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隣人トラブル発生!

まさか隣に光がいるとは思わなかった。

通路を挟んでだから騒いでなければ気づかないもの。

たぶん僕たちの方が後だったからな。

すると出発から今までずっと僕たちの恥ずかしい会話を聞かれていたのか。

恋人のような触れ合いを親友に見られたかと思うと何とも言えない感情になる。


嬉しさより苦しさが勝る。

なぜこのタイミングで光と一緒にいなければならない?

逃げられない密室空間で三角関係勃発。

奴はこっちを気にしなくても碓氷さんに気づかれたらお終い。

これは雲行きが怪しくなってきたぞ。

ちなみに碓氷さんによれば雲一つない晴天だとか。


「それでタートルさんは何色の…… 」

まずいおかしな質問をするところだった。

恥ずかしい上にまるで僕が変態みたい。

「はあ何を言ってるのこの男は? それにタートルじゃねえ。姫子だろうが! 」

どうもご機嫌斜めらしい。恐らく僕が怒らせてるに違いないんだ。


悪いと思いながらもついしつこく質問攻めにする。

「それで光とは同じ班なの? 」

ほぼブチ切れてる相手を宥めるのは面倒なので当たり障りのない質問で誤魔化す。

「光って誰だよ? ああこいつか? 恋人さ」

ダメだ。この人も酔ってるによ。最初に会った時はこんな感じではなかった。

もしかしてすべて僕のせい? 彼女たちをイライラさせる原因は僕にあるのかも。


「はあ恋人? 」

なぜか寝てたはずの碓氷さんが反応して僕に加勢をしてくれる。

さすがは我がクラスのムードメイカー。

誰にも彼にもハイタッチする明るくて親しみやすい存在。

だけどできるなら口を開かず大人しくしてくれるといいな。

余計にこんがらがっておかしな方向に持って行きそう。

これでは隣のクラスと仁義なき戦いが勃発しかねない雰囲気。熱気が漂ってる。


「ねえもうあの人と話したくない。寝るから席を代わってよ」

光に頼み込むタートルさん。まさかこの僕を警戒してるのか?

しかし僕たちは屋上で愛を誓い合った仲じゃないか。

焦って勘違いしただけとは言えその関係は切っても切れるものじゃない。

「ははは…… 寝てていいよ。起こしてあげるから」

こう言うところだよな。光って格好をつけていい顔をする。

まったく女に甘いんだから。よしだったら僕だって楽しもう。


「タートルさんって怖いね…… 」

なるべく聞こえないように耳元でささやく。

それを隣で睨みつける碓氷さん。

しかしこれは不可抗力。タートルさんをこれ以上興奮させないため。

カメに変身しかねない勢い。


「いつもはこうじゃないんだけどな…… お前が何かしたんじゃないのか? 」

まさか光まで僕を疑ってるのか? 親友だと思ってたのに。裏切られた。

「僕がするはずないじゃないか? そもそもそんな時間もなかった。 

ただ今日のタートルさんのカラーを聞いただけなんだけど」

「おしゃれな質問するから誤解されたんだろう? 」

「うるさいな! 僕は悪くない。それより体調はどうだ? 」

「問題ないさ。昨日は楽しかったな。一緒に食事もしたもんな」

「そうそうミツキちゃんには困ったよな」

「失礼だぞお前! 」

「まあまあその話はいいとしてどこに行くか決めてるのか? 」

ミツキちゃんの話はここまで。今は過去よりも未来の話をしよう。


光争奪戦開始!

タートルさんはもう寝たらしいがどうせ薄目を開けてるんだろう?

こんな状況で寝れる訳がない。列車の騒音と興奮で目が冴えるはずさ。

見せつけてあげますか。

「なあ光また一緒に回ろう。特にタワーでは一緒に頼むよ。スキーの時みたいに」

つい光を独占しようと合宿の話をする。

タートルさんはこの際どうだっていい。問題なのは碓氷さんの方。

「その話はやめろ! 思い出すだろうが」

光は照れてるのかただ本気で思い出したくないのかよく分からない。

僕だってこんなことしたくない。でも碓氷さんと光を急接近させてはいけない。

これはミツキちゃんとの約束でもある。碓氷さんに誰も近づかせない。


「僕たちは親密な関係なんだ。だから悪いけどタートルさんは邪魔しないで」

文句を言ってみる。僕たちは親友なんだから当然。

「おい元気何を? 」

「ちょっと! 」

タートルさんは分が悪いと見て大声を出す。困ったな。相手してる暇ないんだが。

「あの元気君…… 」

寝ぼけていた碓氷さんが覚醒する。しかもとっても機嫌が悪い。

「何の御用でしょうか? 」

さすがに碓氷さんには強く言えない。

「チェンジ! 席を交換するの! 」

まるで脅されているかのような状況。席の交換を要求。

あの明るくていつでもハイタッチする彼女はどこに行ったのでしょう?

「はい。仰せのままに」

こうして席を譲ってあげることに。


本当に僕ってお人好しだな。

断っても無理やり隣を死守するだろう。

分かっていてもそんな場面見たくない。必死な碓氷さんを見てられない。

ミツキちゃんから碓氷さんを光に近づかせるなと頼まれている。

そう簡単に譲って堪るか。僕たちだけの世界を邪魔されて堪るか。

「光君…… 」

甘えた声を出す。困ったなそれをされたら何もできない。


「悪い。俺も寝不足なんだわ。話は元気にでも伝えておいてくれ」

そう言って一人寝ようとする無責任な男。

これで女の子の方が愛想を尽かすなら我慢もするけど結局光だけいい思いをする。

そんなの嫌だ。見てられない。


「待って! 」

二人の女性から待ったされる。これはどう言う気分なんだろう?

第三の山田だからそのような経験をしたことがない。

特にクラスメイトに尊敬されることは稀。

優しい子もいるけど基本的には相手にされてない。


碓氷さんが揺するが寝てしまっている。

寝る邪魔をしてはいけない。それにしても自由な奴だな。

きれいな女の子を侍らせて何をやってるんだか。

実際僕だって寝たいんだ。でもそれを言ったからって誰も気にしてない。

立場を自覚してるのは僕が大人で成長してるから。


おっともう熟睡ですか。早いな。有言実行タイプだと疲れる。

仕方ない。ここは気分を変えておかしタイムにしますか。

高校生にもなって修学旅行にお菓子を持って行くのは情けないが。

それでも暇な移動時間を有意義に活用しないとな。


                続く

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