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山高文芸部の事件簿  作者: 文芸部員
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文化祭二日前およびピースがすべて揃うとき #2

 コウメイはその日の放課後、法明と葉月を部室に呼んだ。

 もちろん、今回の事件についての謎が解けたからだろう。


「さて……今回集まってもらったのは他でもない。今学校を騒がせている七不思議事件についてのことだ。

「まずは、今回の事件の発端、例の足跡からいこうか。

「この写真を見てくれ。ほら、足跡のそこがまっ平らだろ。普通足跡というのは靴の裏の跡がくっきり残るものじゃないか?

「そこだ。もし靴底の模様が残らないようなら、全体の形ももっと形を崩しているはずなんだ。

「そもそも、これが足跡だという認識、そこが間違っている。

「あれを足跡だと思うから間違った認識をさせられるんだ。あれは足跡じゃない。何か物を置いただけのくぼみだ。それも時間がたてば消えてしまうような便利なものをね。

「そう。氷。

「氷はそれなりに重量があるから跡がきちんとつく。しかもそのあと雨にさらしておけば溶けて消えてしまうんだから。

「つまり、こういうことだ。犯人はあの日、まだ雨の降っている中足跡の形をした氷をグラウンドに並べた。そして、その時についた足跡は雨に流されて消えてしまったけど氷が溶けきる前に雨がやみ、氷の跡がグラウンドに残った。

「細部は違えどこれで概ね合っているはずだ。このトリックなら別に昨日の夜仕掛けててもいいわけだし、氷の溶ける時間さえ予測できれば誰にだって出来るんだ。

「で、次の僕らが監禁された事件だ。あの戸に仕掛けがなかったのは僕が保証する。

「しかし、思い出して欲しい。

「ノリ君、君があと体育倉庫のとを初めて開けた時すんなり開かなかったかい?

「よく考えればそれはおかしいだろ。何しろあの戸には小さなくぼみしかなく到底すんなり開けることなどできないのだから。

「じゃあ、あの時なぜ開けることができたのか。答えは簡単だ。あの戸ははじめから少し開いてたんだ

「そう考えれば、ノリ君が簡単に戸を開けられたは戸の隙間に手をかけたからだとわかる。

「ん、それがトリックとどう関係あるか?それを今から説明するんだ。簡単な話だ。ああいう横に開くタイプの戸は少し丈夫な棒を心張り棒にしてやれば簡単にあかなくなるんだ。

「あの戸のレールは内側にあっただろ?そこには棚があって、棚と戸の間は何があるかなんて見えなかったはずだ。

「あの時倉庫の中には誰もいなかった?当たり前さ。その心張り棒は自動的にかかるようになってるんだから。

「仕掛けはいたって簡単だ。戸を少し開けてその状態で斜めに棒を立てかけておく。あとは戸が完全に締まれば棒は倒れて戸を完全に固定するって寸法さ。

「これで分かっただろ?なぜあの時、槍で付いたら戸が開いたのか。

「あの時槍は戸のレールの方へそれてただろ?あれで心張り棒がずれたんだよ。

「さて、これで二つの事件についてのトリックの解明は終わりだ。

「おそらくはだが、僕や君たちが盗み聞きされていたというのはその犯人によるものだろう。

「なぜなら、君たちが部室で話していたときこの二つを含む少数の謎の話しかしていないそうじゃないか。犯人はそれを聞いて実行に移す謎を選んだんだろう。

「僕たちが知っている謎を使わなければ、僕たちが捜査に乗り出すどころか七不思議であることすら気づかずに終わってしまっていただろうからね。

「で、君たちが一番気になっているこの事件の仕掛け人だけど、これについては今日の理科の授業でようやく掴むことができたよ。

「さて、足跡事件のトリックについて思い出してくれ。

「あのトリックを使うためには大量の氷が必要だ。

「量を考えればクーラーボックスで運びきれる量じゃない。それどころか家庭用の冷蔵庫で製氷できるかすら怪しい。

「なら、犯人はどこからその氷を調達したのか。

「理科室だよ。

「僕も今日の実験をしなければわからなかっただろうけど、おそらく理科準備室あたりに相当大きな冷蔵庫がある。

「そうでなければ今日の理科の時間にしたような氷を大量に使う実験はできない。

「つまりこのトリックは理科準備室にある程度自由に出入りできる理科教師に限られる。

「そしてその中でこんなことをして得をするのは


「文芸部の顧問である石山寛先生しかいないだろうね」

 コウメイの説明はここで終わった。

「・・・・・・つまり、あの先生は普段全然気にかけていないようでも、文芸部が繁盛するネタを作ってくれてたってことか?」

「まあ、おそらくはそういうことだろう。ただのいたずらかもしれないが、これを逃す手はない」

 コウメイはそう言うと自分の席のパソコンを立ち上げた。





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