところを。

いわゆる持ち手を食っていく。前とは似ているがちょっと違う食べ方。

僕なりの拘りがある。


続けてもう一本。やはり普通に食べるのは飽きたのでちょっとワイルドに。

まずはチョコの部分をきれいに舐めてすべてが同じ色になったら食べる。

こんな風に三本を食い尽くしたところで待ったが掛かる。

決して美味しそうに食ってた訳ではないが隣の碓氷さんには刺激的だったらしい。

これはもしかして念願のプレーができるのか?

ただ嫌われる可能性もあるし近づかないでと言われる恐れもある。

それだけ危険なプレーだ。ただ僕としては眺めたい。ただそれだけなんだ。


「うん? 」

「早く一本寄越しなさいよ! 」

光が寝たので遠慮なく本性を出す碓氷さん。大人だな。

もうあの頃の関係には戻れない。

「待ってくれよ…… 」

危ない危ない。情けないことに緊張してばらまくところだった。

まるで女王様のような碓氷さん。僕ってもしかして奴隷扱い?

それならその鞭で思いっきり叩いてくれ…… おっと心にもないことをつい。

まずいな。興奮してるぞ。冷静に冷静に。隣には光だっているんだから。

ここは慎重に行かないと。ボケかまして光に大笑いされたくない。


「もう何してるの? 遅い! 元気の馬鹿! 」

もはや君さえも付けない不機嫌な碓氷さん。これは隣の人選間違えたかな。

当然僕が選んだのではないが。最後に残ったのが僕たちだ。

まだ御手洗さんの方がマシだった気がする。

ノロノロしてたところを強引に奪い取る碓氷さん。

たかがポッキー一本を恵んでもらうのにそこまでする? 

恥ずかしいのか? それともこれが本来の碓氷さん? 僕は勘違いしてるのかも。

あのクラスメイトを思う明るくて愉快な碓氷さんはどこにもいない。

ハイタッチでもすれば思い出すのだろうが。


「あの碓氷さん…… 」

「もう遅いよ! 」

「おいおい残しておいてくれよ。まだ僕食べてないんだから」

「はいはい」

横柄な態度の彼女。耐えられないほどの変わりようだけどこれを求めていた。

まさかここまでうまく行くとは思わなかった。

奪い取った碓氷さんはカリっと音を立ててかわいらしく食べる。

うーん。とんでもなくセクシーな食べ方。

ああ…… 見てるだけで鼻血が出そう。これは相当興奮してるな。

もしかして僕って相当な変態なのかもしれない。

かわいい女の子がポッキーを食べてるシーンは堪らない。

それが憧れの碓氷さんだからな。何気なく食べていても心動かされる。

これは修行が足りないか? もっと立派な人間になりたいよ。

うーん。何をやってるんだろう?


「あの…… かわいいですね」

つい口から本音が出てしまう。もう抑えられない。暴走しそうだ。

「もう馬鹿じゃないの! 」

恥ずかしがって顔を隠す仕草も悪くない。熱くなったのか上着を脱ぎだしたぞ。

注意してあげないと最後まで行きかねない。恥ずかしがるなよ。興奮するなよ。

そんな風に言ってあげたい。

「あの…… 手にチョコがついてますよ。洗って来たら? 」

ついお節介してしまう。

「はあ? 元気こそ顔にポッキーのチョコ付いてるよ。子供じゃないんだから!」

そんな説教風な言い方で手で拭ってくれようとする碓氷さん。

うわ…… これってもはや恋人確定では? 追い求めたシチュエーション。

まさかこんなに完璧に再現してくれるだなんてどれだけ幸せなことか。

もう充分堪能した。これ以上は耐えられそうにない。

いいんですか碓氷さん? いいんですね?


                続く

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