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山高文芸部の事件簿  作者: 文芸部員
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文化祭四日前および現れる七不思議 #2

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 先に動いたのはコウメイだった。

 教室の出口へ向かって走り出した。

「おい、待てよ!!」

 法明も慌ててあとを追う。


「・・・・・・くっきり残ってるね。これは明らかに雨が止んだあとに付けられたものだ」

 コウメイがむかった先は当然運動場だった。彼は泥がはねるのも構わず足跡のそばへ急行したのだ。

 足跡は確かに人間の靴の形に、くっきりと残っていた。コウメイの言うとおり雨のあとに付けられたと見るのが妥当だろう。

「僕は幽霊とかは全然信じないんだけどさ。これもなんかトリックとかあるのかね」

 法明はそれとなくコウメイに聞いてみた。もしこの足跡もコウメイの仕業だとすればなにかぼろをだしてくれるかもしれない。

 しかしコウメイはいとも簡単に受け応えた。

「おそらくそうだろうね。この足跡の件については二つほどおかしなことがある。」

 コウメイの指が二本伸びた。

「まず一つ目だ。これは簡単なことだが、靴のあとであるにもかかわらず足跡のそこが平らなんだ。普通靴なら靴底のデコボコがはっきりと写るはずだ。雨上がりにつけた足跡なら尚更ね。二つ目は時間。雨が降っていたのは昨日の夜から今日の朝早くまで。早く見積もっても朝六時半くらいだろう。そして今が七時十五分だ。こんな短時間で、しかも生徒や先生もちらほら登校してくる中で果たしてこの広い運動場を歩くことは可能だろうか?」

 コウメイが伸ばしていた指を戻した。よどみの一つすら感じられない。仕掛けた本人がここまではっきりと推理を語るだろうか。

「以上のことから、僕はこの足跡を何者かによるトリック、しかも何らかの時間差で発動するものを使ったと推理するね」

 完璧な推理に唖然とする法明だったがふと何かに気づいたような顔になった。

「コウメイ、もう一つ推理して欲しいんだが、この制服で果たして授業を受けられるだろうか?」

 法明が指さしたのは泥の飛び散っているコウメイの制服だった。もちろん彼自身の制服もドロドロである。

 コウメイの出した結論は

「無理だろうね。というか無理だ」


「で、それで制服を洗っていてこれまで築き上げてきた無遅刻記録をあっさりと止めちゃったと」

「まあ、そういう事なんだが、ハハハハハハ・・・・・・」

 放課後の文芸部室。今日もコウメイは来ていない。例によって法明と葉月だけだ。

 法明は未だ少し乾ききっていない制服をうっとおしげにパタパタと振りながら、今日の朝の件を葉月に話しているのだ。

「・・・・・・とまあ、こんな感じなんだが。これについてどう思う?」

「どう思うと言われても。なんかのトリックだってことは私も同意見だけど犯人が誰ってことよね。コウメイくんが犯人ならこんなに情報を教えてくれるのはちょっとおかしいかも」

「だけど逆にその心理を逆手にとっている可能性もあるわけだ。つまりここまで情報を明かしておけば疑われないだろう、みたいな。あと、トリックによほど自信があるとか」

「これだけの情報では解けないトリックが使われている可能性はあるわね」

「ああ。コウメイならやりかねない」

 何しろコウメイはこの文芸部のエースであり、彼の書くミステリーのトリックはミス研をうならせるほどなのだ。

「とりあえず僕は幽霊とかは全く信じない人間だからね。トリックがあるのなら解明してみようとも思うよ」

 しかしこれはただのトリックを使ったイタズラでは済まないのだ。

 なぜなら「運動場に足跡が現れる。しかもその足跡はありえないところでプツリと切れる」というのは


 紛れもなくいま学校中で流行っている七不思議の一節だからだ

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