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シズクノキオク  作者: 早瀬 
シズクノヤクソク
32/33

やっぱり厄日

 雫とルナが二人で仲良く登校するのもつかの間。校内に入るとその中の良さに周りにいる男子は何かを感づいた。

(おい、昨日以上に仲が良くなってるんじゃないか?)

(俺もそう思った)

(見ろよ、白縫さんのあの笑顔。今までに見たことねぇよ)

(お前らやることはわかってるな)

 周りにいる男子から放たれる殺気が雫一点に向けられる。

 その異様な殺気は嫌でも雫は感じ取る。

「どうしたの?」

「いや、意外とこの高校の男子生徒は侮れないなぁ~と思いまして」

 雫の言葉がイマイチわからないルナ。雫は辺りを確認してみると、やはり自分にその殺気が向けられていることを理解する。

 さて、どうしたものか…。

 考えながら歩くも殺気がそれることはない。

 まったく。どこの戦場だよ。雫は軽くため息を吐く。

「雫君」

「何ですか?」

「今日一緒にお昼ご飯食べましょうね」

「えっ!?」

「なによ、そんなに驚かなくてもいいじゃない。私たち恋人同士なのよ」

 その言葉がルナから発せられたとき明らかに周りの空気がより重く強いものになった。雫はゆっくりと視線が向けられる方に顔を動かすと、案の定、充血した目で戦闘態勢に入ってる生徒たちに囲まれていた。

(恋人同士だと!!)

(あのくそ野郎。俺の白縫さん!!)

(殺す!!)

(白縫さん!!)

 雫は悟った。やっぱり今日は厄日だと。

「ルナさん、恋人同士は内緒だって言ったじゃないですか」

「大丈夫よ、雫君にしか聞こえないぐらいだったし」

 ・・・・・大丈夫じゃないんですよ。周りを見てくださいよ、周りに血に飢えた人たちがいるじゃないですか。

 ルナは雫と恋人同士になれたことが嬉しくて周りが見えていなかった。

「ルナさん、僕少し職員室に用事があるので先に教室に行っててください」

「わかったわ、じゃあ、またあとでね!」

 手を振りながら歩いていくルナに笑顔で見送った後。いったん空を見上げる。

 青い空だな~。

 視線を戻すといつの間にか十数人の生徒に囲まれていた。

「お前、転校生のくせに良くも我らの白縫様を奪ったな」

「証拠はあるんですか?」

「しっかりとレコーダーに録音してるよ」

 再生のボタンを押されると先程までの会話が流れる。当然恋人の部分も含まれている。

 もう隠しようがない。雫は次にとる行動を決める。それは、

「逃げたぞ!!」

 ものすごいスピードで走り出す雫に対して十数人の生徒が追いかける。これから朝のホームルームが始まるまでの30分間。逃げ切れば放課後までは何とかなる。

 こうして雫と数十人の鬼ごっこが始まった。



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