文化祭三日前および本当にあった怖い話 #1
コウメイは今回の件の仕掛け人ではないか。
そう思いながらも法明と葉月は次の日から七不思議についての調査を始めた。
普通、ただの高校生が事件を調べようなんて思うことはない。この二人もそのぐらいの常識はわきまえている。しかし今回は事情が少し違う。同じ文芸部員が関わっているかもしれないのだ。
さらに二人には更なる思惑があった。
昨日の部室。
「・・・・・・なあ、もしこれがコウメイの起こしたことだとすればコウメイは部誌に七不思議に関する話を載せていると思うんだが」
「え?まあそうでしょ。そうしないとこんなこと起こす意味がないからね」
「ということはだ。僕らがトリックを暴いてそれを公表することでさらに文芸部の知名度を挙げられるかもしれないよね」
「あ、そうか。部誌に載せるのは間に合わなくてもプリントか何かに印刷して付録として付けることぐらいはできるかも。そうすれば、部誌も飛ぶように売れるわよ!!」
「だろ?というわけで僕らも明日から捜査をしようじゃないか」
・・・・・・という話があってのことだ。
しかし、学校きっての頭脳と言われるコウメイならいざ知らず法明たちに足跡のトリックがあかせるわけもない。
そういうわけで彼らは聞き込みからはじめることにしたのだが・・・・・・
「昨日の朝?そうだな。特に早く来た生徒はいなかったな。まあ、いつもどおりコウメイは早かったが」
文芸部の(形だけの)顧問、石山寛はそう答えた。
「そうですか。コウメイだけですか」
「ノリ君、君も昨日の事件について調べてるのかい?」
「ええ。まあ。文芸部のためとあとちょっとした個人の興味で」
石山はちょっと考え込む様の素振りを見せた。
「?どうかしたんですか」
「いや実はな、コウメイからも似たような質問をされたんだ。昨日自分以外に早く来た生徒はいなかったかって」
「は?」
法明は思わず声を上げてしまった。コウメイが調査をしているだって?
それまではコウメイを第一容疑者として見ていたのにそれはどういうことだろう。法明はこれまで持っていた推理を大きく覆された。
「もし仮に、」とか「もしも」とかという言葉を使ってはいたが法明はほとんどコウメイを犯人扱いしていた。
しかしこの事実によってその推理は半ば、というか九割がた砕かれたのだ。
もちろんコウメイが疑いの目から外れるためにわざと捜査をしているのかもしれない。しかしその先は薄い。法明に情報を流すほどの自信家であるコウメイがそんな姑息な手を使っている、というのは矛盾しているだろう。
法明の聞き込みは初っ端から大きなどんでん返しにあった。
一方、葉月。
こちらは法明が先生を当たるというので生徒を中心に聞き込んでいた。
いち早く七不思議の情報を手に入れたことからもわかるように彼女の周りには噂好きの女子がたくさんいる。
彼女らを通じて情報を集めては見たものの
「・・・・・・何か物足りないをね」
結果は芳しくない。それもそのはずではある。何しろ彼女らにしたところで、単に七不思議の噂を楽しんでいるのだから今回の怪奇現象についても「七不思議の中にあったなあ」ぐらいの感じなのである。
さらに少し気を抜けば話が別の方向に向いて(概ねは彼女と法明の関係の話である)一向に成果が上がらない。
「ノリ君に負けるのは癪だしな。どっか別のところへでも行ってこようか」
しかし法明と分担して聞き込みをしているのは昼休みであって、その昼休みはもう残り僅かである。放課後には法明と情報交換をするために部室へ行かなければならない。
「まあ、ノリ君も対した情報は手に入れてないでしょ」
開き直った。
昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り響く。




