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本当の修羅場 嫉妬に狂って殺される!

ミツキちゃんが告白しついに光は追い詰められた。

よくやったと思う。ミツキちゃんは今までの想いをシンプルに伝えた。

これでいい。たとえこれで兄妹関係がギクシャクしても僕には関係ない。

それはさすがに言い過ぎか。でもずっと想いを秘めたままは辛すぎるだろうし。

きちんと想いを伝えて改めて兄妹としてやって行けばいいさ。

光がきちんと受け止めればそれで解決。気持ちを汲んだ上でしっかり断ればいい。


ミツキちゃんは本当によくやったと思う。感動で涙が出そう。

そう僕はここではただの観客だから緊張もない。ただ見てるだけ。

主役二人に頑張ってもらって感想の一つでも述べればいいのだ。

問題は光だよな。どうも冷静と言うかどこかおかしい。


「ミツキ…… 」

「お兄ちゃん…… 」

「ごめんもう一度言ってくれないか? どうもよく聞こえなかったんだ」

白々しい奴だ。どこまで往生際が悪いんだこいつは。

素直に受け取ってきちんと断れよな。次に進まないだろうが。

これはお前を困らすためではない。ただのケジメなのだから。


「好きなの! お兄ちゃんのことが! 」

もう止まらない。恥ずかしいとか倫理がどうとか道徳がどうとか言ってられない。

限界なのかそう言うとすぐに下を向いてしまうミツキちゃん。

まあ当然だよな。よくやった。お疲れ様と励ましの言葉をかけたい。

しかし光はそれでもどうにかしようともがいている。

だがそれは無理ってものだ。逃げ道など初めからあるはずがない。

きちんと応えてやるのがお前の役目だろうが! それが兄だろう?


反応がないので堪え切れずにミツキちゃんが再び。

「お兄ちゃんのことが好きなの! 元気が! 」

そう言って見届け人の僕を見る。おいおい嘘だろう? 言葉もない。

「元気お前って奴は! まさか…… 」

なぜここだけは聞き取れるんだよ? おかしいだろう?

どう考えても恥ずかしくなったミツキちゃんが僕を犠牲にしただけ。

冷静になれよ…… でも僕には少なからずそのような感情があったような……

思い込みだと思っていたがミツキちゃんが前から指摘していたしよく手も繋いだ。

スキー合宿ではリフトで抱き合った。だから決して何の根拠もないことではない。

もしかして僕って本気で光のことが好きなのか? 

分からない…… 自分では混乱してもう分からない。


「何を…… 僕は関係ない! 」

「元気正直に言えって! 」

「それは好きだよ。友人として…… 」

どうにか堪えた。でも自分の感情が分からなくなっている。

どうも流されやすい。そうだと言われたらもう否定する力は残ってない。


「元気! 」

「光! 」

いつの間にかおかしな展開になって来たぞ。

何だこれ? どうせ光は本気じゃない。

僕を選んだと言うよりもこっちの方がどうにでもなると。舐められたものだ。

結局ミツキちゃんを受け入れる勇気もなく拒絶もできずに僕を頼った。最低だな。

でもそれは少なからずミツキちゃんも。いや僕だってやってることは最低さ。

仕方ない。ここは愛を込めて光へ。


その時だった。僅かに開いていたドアから侵入者が。

殺気を察知し慌てて振り返る。

兄妹の禁断の告白に気を取られて僕は後ろから入って来る女に気づかなかった。

いやこれでも緊張状態で本来なら難なく気づけただろう。

しかしいきなりミツキちゃんが僕に振るものだから。

告白に限界を感じたミツキちゃんが僕のせいにする暴挙に出た。

その流れで僕と光が見つめ合った。そして告白してしまう。

ただのアドリブだが光も歓迎。そこに例の彼女が姿を見せた。


これは止めようがない。ただ向かって来る刃を見る。

そこでミツキちゃんの悲鳴が。それと同時に刃がマイクへ。

キーンとかガンとか音がした。

どうやら最初の襲撃に失敗したらしい。

一度落とすもすぐに拾い上げて再び構える。

その一瞬の隙さえ反応できない。

もはや優雅な土曜日の昼はどこにもない。

ただの地獄絵図。ここまで危険な行為に走るとは一体何があったと言うんだ?


そう僕はミツキちゃんの悲鳴で切りつけられることはなかった。回避した。

それでもその衝撃は凄く光は震えて頭を抱えている。

おいそれではミツキちゃんが守れないだろうが!

何をやってるんだ! 身を挺して守るのが兄だろう? そうだろう光?

すべては僕のせいだとしてもそれでも自分とミツキちゃんの身は守れよな。


いやああ!

叫び続けるミツキちゃん。対照的に無口で不気味な襲撃者。

何だ何だと部屋の外が騒がしくなって来た。

だがこれ以上余計なのが来たら混乱するばかりで何が起こってもおかしくない。


「待って下さい! 」

呼びかけるが彼女は刃を下ろそうとはしない。

凶器があれば絶対的有利だからな。捨て身か命懸けでなければ対抗できない。

そこまでのことが本当に僕にできるのか?

ちょっと前までなら震えてできなかっただろうさ。

でも今は違う。成長した僕にはその無謀な賭けをする根性はある。肝が据わった。

それは本来襲撃者であるとされる碓氷さんのためだった。

しかし今はミツキちゃんのために。この身を犠牲にしてでも守る。

でもそれでも説得は続ける。


できるならこの長い長い悪ふざけが完結しないことを願っている。

確かに僕は願った。彼女を挑発し続けることでプラスに変わると信じていた。

今だって僅かにその気持ちが残ってる。でもこれはあまりにも危険な賭け。

やり過ぎたと反省している。


彼女の嫉妬に狂って殺されたいと本気で思ったこともある。

当然それは比喩でそこまで怒りと憎しみの感情が僕に向かえば可能性があると。

でもそれはあまりに危険なゲームだった。

彼女の気持ちも考えずにエスカレートしていった。

そして彼女はこう思ったのだろう。僕と光は完全に愛し合ってると。

誤解の上の誤解。


結局僕のしたことは残酷で中途半端だった。

それが愛のカタチと格好つける気もない。


                 続く

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