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クリショウタイン

スキー合宿。

ミツキちゃんとリフトで二人っきり。

揺れるリフトで二人は固い絆で結ばれる。

これこそが吊り橋理論だ。

決して狙ってではない。ただお互いをより間近に感じられたなと。

それを言えば昨日は光にずっと抱き着いていた訳で。

だから光との関係も深まってしまった気がする。

とは言え問題はミツキちゃんだよね。

もはや取り返しのつかないところまで来てしまった。


「お前さミツキと手を繋いでただろう? 」

遠慮なく指摘する光。やはり疑われてる?

おかしな行動を控えるべきだったかな。

でもミツキちゃんに頼まれては断りようがない。

悪くない誘いだったし一緒に乗ってもらっては断りにくい部分がある。

大体二人が先に行くから悪い。それを助けてくれたのはミツキちゃん。

見放された僕に手を差し伸べたのはミツキちゃんだ。

あれで意外といいところあるんだよね。


「ああ私も見ました。でも言えなくて…… どうしたんですか次期会長? 」

言ってるじゃないか。最後まで口にしないで欲しいな。それが友情じゃないか。

まさか大田原さんまで目撃していたとは想定外。

そう言えば何度か大田原さんが前のリフトに乗っていたような……

チラッと見られていた気も。でもまさかね……

僕たちが幸せそうに笑っていたのを見て嫉妬でもしたか?

二人が一緒にリフトに乗ってくれればよかったんだけどな。

高所恐怖症の僕にとってリフトに乗ること自体命懸け。

そこに救いの手を伸べてくれたミツキちゃん。意図は不明だが女神様さ。


「いやそれは…… 」

まずい。言い訳など考えてない。どう頑張っても関係を否定できない。

リフトで手を繋ぐ行為。恋人なら当たり前。親子なら微笑ましい光景。

しかし僕たちはまだ付き合ってない。まだその認識はない。

知られてもいないし知られてもいけない。


「ははは! まったく情けない奴だ! ずっとかよ? 妹の手を煩わすなよな」

そんな風に笑う鈍い光。どうやら手を握ってもらってるだけと認識したらしい。

そう言えば昨日は恐怖ついでに光にくっついていたからな。

あれほど大げさにやれば奴も勘違いするか。いや…… 勘違いでもないか。

「そうなの! 元気ってば隙を突いて抱き着こうとしたんだから。

本当に嫌らしくて困っちゃう。でも怖くなってやめたみたい」

とんでもない濡れ衣。抱き着こうとなど一度もしてない。

手だってミツキちゃんが繋ごうって言うから仕方なく。

それにしても完全にバレていたとは…… 本当に抱き着かなくてよかった。


「こら元気! 何をしやがる! 」

「悪い。怖くてつい…… 」

「それにキスまでしようとしたんだから」

嘘だろう…… 自滅しに行きやがった。なぜ僕を巻き込むのか?

もはやイカレてるとしか思えない。

「ははは! 元気はモテないからな……」

「うるさい! たぶん僕だってモテると思うよ…… 」

自信はないが実際言い寄られてる訳で。これはこれでいい思い出。


「ほら正直に! ミツキに欲情したんだろう? 」

「うん。かわいいから」

冗談っぽく終える。これですべてを隠せただろう。

危ないよな。これからは密会する時も気を付けないとな。

それにしてもミツキちゃんもよくやるよ。気づかれたらお終いだと言うのに。


こうして一泊二日のスキー合宿を終える。

僕たち助かったんだよな?

さあ間もなく修学旅行。でもその前に大きなイベントがある。 



「元気! 」

「おう来たな! 」

三人でケーキを食う。何と言っても今日はクリスマスイブ。

碓氷さんかミツキちゃんか迷ったけど碓氷さんにお呼ばれされてないからな。

迷惑になってはいけないので遠慮する。


ハッピークリスマス!

「美味いや。さすがは光だな。ケーキもチキンも味付けは濃いけど癖になる」

「元気! それってただの悪口だよね? 」

どうやら料理下手を気にしているミツキちゃんは神経質になってるらしい。

基本光が作るからミツキちゃんは大人しくしている。これが日常だそう。


「よし! 喰うぞ! 」

こうして二人っきりとは行かないまでも楽しいクリスマスを過ごした。


「楽しかったな。あん時は…… 」

「そうだ。これをお前にもだって」

「何で元気経由? 直接渡せばいいのに。何度手間だよ? 」

呆れた様子の光。それは無理ってものだろう。

「まあ日頃の感謝の気持ちだろう。照れくさいんだよきっと」

「でも元気経由だぜ? 」

つまらないことを言う。自然にはできなかったんだろうな。

ミツキちゃんの想いが強い。僕にとっても複雑な問題。



新年を迎え抱負を一つ。

「お母様これどうです? 」

二人でと言うから歓迎したのに当然のようにミツキちゃん一人だけで。

「うまいじゃないミツキちゃん。どれどれお手本を見せてあげましょうね」

そう言って張り切る。でもどうせヘンテコな文字が完成するんだろう?

習字は旧字体を知っている方がきれいに書ける。それから変体仮名も。


優勝の二文字を紙いっぱいに。

「お母様は何かの大会に出られるんですか? 」

「ううん。ただ何となく思いついた文字を書いただけ」

「ではお父様は? 」

「おいおい私も書くのかい? ははは…… 」

下手でさあと照れながら必死に言い訳して書きなぐるのんびりした父。


【質素倹約】

これは年の初めには相応しくないネガティブな感じがする。

「もう恥ずかしいでしょう? 書き直しなさいよね」

そう言われて仕方なく熊の一文字。

今年の抱負と言うよりこれは去年の漢字だな。


「ほら元気は? 」

そう言われては仕方ない。参加するか。


【二者択一】

意味深な言葉を記す。

「ちょっと元気どう言う意味? 」

ミツキちゃんが怒ってしまった。別に特に深い意味はないのに。

「もういいよ。それより皆で初詣に行こう」

書初めにも飽きたので初詣に行くことに。


「私たちはいいから二人で行ってきなさい」

そう言ってミツキちゃんと二人っきりに。

そんなに気を遣わなくてもいいのに。僕たちはいつだって会えるんだから。


こうして二人で初詣へ。


                続く

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