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運命の土曜日 雨の中の告白作戦開始!

告白当日。

ついに運命の土曜日を迎える。

その日は朝から雨がぱらついて分厚い雲に覆われていた。

梅雨目前ともなれば当然と言えば当然か。

できるならもっとすっきり晴れ渡って欲しいが文句は言えないさ。

暗雲が立ち込めるとも言うので慎重に臨む必要がある。


土曜日にミツキちゃんが光に告白する。

一日空けて月曜日に僕が碓氷さんに告白する。

ミツキちゃんに付き合う形だ。実際のところ僕の方はどうでもいいが。

日曜日だと碓氷さんの予定もあるので月曜日を選んだ。

場所は無難に学校がいいだろう。昼休みに思い出の屋上で再びの告白と行こう。


天気さえよければロマンチックな展開も望めるだろうが雨だったら最悪。

ずぶ濡れの中で告白するのも悪くないがそれはさすがに碓氷さんに悪いよな。

相手がある。相手の気持ちも尊重すべきだろう。

ただ光が好きなのにそれを無視できるのか? 


『好きでもない人から向けられる好意ほど気持ち悪いものってないでしょう? 』

中学の頃に告白した時の言葉がまだ心のどこかで残っている。

でも告白って両想いであることは少ないからな。うーん。悩んでしまう。


雨でも思い切って決行! 体育館がいい。それが天気の悪い日の体育の宿命。

完璧だ。後のこともきちんと考えられているぞ。

少し不安だがある意味期待もしている。今までの成果が表れるのではないか。

そんな気がしてならない。ただそうすると痛みが伴うことになる。

うーん。正直どうなるかまったく分からない。出たとこ勝負。

それと告白に成功しても彼女の場合次の日にはすっかり忘れてしまうからな。

都合のいい記憶してるから。その対策として光を見届け人として呼ぶことにした。

僕って酷い人間だよな。残酷なことしてる自覚がある。

おっと…… とにかく今はミツキちゃんだ。きちんとできるだろうか?

でもあれだけ稽古を重ねたんだから心配ないさ。

演技でもいいから思いを伝えられたら。


「元気! 」

待ち合わせの一時間前に姿を見せるミツキちゃん。うんいつも通りかわいい。

しかし今でも納得できないよな。どうして告白しないといけないのか?

秘めた想いを封印して僕と結ばれたっていいはずだ。

それをケジメだからって無理すれば心のバランスを崩しかねない。

心配だな。心配。どうしてこんなことをする?

破滅願望でもあるんだろうか? 僕にはちょっとだけある。


今日は抱き合うことはしない。さすがに告白しようとしてる訳だからな。

真面目に向き合うべきだろうさ。

「怖い…… 」

「大丈夫だって。光は分かってくれるさ。きっとうまく行く」

「でも…… 」

「こっちはいつでも中止していい。ミツキちゃんが望まないならやる意味ないし」

励ますつもりだったが逆にプレッシャーになってしまったか?

望まない結婚もあれば望まに妊娠もある。

あれ…… 僕は何を言ってるんだろう?

つい気合が入り過ぎたか?


「いつにもましてかわいいが服は変わらない。家に来る時より抑えてないか? 」

気になる点。派手とか地味以前に家にお邪魔した時に見かけるような普段着。

お出かけ用ではない気がする。それで男が本気で振り向くと思ってるのか?

そうだとしたら甘い考えだ。特に光は女慣れしてるからシビアなはずだ。

「だってお兄ちゃんだよ? 」

下を向く。どうやらまだ躊躇いがあるようだ。おいおいもう当日だぜ? 

「しかしそれにしたって…… 」

「それにお兄ちゃん。私が派手な服を着ようとすると怒るし……

でも元気のところに行くからって言うと大体許してくれる」

言い訳をするミツキちゃんか…… その場面を見てみたい気もする。

モジモジしていてかわいいんだろうな。今だって充分かわいいけど。

ああ堪らない。


「まだかな? お兄ちゃん」

恥ずかしいせいか言葉数が増す。緊張して言葉が出ないとはならないらしい。

「今は僕がお兄ちゃんでいいだろう? ほらもう一度練習しておくか? 」

「でも…… 元気は元気。決心が揺らぐからやめて! 」

ミツキちゃんはまだ完全には自分を捨てられていない。

自分を捨てられず殻を破れずにこの場所に来てしまった。


告白すると言ってもただ好きだと言って返事をもらうだけの単純なものじゃない。

仲のいい兄妹がより一層お互いを深く理解し仲を深めるため。

それは大変素晴らしいこと。しかしもし光が受け入れなければ大変なことになる。

せめてその気持ちと言うか感情だけでも理解して受け入れてくれたらな。

光ならきっと大丈夫だと信じている。


でも…… たとえそうでもいきなり好きだと告白されたら拒絶するかもしれない。

僕もミツキちゃんが遊びに来た時は面倒もあって拒絶し続けた。

親友の妹だしまだ中学生だ。当然優しく扱ったが。

それが隙を生みいつの間にか相思相愛にまでなった。

本当によかったのか今でも分からない。


「そろそろ部屋に行こうか」

「ちょっと元気! どっちに連れて行く気? 」

ミツキちゃんが文句言うのも何となく分かる。隣のビルだからな。

思っている以上に僕自身が緊張してるんだろうさ。

「悪い…… 」

「わざとでしょう? 混乱してるところでホテルに連れ込もうとしたでしょう?」

どうやら本当に情緒不安定らしい。僕がそんなことする訳がない。

大体そんなことしなくても僕たちはいつでも愛し合える。

あえて今日ここでそんなイカレタことするはずがないだろう?

冷静さを忘れてはいけない。人を信じられなくなってはお終いだ。


「よし行こう! 」

手を繋ぐのは危険。光がいつ来るか分からない以上絶対に手など繋げない。

こうして待ち合わせのカラオケボックスへ。


ついに告白作戦が開始された。

もう後戻りできない。


                 続く

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