第三十四話 奇跡の力のお姫様
何処にでもいるはずの女性、桜名美姫はホロテイルジュの戦士シンデレーザーとして戦っていた。ダークストーリーズはトップであるママーハハの登場により勢力を増しつつあった。ダークストーリーズのトップに君臨しようと独断で侵攻を始めていたが、ママーハハに悟られ消されてしまう。その際に美姫を道連れにしようとするが美姫を庇ったエメラルディアを刺殺、エメラルディアは消滅してしまう。そしてママーハハの猛攻により、ルビー、サファイア、シトリンの指輪が砕かれてしまう。遺された戦士達は希望と不安が入り乱れた複雑な気持ちになる。そんな中、ママーハハは力を溜めて再び人間界に現れる。しかしママーハハの前に現れたのは、美姫達六人の戦士達だった。
空が不気味な色に染まった朝、桜名美姫、水原夜衣魚、双見アラモード、鈴木林檎、三浦竹月、赤園風布花、リーナ・ジーニアス、実・ファンタジアの八人は街中に急ぎ合流していた。
「みんな、大丈夫?」
「美姫さん!」
「大丈夫です。」
皆は不気味な空の下、何とか街中を走って来たのだ。
「みんな、これが本当に最後の戦いになると思う。覚悟はいい?」
美姫は皆に改めて覚悟を確かめる。しかし皆はすぐに返事が出来なかった。
「…まあ、そんな感じか。」
美姫は昨夜リーナから皆の様子を聞いていたので皆の反応は予想出来ていた。美姫はある提案をする。
「よし、じゃあママーハハに勝ったらみんなでパーティしようか。」
「え?」
突然の美姫の言葉に夜衣魚達は戸惑う。
「何か楽しみがあった方がいいじゃん、世界を守った記念にさ。」
そんな美姫の言葉に、皆は思わず笑顔になる。
「そうですね美姫さん、パーティしましょう。」
「じゃあ、ちゃっちゃとママーハハを倒しちゃいましょう。」
林檎と夜衣魚はママーハハと戦う気合を高める。
「何かいい感じじゃん。」
皆がママーハハとの戦いに対して前向きになっているのを見た実は突然、美姫達の背中を押す。
「え、実は行かないの?」
美姫は実の黄道に困惑する。
「だってこの中に入るのは違うかなって思って。だからママーハハはそっちに任せるよ。」
実は何か考えがあるようで、ママーハハとの戦いを美姫達に任せようとしていた。
「でもその代わり、六人のチーム名を考えてあげたよ。」
「チーム名?」
実は唐突に美姫達六人のチームを名付けたと言う。美姫達は首を傾げてしまう。
「だってもうエメラルディア様がいないのにホロテイルジュなんて名乗るのはおこがましいじゃん?だから新しい名前が必要だと思ってさ。」
「そうかな…?」
林檎は少し実の言い分が理解出来なかったが、取り敢えずチーム名を聞くことにする。
「ちょっとみんな、集まって。」
実に言われるがまま、美姫達は円陣を組む。そして実はこっそりとチーム名を伝える。そして実からチーム名を聞いた皆は思わず噴き出してしまう。
「ふふっ、何その名前?」
「でも、私達らしいと感じました。」
「ま、ママーハハへのはったりにはなるかもね。」
皆は実の提案したチーム名を気に入る。
「それでは皆さん、世界の命運を宜しく頼みます。」
リーナは美姫達をじっと見つめ、希望を託す。
「任せて、リーナ。」
「必ず勝って、戻って来ます。」
美姫達六人はリーナの気持ちを受け止め、ママーハハの元に向かうのだった。
「じゃあリーナ、私達も行こうか。」
「どこへ行くのですか?実。」
六人を見送った実は、どこかに行こうとする。リーナは少し困惑するが、実と共に行くのだった。
そんな決戦前のやりとりをしていた美姫達六人は、皆が不敵な笑みを浮かべていた。
「それじゃあみんな、行くよ!」
「「「「「はい!」」」」」
美姫の合図で、六人は一斉に本を開く。
「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」
「うお座!アクアマリン!人魚姫!」
「ふたご座!オパール!ヘンゼルとグレーテル!」
「さそり座!アメジスト!白雪姫!」
「おひつじ座!ガーネット!かぐや姫!」
「やぎ座!パール!赤ずきんちゃん!」
六人が一斉に叫ぶと空に六つの星座が浮かび上がり、空から声が聞こえる。
「Miracle Force!」
「来て!」
「来ちゃって!」
「カモン!」
「来なさい!」
「おいでなさい!」
「来て下さい!」
六人が空にそう叫ぶと、それぞれの星座の最輝星が光を放ち六人の指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、六人の体を包む。やがて六人の体が光を放ち、戦士へとその姿を変える。
「六人か、随分と少なくなったものだな。」
ママーハハは六人の戦士を見てそう感情を吐露する。しかし六人は構わず名乗る。
「シンデレーザー!」
「マーメイデスト!」
「ツインスウィーテス!」
「ポイズノーム!」
「フルムーンハイヤー!」
「レッドバイトゥース!」
六人がそれぞれ自身の名を名乗ると、ママーハハを見つめて不敵に立つ。
「私たち!」
シンデレーザーのその言葉で六人は同時にポーズを決める。
「「「「「「ミラクルフォースプリンセス!」」」」」」
六人は更にポーズを決めながら名乗る。その名前こそ、実が名付けた六人のチーム名だった。
「ふん!そんなはったり、我に通用すると思うか!」
ママーハハはそう言って指輪を砕いたあの黒いオーラを発する。
「みんな避けて!」
シンデレーザーの言葉で六人は華麗に跳び、オーラを避ける。
「あれに当たったら一巻の終わりだからね、気を付けて!」
「「「「「はい!」」」」」
シンデレーザーはそう言って注意を促す。皆は何とかママーハハの発する黒いオーラを避けながらなんとかママーハハに近づく。
「マーメイトライデント!」
マーメイデストは三又の槍を召喚し、勢いよく跳んでママーハハに突く。
「スコーピオンウィップ!」
ポイズノームは毒針の付いた鞭を召喚し、ママーハハに打ち付ける。
「ツインデスナイフ!」
ツインスウィーテスは二本のナイフを逆手に持ち、ママーハハに斬り付ける。
「そんなもの効かぬわ!」
しかし三人の攻撃はママーハハにはびくともしない。
「はっ!」
ツインスウィーテスは今度、二人に分身してママーハハに立ち向かう。
「「喰らえ、ツインデススラッシュ!」」
二人のツインスウィーテスはママーハハを挟み込むようにして斬り付ける。しかしそれでもママーハハはものともせず弾き飛ばしてしまう。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」
「アラモードさん!」
フルムーンハイヤーは弾き飛ばされるツインスウィーテスを見て叫び、ママーハハの周囲に無数の満月を散りばめる。
「参ります!」
フルムーンハイヤーはそう言って満月を踏み台にしてママーハハの周りを跳び回り、ママーハハを翻弄させようとする。
「月の力か、それがどうした!」
ママーハハは怒るようにそう叫ぶと満月を全て消し去ってしまう。
「そんな!」
フルムーンハイヤーが動揺する中、ママーハハはフルムーンハイヤーを振り払うように弾き飛ばしてしまう。
「きゃぁぁ!」
飛ばされるフルムーンハイヤーをツインスウィーテスがなんとか受け止める。
「レーザーストライク!」
シンデレーザーは隙を突いてレーザー銃をママーハハに放つ。その攻撃だけは、流石のママーハハもよろけてしまう。
「ふん、少し手応えがある奴がいるか。」
「もっと手応えを感じさせてあげる。」
シンデレーザーはママーハハに向かってそう言い放つと、再び本を開く。
「やまねこ座!ダイヤモンド!マレーン姫!」
シンデレーザーはワイルドタイプとなり、ママーハハに飛び掛かる。
ミラクルフォースプリンセスの六人とママーハハの戦いをとあるビルの屋上から見つめる三人の男性と一体の怪物がいた。桃井剣二、浦賀輝弓、金山依斧、そしてパンドラスである。
「やっぱ強いなぁ、ママーハハ様は。」
パンドラスはミラクルフォースプリンセスの六人を圧倒するママーハハの強さに感心する。
「まだママーハハを倒す手立てもないのに、大丈夫かな?」
輝弓は自身の指輪を砕いたママーハハの強さに、シンデレーザー達を心配する。
「今は美姫達を信じるしかない。」
「しかし、今のところあまり優勢に立っているとは思えません。本当に大丈夫でしょうか?」
剣二はシンデレーザー達を信じることを言うが、依斧も心配を拭えなかった。そんな時、剣二達の元にリーナと実が現れる。
「人の心配している暇なんてないでしょ?パンドラス。」
実はパンドラスを煽るようにそう言う。
「実、何でママーハハの所に行かないんだよ?」
輝弓は実にそう尋ねる。確かにまだ戦える実がママーハハとの決戦に赴かないのはおかしな話だった。
「ママーハハなら大丈夫、ミラクルフォースプリンセスがいるから。」
「ミラクルフォースプリンセス?」
依斧は実が発したミラクルフォースプリンセスという言葉に首を傾げてしまう。そしてリーナが説明する。
「実が名付けた彼女ら六人の名前です。」
「なるほど…。」
リーナの説明に、依斧は取り敢えず納得する。
「ま、あとはパンドラスだけってことで。」
実はそう言ってゆっくりとパンドラスに近づく。
「待て実!今のパンドラスに戦う意志はない、だからここで無駄に争うな。」
剣二はパンドラスを庇うように腕を伸ばし実にそう言い放つが、パンドラスはその腕を優しく下ろす。
「いや、丁度いい。相手になってやるぜ。」
パンドラスはそう言って戦う態勢になる。
「じゃあ決まりだね。」
実はそう言って本を開く。
「かに座!ラピスラズリ!ピーターと不思議な冒険!」
実がそう叫ぶと空にかに座が浮かび上がり、空から声が聞こえる。
「Miracle Force!」
「来ちゃいな!」
実が空にそう叫ぶとかに座の最輝星が光を放ち、実のしているラピスラズリの指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、実の体を包む。やがて実の体が光を放ち、戦士へとその姿を変える。
「ピーターシザーズ!」
実がその姿を変えたピーターシザーズは名乗り、パンドラスに向かって走り出す。
「俺も最後の大暴れだ、本気で掛かってこい!」
パンドラスもそう叫んで走り出す。そしてパンドラスの拳とピーターシザーズの脚が激しくぶつかり合うのだった。
一方、ワイルドタイプとなったシンデレーザーは野性的な構えを見せ、ママーハハに勢いよく飛び掛かる。
「ワイルドネイル!」
シンデレーザーの立てた鋭い爪がママーハハを切り裂く。
「くっっ…。」
ママーハハはまたよろける。シンデレーザーの攻撃はママーハハに通用するようだった。
「このまま私も!」
レッドバイトゥースはそう言って左手を挙げる。
「おおかみ座!」
レッドバイトゥースがそう叫ぶと空におおかみ座が現れ、レッドバイトゥースはクリムゾンタイプとなる。
「行きます!」
レッドバイトゥースもまた野性的な動きでママーハハを翻弄する。
「くっっ…、こんな小娘なんかに…!」
ママーハハはレッドバイトゥースの動きに翻弄されたことに悔しさを覚える。
「私達の力、こんなものではありません!」
フルムーンハイヤーはそう言うと、レッドバイトゥースと同じように左手を挙げる。
「うさぎ座!」
フルムーンハイヤーがそう叫ぶと空にうさぎ座が現れ、フルムーンハイヤーはジャンパータイプになる。
「参ります!」
フルムーンハイヤーはそう言うとママーハハの巨体をも越える高さまで跳び上がり、背後に無数の満月を召喚する。
「満月ラッシュ!」
フルムーンハイヤーがそう言うと無数の満月が勢いよくママーハハに衝突する。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ママーハハが再びダメージを受けているのを見たマーメイデストとポイズノームは、勝機を見出だす。
「よし、これなら!」
「一気に行くよ!」
そう言ってマーメイデストとポイズノームはそれぞれ三又の槍と鞭をママーハハに振るう。
「トライデントクロス!」
「ポイズンストラングル!」
「効かぬ…!」
二人の攻撃はママーハハにギリギリのところで弾かれてしまう。
「いるか座!」
「三枚の蛇の葉!」
しかし二人は即座に、それぞれフロートタイプとスネークタイプになる。
「はぁぁ!」
マーメイデストはママーハハの周りを泳ぎ回りながらママーハハを翻弄する。
「行きなさい!」
ポイズノームは本を開き、無数の蛇を召喚してママーハハの体を這わせる。
「何だこの蛇どもは?気色が悪い。」
そして無数の蛇は一斉にママーハハに噛みつき、ママーハハの体には毒が回る。
「ぐっっ…、うわぁぁぁぁぁ!」
ママーハハは蛇の毒に翻弄されてしまう。
「今だ!」
マーメイデストはママーハハが苦しむ隙を突き、一気に跳び上がって三又の槍を振るう。
「トライデントクロス!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
マーメイデストの決死の攻撃もママーハハに決まる。
「それじゃ私も行こうかな。」
ツインスウィーテスはそう言って再び本を開く。
「七羽のカラス!」
ツインスウィーテスはそう言ってクロウタイプになる。
「出でよカラス!」
ツインスウィーテスはまた本を開き、七羽のカラスを召喚する。カラス達はママーハハの周りを飛び回って翻弄する。
「行っけ~、セブンクロウズ!」
そしてツインスウィーテスがそう言うとカラス達は四方八方から飛んでママーハハの体を貫く。次第にミラクルフォースプリンセスの六人は優勢になっていた。
「よし、このまま決めるよ!」
シンデレーザーは優勢になったことを感じると、一斉攻撃を試みる。
「させるか!」
しかしその瞬間、ママーハハは強い衝撃波を放つ。
「「「「うわぁぁぁぁ!」」」」
「「きゃぁぁぁぁ!」」
六人はその強い衝撃波で吹き飛んでしまう。
「我がこの程度で倒れると思ったか?」
地面に這いつくばる六人を見下しながら、ママーハハはそう言い放つ。
「まだまだ!夜衣魚ちゃん、もう一段階行くよ!」
「はい!」
シンデレーザーはマーメイデストと共に立ち上がり、ママーハハに向かって行く。
「つる座!ダイヤモンド!いばら姫!」
「くじら座!」
シンデレーザーとマーメイデストはそれぞれエレガントタイプとスプラッシュタイプになり、ママーハハに立ち向かう。
「やはり一筋縄では行かないか…。」
依斧は双眼鏡で六人の戦いを眺め、気を配る。そして双眼鏡を輝弓に渡し、今度は輝弓が双眼鏡を覗く。
「うわ本当だ、かなりボロボロじゃん。」
輝弓も六人を心配するが、剣二は六人に感心していた。
「しかし、あのママーハハに対してあれだけ戦えているんだ。ホロテイルジュの力をかなり使いこなしている。」
三人が戦いを見守る中、ピーターシザーズはパンドラスと激しい攻防を繰り広げていた。
「かに座!」
ピーターシザーズはそう言って左手に蟹の鋏を備える。
「おりゃぁぁ!」
そして勢いよくパンドラスを挟み込もうとする。しかしパンドラスは両手で鋏を受け止めてしまう。
「残念だったな、お嬢ちゃん。」
「あんた、中々やるじゃん。」
パンドラスとピーターシザーズはそう言葉を交わす。パンドラスはふとピーターシザーズに尋ねる。
「お前、本当にあの何とかプリンセスって奴に入ってママーハハ様と戦わねぇのか?」
「だって私プリンセスじゃないし。」
パンドラスの問いにピーターシザーズはそう答える。
「私はプリンセスじゃなくて、みんなの夢とリーナを守るファンタスティックナイトだよ。」
「実…。」
続けてピーターシザーズが発した言葉に、リーナは嬉しくなる。
「何だそれ?訳わかんねぇ。」
パンドラスはそう言ってピーターシザーズを嘲笑い、攻撃を続ける。しかしパンドラスにはその笑いが懐かしく感じられた。
「そういや俺も、散っていったあいつらとはこうやって笑いあったことがあったなぁ。」
パンドラスはそう言って嘗ての仲間だったダークストーリーズの幹部との思い出を振り返っていた。
「俺もあいつらも、世界を己のシナリオ通りに動かすとか訳わかんねぇ目的のためにがむしゃらに突っ走って来たんだよ。その末路がママーハハ様の一部になることだなんて、悲しいじゃねぇか!」
パンドラスは今まで溜め込んで来た想いをぶつけるようにピーターシザーズを攻撃する。その言葉に、剣二達も胸打たれる。
「パンドラス…。」
「あいつが感情的になってるの初めて見たよ。」
「ああ、だがどんな言葉よりも重い。」
そしてピーターシザーズもパンドラスの想いを受け止め、パンドラスに攻撃する。
「その想い、心を込めて応えてやる!」
そしてパンドラスとピーターシザーズの果てしない攻防は、尚も続くのだった。
シンデレーザーとマーメイデストの二人はそれぞれエレガントタイプとスプラッシュタイプになりママーハハと戦う。
「トライデントスプラッシュ!」
マーメイデストは水飛沫を上げ、ママーハハに浴びせる。
「はぁぁ!」
ママーハハが水飛沫に翻弄されている隙を突き、茨を出してママーハハを縛り付ける。
「みんな、この内に!」
「「「「「はい!」」」」」
シンデレーザーの合図でマーメイデスト達五人はママーハハに攻撃しようとする。
「このままやられるか!」
ママーハハはそう言って体を縛る茨を引き千切る。
「出でよ、幻影達!」
ママーハハがそう言うと、五つの黒いオーラが現れ、怪物の体を形成する。それはこれまで倒して来た幹部達だった。
「バブルガス…。」
「ウィッチ・シスターズ…。」
「スーター…。」
「ウルフィン…。」
六人はママーハハの手によって蘇った幹部達に目を見張る。そして幹部達は皆、魂の抜けたような目をしていた。
「死体を掘り起こしたって訳?」
シンデレーザーはママーハハに問い掛ける。
「ふん、混沌とした戦いは好きではないからな。シンデレーザー、この際一対一で勝負と行こうではないか。」
ママーハハはそう答えてシンデレーザーに襲い掛かる。
「だったらサイズを合わせて欲しいなあ!」
シンデレーザーはママーハハの攻撃を避けながら不満をぶつける。
「バブルガス!」
マーメイデストはバブルガスと戦っていた。マーメイデストはバブルガスに必死に話し掛けるが、バブルガスは何も答えない。
「ああもう!調子狂うなあ!」
マーメイデストは操り人形のように動くバブルガスに歯痒さを覚えながら戦う。そして操り人形のように動くのは他の幹部達も同じだった。
「確かに、これは中々きついね…。」
ポイズノームもウィッチ・ライターと戦いながらマーメイデストと同じものを感じていた。
「ウルフィン!あなたは最期に自分のプライドを守って生を全うしたはずです。今更ママーハハの操り人形になってどうするのですか!」
レッドバイトゥースはウルフィンと戦いながら言葉を投げ掛ける。しかし操り人形の如く暴れるウルフィンには何も響かなかった。
「ママーハハ、許さない!」
「お前が決めることではない!」
シンデレーザーはママーハハに怒りを覚えるが、ママーハハも怒りをぶつけママーハハに巨大な拳を喰らわせる。
「ぐぅぅ…!」
シンデレーザーはなんとかママーハハの拳を受け止め、踏ん張る。しかしママーハハの力は絶大だった。
「やまねこ座!ダイヤモンド!マレーン姫!」
シンデレーザーは再びワイルドタイプになり、腕力を上げてママーハハの拳に対抗する。
「なるほど、中々のパワーだな。ならばこれでどうだ!」
ママーハハはそう言ってギルベアーの幻影を召喚する。
「ギルベアー⁉」
シンデレーザーはギルベアーに戸惑ってしまう。しかしそんなことは構わずギルベアーはシンデレーザーに攻撃する。
「ぐっっ…!」
ギルベアーの力技に、シンデレーザーは押されてしまう。
「さて、このまま戦っても不毛だ。まずはパンドラスを取り込んで完全体になるか…。」
「完全体?」
ママーハハはそう言ってパンドラスの元に向かおうとする。シンデレーザーはママーハハの発した完全体という言葉が気になっていた。
一方、未だ交戦を続けるピーターシザーズとパンドラス。
「ははは!楽しくなって来たじゃねぇか!」
「私も、何かノッてきた!」
ピーターシザーズとパンドラスは戦いに快楽を覚えるようになっていた。しかしそんな時、ママーハハが近付いているのを輝弓が見つける。
「おいヤバいよ、ママーハハがこっち来る!」
「何⁉」
剣二が驚いて双眼鏡を覗く。すると確かにママーハハが向かって来るのがわかる。
「美姫達は何をやっているんだ…!」
剣二は美姫達が未だママーハハに対し劣勢になっていると感じ歯痒さを覚える。そしていつの間にかパンドラスはピーターシザーズを追い詰めていた。
「くっっ…!」
「実…!」
倒れ込むピーターシザーズとそれを心配するリーナ。そしてパンドラスはピーターシザーズにゆっくりと近づく。
「これで終わりだぁぁ!」
パンドラスがそう叫んで拳を振り下ろそうとした時、パンドラスの頭に直接語り掛けるような声が聞こえる。
「危ないパンドラス!」
「デビルホーン?」
パンドラスにはその声が嘗てシンデレーザーに倒された幹部、デビルホーンのものに聞こえた。パンドラスはピーターシザーズへの攻撃を止め、慌ててママーハハを見る。
「デビルホーン、デビルホーンなのか?」
パンドラスはママーハハに向かってデビルホーンに語り掛ける。
「何言ってるんだよパンドラス?」
輝弓はパンドラスの行動に首を傾げ、尋ねる。
「聞こえたんだよ、デビルホーンの声が!」
パンドラスは必死に言い聞かせるように言う。
「まさか、ママーハハに取り込まれたデビルホーンが語り掛けたというのか?」
剣二もパンドラスの言うことを俄かには信じられなかった。そしてパンドラスはママーハハの姿を見てあるものを見つける。
「おい見ろ!ママーハハ様の体、一部だけ色が違う。」
「確かにそうだな。」
パンドラスの言うことには依斧も同意する。確かにママーハハの体は一部だけ色が違っていた。
「多分ママーハハ様は俺を取り込まなかったことで不完全体なんだ。つまり色が違うあそこがママーハハ様の弱点ってことなんだよ!」
パンドラスはママーハハの弱点を感じ取る。そしてママーハハの弱点を知ったピーターシザーズはあることを思いつく。
「じゃあ私が一気にその弱点を叩いて、ミラクルフォースプリンセスに花を持たせるよ。」
ピーターシザーズはそう言ってエメラルディアのしていたエメラルドの指輪を取り出す。
「実、指輪を持っていたのですか⁉」
リーナはピーターシザーズがエメラルドの指輪を持っていたことに驚く。
「エメラルディア様が消滅した時、取っておいたんだ。ここが私の正念場だし、ここで使っておかないとね。」
ピーターシザーズはそう言ってエメラルドの指輪を右手の中指に嵌めようとする。
「待て実、選ばれていない指輪を嵌めることは出来ない。お前もわかっているはずだ!」
「出来なくてもやるの!世界を守るためなんだから。」
剣二がピーターシザーズを止めようとするが、ピーターシザーズは構わず指輪を嵌めようとする。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ピーターシザーズは苦しみながらもなんとかエメラルドの指輪を嵌める。
「行くよ、最後の大仕事!」
そして左手にラピスラズリ、右手にエメラルドの指輪を嵌めたピーターシザーズはママーハハの弱点に飛び込む。
「おりゃぁぁぁぁぁぁ!」
ピーターシザーズは左手に鋏を備え、一気にママーハハに突き刺す。
「何だお前は?ホロテイルジュにまだ戦士が残っていたか。」
ママーハハは向かって来るピーターシザーズを疎ましく感じる。
「実!」
シンデレーザーはピーターシザーズを心配する。そしてピーターシザーズはママーハハの体を貫き、体内に入る。
「ここが、ママーハハの体内…。」
ピーターシザーズが入ったママーハハの体内は、薄暗いオーラが蔓延しているところだった。
「何ここ…?」
ピーターシザーズはママーハハの体内に不気味さを感じる。するとピーターシザーズは胸に苦しさを覚えてしまう。
「うっ…!」
ピーターシザーズが両手を見てみると、ラピスラズリとエメラルドの指輪にひびが入る。
「やば…、私も時間がない。」
ピーターシザーズは焦りを覚えてしまう。そしてそんなピーターシザーズの前に半透明な怪物の幻影が現れる。その怪物は二本角の鬼のような姿をしていた。
「鬼…?そうか、こいつがデビルホーンだ!」
ピーターシザーズはその姿がデビルホーンだと悟る。
「パンドラスに教えてくれたんだね、ママーハハに反抗するように。」
ピーターシザーズはデビルホーンの気持ちを汲み取り、指輪の宝石に力を込める。
「私が全部、浄化してあげる!」
そしてラピスラズリとエメラルドの宝石からそれぞれ青色と緑色の眩い光が放たれ、ママーハハの体内に広がる薄暗いオーラをかき消す。そしてデビルホーンの幻影も、成仏するかのように消える。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
体内でピーターシザーズの攻撃を受けたママーハハは苦しみ出す。
「何?」
「何が起こってる訳?」
シンデレーザー達は突然のママーハハの様子を不思議に感じる。そしてママーハハの胸の辺りからピーターシザーズが飛び出して来る。
「あぁぁぁぁぁ~~~!」
ピーターシザーズの両手にしてあったラピスラズリとエメラルドの指輪は砕かれ、ピーターシザーズは実の姿に戻ってしまう。
「実!」
「危ない!」
実を見つけたポイズノームは、鞭で実を捕まえ、自身の元に抱き寄せる。
「大丈夫?」
「アポーちゃん、ありがとうね。」
「もう、心配かけさせないの。」
ポイズノームは実が無事だったことに安心する。そしてママーハハの召喚した幹部達の幻影も、いつの間にか消えていた。
「実!」
リーナは慌てて実の元に駆け寄る。
「リーナ、エメラルディア様の形見を壊しちゃった。」
実はリーナに、エメラルドの指輪が砕かれたことを謝る。しかしリーナにとっては些細なことだった。
「あなたが無事ならば良いのです。」
リーナはそう言って実を抱き締める。
「リーナ、実を連れて安全な場所へ。」
「承知致しました。」
ポイズノームはリーナにそう言い、リーナは実を肩に抱きかかえて立ち上がる。
「実はママーハハの弱点を突いてくれました。これであなた方が有利に戦えるはずです。健闘を祈ります。」
リーナはそう言い残し、実を連れて去る。そしてミラクルフォースプリンセスの六人は再びママーハハの元に集まる。
「おのれ人間どもめ!」
ママーハハは憎しみの籠った目で六人を睨み付ける。
「みんな、実がチャンスを作ってくれた。ここから一気に行くよ!」
「「「「「はい!」」」」」
六人は気合を入れ、ママーハハに立ち向かうのだった。




