第三十二話 最凶との決戦
何処にでもいるはずの女性、桜名美姫はホロテイルジュの戦士シンデレーザーとして戦っていた。ダークストーリーズはトップであるママーハハの登場により勢力を増しつつあった。ペリドットの資格を巡り、激しくぶつかり合う美姫とリーナ・ジーニアス。一方的に攻められるリーナだったが、ふとエメラルディアに拾われた時のことを思い出す。そして美姫も自身の祖母にしてホロテイルジュの創設者である琴姫との思い出が浮かぶ。そして美姫が琴姫によって戦士としての素質を鍛え上げられていたことを感じ取ったリーナは美姫に屈伏し、力を貸すよう懇願する。そして思いが通じ合った美姫とリーナは共にカイザードと戦い、追いつめる。しかしそこにロバーズが現れ、仲間であるはずのカイザードを消滅させてしまうのだった。
桜名美姫、桃井剣二、浦賀輝弓、金山依斧、水原夜衣魚、双見アラモード、鈴木林檎、三浦竹月、赤園風布花、リーナ・ジーニアス、実・ファンタジアの十一人はロバーズがカイザードを手に掛けた衝撃の光景を前に言葉が出ずその場に立ち竦んでいた。
「あの人、何のつもり?」
「最初からダークストーリーズを乗っ取るつもりでいたのか、あいつは。」
夜衣魚と剣二は驚きながらそう呟く。そして誰よりも美姫のショックは大きかった。
「ギジュ、何であんなことに…。」
そう言って俯いてしまう美姫。
「取り敢えず、エメラルディア様の元に報告に行きましょう。」
リーナはそう言って、一同をエメラルディアの元に連れていくのだった。
一方、ダークストーリーズの本拠地ではパンドラスがロバーズを激しく責め立てていた。
「てめー、わざとカイザードに忠実な振りをしていやがったな!」
しかしロバーズはそんなパンドラスとは裏腹に平然としていた。
「だから何だと言うのです?私は既にママーハハ直属の幹部、あなたの言うことと私の言うことの一体どちらをママーハハは聞きますかねぇ。」
「…くそっ!」
パンドラスは今や身分がロバーズよりも下になってしまったことを悔やんでしまう。
「…何が目的だ?」
パンドラスはロバーズに問いかける。今まで人間がダークストーリーズの幹部になったことなどなく、更にダークストーリーズの幹部が組織の意向に従えないことはあっても裏切るようなことは決してなかった。そしてロバーズは高らかに笑いながら語り出す。
「私は人間の時、空虚な生活を送っていました。何の変哲もない日々が過ぎて行くだけ、そんな生活に飽き飽きしていたんです。」
「それでカイザードに出会い、ダークストーリーズに入ったと…。」
パンドラスはカイザードの話に微かな共感を覚える。確かにダークストーリーズも平凡な世界を嫌う組織であり、この世界を自分達のシナリオ通りに動かすというのが目的であった。しかしそれでもパンドラスにはわからないことがあった。
「けど、これまで俺達幹部の中でも出し抜こうとする奴はいなかった。」
「その考えがちんけだと言うのです。組織でこの世界を勝ち取っても誰のシナリオで動かすのですか?」
「…なるほどな。」
パンドラスはロバーズの言葉で全てに合点が行く。ダークストーリーズの幹部は皆、平等にシナリオを描けると考えていた。ロバーズは永久に自分だけで世界を支配するつもりでいたのだ。
「やっぱてめぇとはわかり合えそうにねぇな。」
パンドラスはそう言ってロバーズに見切りをつけ、攻撃を始める。しかしロバーズは軽くあしらい、踏みつける。
「お前とは格が違うんだよパンドラス。俺はホロテイルジュを全滅させてお前もママーハハも手に掛け、俺だけの世界にしてやる!」
ロバーズは荒々しい口調でそう言うと、パンドラスを軽く蹴とばしてダークストーリーズの元を後にする。
「後悔するぞ、…ってか後悔しやがれ。」
苦しみながら悶えるパンドラスは、ロバーズを遠目に見ながらそう呟くのだった。
「ロバーズが、ダークストーリーズのトップの座を狙っていた、か…。」
ホロテイルジュ一同はエメラルディアの元に行き、ロバーズのことを報告する。エメラルディアはそのことに頭を抱えていた。
「恐らくロバーズは、私達ホロテイルジュを全滅させようと企んでいます。いかが致しますか?」
リーナはロバーズについてエメラルディアに尋ねる。
「取り敢えず美姫達は帰っていいが、一応戦いには備えてくれ。リーナ達はここで変わらず待機だ。」
「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」
エメラルディアの指示で、皆は来るべき戦いに備えるのだった。
その夜、リーナと実はリーナの部屋で共に過ごしていた。リーナはどこか寂し気な雰囲気を醸し出していた。
「リーナ、指輪の具合はどう?」
実がリーナにふと、ペリドットのことを尋ねる。
「ええ…。」
リーナは少し覇気のない声で答える。
「私にはわかります、ペリドットの指輪の資格が離れて行くのが。恐らく次にこの力を使う時が、私の最後の戦いです。」
「…そっか。」
リーナは自身が戦士でなくなることに寂しさを感じていた。実はリーナの気持ちを汲み取り、リーナの横に座る。
「もしもリーナがダークストーリーズを倒す前に戦士じゃなくなったら、私がリーナを全力で守る。それにもう桜名美姫もみんな味方だし、恐いものなんてないよ。」
「そうですね、実。」
実の言葉で元気を出したリーナは実と優しく抱き合い、共に夜を過ごすのだった。
「アラモードさん、私の渾身のパフェです。」
「ありがとう、竹月ちゃん。」
時を同じくして、竹月はアラモードの家に行きパフェを振る舞っていた。
「いかがですか?」
「前より美味しくなってる~!」
アラモードは以前より質が上がっているパフェの味に驚く。
「喜んでもらえて光栄です。このパフェ、実は砂糖の量を減らしているんです。」
「うっそ~!こんなに甘いのに。」
「これもアラモードさんへの愛です。」
アラモードと竹月は仲良く二人だけの世界に浸る。そんな二人の様子に夜衣魚と林檎は冷たい視線を送っていた。
「決戦が近づいているというのに、呑気だねぇ。」
林檎は呆れるようにそう言う。しかしそんな林檎にアラモードは答える。
「甘いよ林檎、このパフェが人生最後のパフェになるかも知れないんだからね。」
「アラモード…。」
夜衣魚はアラモードの言葉に今までにないくらいの覚悟を感じていた。
「でもまあ、どうせ勝つでしょ。ロバーズにも、ママーハハにも。」
しかしアラモードは一転、これからの戦いに対して楽観視する。
「はぁ…、やっぱりそう言うよねあんたは。」
林檎はまたもアラモードに呆れてしまう。しかしアラモードの意見には夜衣魚も同調できるものがあった。
「でも確かに、今の私達ならきっと勝てる気がする。だって私達の代で初めて幹部を倒したんでしょ?」
「それはそうだけど、でもそれは美姫さんが…。」
林檎は自分達が強い理由が美姫にあることを感じ、正直ロバーズにも勝てるかどうか自信が持てなかった。そんな林檎に竹月が話し掛ける。
「林檎さん、あまり思い詰めないで下さい。お二人の分もパフェを用意しておりますし。」
そう言って竹月は夜衣魚と林檎にもパフェを差し出す。
「林檎、ここは一つ甘えよ?」
「…うん。」
夜衣魚も林檎を元気づけ、この日の夜は皆でパフェを食べるのだった。
そしてまた時を同じくして、剣二、輝弓、依斧の三人は腕立て伏せを行っていた。
「きゅ~じゅ~きゅ~、ひゃ~く~!もうダメ。」
輝弓は腕立て伏せを百回行ったところで倒れ込んでしまう。
「だらしないぞ輝弓、俺達は美姫さん達みたいに複数の星座や童話の力を引き出すことができない。戦闘力で補うしかないんだ。」
依斧は疲れてしまっている輝弓を注意するように言う。
「ホロテイルジュが漸く十二人纏まったんだ。それにもうダークストーリーズの幹部も少ない。今が一番有利な状態なんだ。」
剣二も輝弓にそう言い聞かせる。
「わかってるよ剣二、俺だって戦いのない世界を望んでいるんだ。漸くこの長い戦いに決着をつけられるんだ。」
輝弓もダークストーリーズとの戦いに意気込むのだった。
「遂に、ホロテイルジュの戦いが終わるのか…。」
そう言いながらエメラルディアは三人の前に現れる。エメラルディアは戦いの終焉に思いを馳せていた。
「エメラルディア様。」
「剣二、輝弓、依斧、今まで世話を掛けたな。」
「え、何急に?」
輝弓は突然のエメラルディアの畏まった態度に困惑する。そしてエメラルディアは照れ隠しをするように咳払いをする。
「とにかくだ、またいつロバーズが暴れるかわからん。今は戦いに備えて休眠を取れ。」
エメラルディアはそう言ってそそくさと剣二達の元を去る。
「なんだあの人?」
「エメラルディア様はずっと戦って来たんだ。あの人が一番感慨深いだろう。」
剣二はエメラルディアの気持ちを汲み取る。そして三人はエメラルディアの言葉に甘え、休眠を取るのだった。
「美姫さん、起きてますか?」
「うん、どうしたの風布花ちゃん?」
家に帰った風布花はその夜、美姫に電話を掛けていた。風布花はロバーズが本性を現わしてからの美姫の様子が心配だった。
「美姫さん、ロバーズを倒しますか?」
「うん…、どうしよう。」
美姫は人間と決別しているとはいえ、嘗ての恋人であるロバーズを倒すことを躊躇っていた。
「美姫さんが無理をする必要なんてないです。いざとなったら、私がロバーズに止めを刺します。」
「ありがとう、風布花ちゃんこそ無理しなくていいからね。」
美姫は風布花の気持ちを嬉しく感じ、電話を切ろうとする。
「あ、待って下さい美姫さん。」
「何?」
風布花は電話を切ろうとする美姫を止める。そして風布花は勇気を振り絞るように言う。
「あの…、好きです美姫さん。ロバーズなんかよりもずっと。」
「え?」
風布花の突然の告白に美姫は驚くが、美姫はその言葉に嬉しくなる。
「私も大好きだよ、風布花ちゃん。」
美姫も風布花に想いを伝え、二人は寝るのだった。
街が寝静まる夜更け、ロバーズは人知れず街を徘徊していた。
「一気にホロテイルジュの奴らを叩いてやる。」
ロバーズは睨み付けるような表情でそう言うと、黒いオーラを何百個も産み出して街にばら撒く。
「あいつらを倒せば、あとはママーハハだけだな。ははははははは!」
ロバーズはこれからの企みを行うことに、高らかに笑うのだった。
翌朝、美姫がベッドから起床すると胸騒ぎを感じていた。
「何だろう、何かおかしい…。」
そう感じた美姫がカーテンを開き窓を覗くと、そこにはマリスの大群がいた。
「これ、全部ギジュが産み出したの…?」
マリスの大群は窓の景色を覆い、明らかに以前カイザードが産み出したものよりも多かった。美姫はそれが全てロバーズの産み出したものだと感じ、背筋が凍える。
「行かなきゃ…。」
美姫はそう呟くとすぐさま部屋を飛び出すのだった。
「一夜にして謎の怪物が街に溢れ出しました。皆様はくれぐれも外出をお控え頂きますよう宜しくお願い致します。」
風布花の母親は街にマリスが溢れているというニュースを見て怯えていた。
「また変な怪物騒動が起こったようね。ねぇ風布花、学校からも臨時休校の連絡が来たから今日は家でゆっくり過ごそうね。」
母親は風布花にそう話し掛けるが、風布花は戦いが来たと思い鋭い眼差しを見せていた。
「お母さん、私行かなきゃ!」
風布花はそう叫んで家を飛び出す。
「え、ちょっと!待ちなさい風布花!」
母親は慌てて風布花を引き留めようとするが、風布花は聞く耳を持たず先を急ぐのだった。
美姫は街の中心に向かって走っていた。そして美姫は皆が集まるところに辿り着く。
「来たか美姫。」
エメラルディアはそう言って美姫を迎える。しかしその場に集まった皆は深刻な表情を浮かべていた。
「これ、カイザードの時よりも…。」
「ああ、かなりの数がいる。」
美姫の問いに剣二が答える。そしてエメラルディアが詳しいことを話す。
「恐らくロバーズが一晩で産み出したものだ。恐らく日本中に力をばら撒き、自動的に悪意を抽出してマリスを産み出したのだろう。」
「そんなことが可能なのですか?」
リーナがエメラルディアに尋ねる。
「わからない、しかしそうでなければこの数は有り得ない。」
エメラルディアはそう答える。そして皆は一列に並び、気合を入れる。
「いいかみんな、ここが正念場だ。」
「わかってます。」
「こんな状況になって、プライベートも何もないしね。」
「この戦いが終われば、私達は真の平和に近づきます。」
「そうしたら一回パーティしようね。」
「それ、ちょっと楽しみ。」
「みんな、全力で行くよ!」
そしてホロテイルジュの十二人は一斉に本を開く。
「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」
「しし座!ルビー!桃太郎!」
「みずがめ座!サファイア!浦島太郎!」
「おうし座!シトリン!金太郎!」
「うお座!アクアマリン!人魚姫!」
「ふたご座!オパール!ヘンゼルとグレーテル!」
「さそり座!アメジスト!白雪姫!」
「おひつじ座!ガーネット!かぐや姫!」
「やぎ座!パール!赤ずきんちゃん!」
「てんびん座!ペリドット!アラジンと魔法のランプ!」
「かに座!ラピスラズリ!ピーターと不思議な冒険!」
「いて座!エメラルド!アリババと40人の盗賊!」
十二人がそれぞれ叫ぶと空が暗くなり、黄道十二星座が浮かび上がる。そして空から声が聞こえる。
「来て!」
「来い!」
「来な!」
「来るんだ!」
「来ちゃって!」
「カモン!」
「来なさい!」
「おいでなさい!」
「来て下さい!」
「来るのです!」
「来ちゃいな!」
「我が元に!」
十二人が空に叫ぶとそれぞれの星座の最輝星が光を放ち、十二人の指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、十二人の体を包む。やがて十二人の体が光を放ち、それぞれ戦士へとその姿を変える。
「シンデレーザー!」
「キルビーレオン!」
「サファイアロード!」
「アックシトリナー!」
「マーメイデスト!」
「ツインスウィーテス!」
「ポイズノーム!」
「フルムーンハイヤー!」
「レッドバイトゥース!」
「アラジンザスカイ!」
「ピーターシザーズ!」
「エメラルディア!」
十二人はそれぞれ名乗り、呼吸を整える。そしてエメラルディアがゆっくりと口を開く。
「…決戦だ!」
エメラルディアの言葉に皆は返事をするように叫び、一斉にマリスの大群に立ち向かう。
「「はぁぁぁ!」」
シンデレーザーとアラジンザスカイは腰から取り出したレーザー銃を乱発し、マリスを一掃する。
「リーナ、大丈夫?」
シンデレーザーはアラジンザスカイを気に掛ける。
「もう既に苦しいですが、最後の瞬間まで戦い抜きます。」
アラジンザスカイはそう答え、またシンデレーザーと共に走り出す。
「「おりゃぁぁぁ!」」
マーメイデストとピーターシザーズは勢いよく跳び上がり、それぞれ三又の槍と左手の鋏を振り下ろして一掃する。そしてまたマリスの大群に囲まれながら背中合わせになる。
「多いなぁやっぱり。」
「大丈夫?息切れてない?」
「おばさん扱いしないの!」
そんなおどけた会話を交わしながら、二人は再びマリスの大群に立ち向かう。
「「うおぉぉぉぉぉぉ!」」
キルビーレオンとアックシトリナーはそれぞれ剣と斧を振り回してマリスの大群を一掃する。
「剣二さん、ホロテイルジュの力を上手く引き出さないと体力が…。」
「わかっている、しかしここはこちらが有利になるまで持ちこたえろ。」
「はい!」
二人はそう言葉を交わし、再びマリスの大群に立ち向かう。
「参ります!」
フルムーンハイヤーはそう言って無数の満月を空間にばら撒く。そして満月を踏み台にして跳び回り、マリスを翻弄する。
「必殺、お菓子の家!」
ツインスウィーテスは大きなお菓子の家を召喚してマリスの頭上に落とし、一掃する。そしてツインスウィーテスとフルムーンハイヤーはふと向かい合う。
「アラモードさん。」
「竹月ちゃん、この戦いが終わったらみんなパフェを食べよう。」
「そうですね、リーナさんと実さんにもパフェを振る舞いましょう。」
二人はそんな言葉を交わし、再びマリスに立ち向かう。
「スコーピオンウィップ!」
ポイズノームは毒針の付いた鞭を振り回し、マリスを一掃する。
「えいっ、えい!」
レッドバイトゥースは小柄な体でなんとかマリスと戦う。
「小石マジック!」
そしてレッドバイトゥースが指を鳴らすと、マリスのお腹に小石が溜まり、マリスは倒れてしまう。
「林檎さん。」
「何?」
レッドバイトゥースは戦闘中、ふとポイズノームに話し掛ける。
「昨日、また美姫さんに告白してしまいました。」
「今は戦いに集中して。後で話を聞くから。」
ポイズノームは戦いに集中するためにレッドバイトゥースを冷たく突き放す。
「…はい。」
そして再び戦いに行くレッドバイトゥースだったが、ポイズノームがふと呼び止める。
「風布花ちゃん。」
「はい?」
「…風布花ちゃんの気持ち、後でしっかり聞かせて。」
「…はい!」
レッドバイトゥースはポイズノームの言葉で再びやる気を感じ、マリスに立ち向かうのだった。
「ろ座!」
エメラルディアは空にろ座を浮かび上がらせ、炎を起こしてマリスを一掃する。
「欲張りな犬!」
続いてエメラルディアは本を開き、肉を咥えた巨大な犬が現れ肉を落とす。巨大な肉の下敷きになったマリスは一気に消滅してしまう。
「きりん座!」
そしてエメラルディアはマリスに向かって腕を突き出す。すると腕がキリンの首のように長く伸び、マリスを一掃する。
「はぁ…、何でこんなに力を出せるんだよ…。」
サファイアロードはエメラルディアの強さに唖然としていた。
「聞こえているぞ。」
「あ、すみません…。」
エメラルディアはサファイアロードにそう言い、サファイアロードは思わず固まってしまう。
「まあいい、行くぞ。」
「は、はい!」
サファイアロードはエメラルディアに言われるがまま慌てて弓を召喚する。そしてエメラルディアもいて座の力で弓を召喚する。
「秘弓・水の一射!」
「秘弓・閃光の一射。」
二人が共に放った矢がマリスを一掃する。そして二人は再びマリスに立ち向かう。
「おやおや、やってますねぇホロテイルジュの皆さん。」
「ギジュ!」
戦いの最中、ロバーズが現れ見下すようにそう言う。シンデレーザーはロバーズを見つけるなり飛び掛かる。
「血気盛んだなぁ美姫。」
「誰のせいだと思ってるの!」
ロバーズは嘗ての恋人であるシンデレーザーに襲われても毅然とした態度を崩さない。
「ギジュ、あなたにまだ人間の心が残っているのならこんなことはもう止めて!元のギジュに戻って!」
シンデレーザーは未だロバーズが元の人間に戻る希望を捨てられず、必死に訴えかける。
「ふざけるな美姫、あと少しでダークストーリーズを俺のものに出来るんだ。俺がこの世界を思い通りのシナリオで動かせられるんだ!」
しかしロバーズにはシンデレーザーの言葉が届かなかった。そしてロバーズはシンデレーザーにある提案をする。
「美姫、お前がまだ俺のことを愛してくれるなら俺の元に来い。お前をお姫様にしてやる。」
「何それ?」
「どうだ、平凡で辛い人生から一転お姫様になるシナリオだ。正にシンデレラじゃないか!」
「ふざけないで!」
ロバーズはシンデレーザーが幸せになるシナリオを作ろうとしていた。しかしシンデレーザーはロバーズの言葉を聞き入れるはずもなく、拳をロバーズの腹部に撃ち込む。
「つる座!ダイヤモンド!いばら姫!」
そしてシンデレーザーは本を開き、エレガントタイプになる。
「もうあなたを愛してなんかいない!あなたはこの手で制裁する!」
シンデレーザーはロバーズを倒す意志を固め、エレガントタイプの力で優雅に戦う。
「おおかみ座!」
シンデレーザーとロバーズが交戦する中、レッドバイトゥースがおおかみ座の力でクリムゾンタイプになり、シンデレーザーを飛び越えてロバーズに襲い掛かる。
「あなたが邪悪で助かりました、これで心置きなく美姫さんにあなたを忘れさせることが出来ます!」
レッドバイトゥースはそう言ってロバーズへの猛攻を見せる。それは美姫への心が籠ったものに見えた。
「風布花ちゃん…。」
シンデレーザーはレッドバイトゥースの気持ちが嬉しくなる。そして魔法の絨毯に乗ったアラジンザスカイがロバーズに襲い掛かる。
「はぁぁ!」
アラジンザスカイもレーザー銃でロバーズを攻め立てる。しかしアラジンザスカイは次第に胸の苦しさが大きくなり、思うように攻撃出来なくなる。
「何ですか?そんな弱々しい攻撃、私に通じると思いますか!」
ロバーズはそう言ってアラジンザスカイを軽くあしらうように殴り、倒れさせる。
「うわぁぁ!」
「リーナ!」
アラジンザスカイを気に掛けるシンデレーザーだったが、アラジンザスカイは思うように力を出せなくなる。
「ギジュ!」
シンデレーザーはアラジンザスカイを庇うようにロバーズに攻撃する。
「やまねこ座!ダイヤモンド!マレーン姫!」
シンデレーザーはワイルドタイプになり、荒々しくロバーズに攻撃する。
「美姫さん!」
「風布花ちゃん、一緒に行くよ!」
シンデレーザーがレッドバイトゥースにそう言うと二人は空中で一回転し、そのまま鋭い爪でロバーズを切り裂く。
「ぐぅぅ…!」
二人の猛攻に、流石のロバーズもダメージを感じてしまう。
「うっっ…!」
アラジンザスカイは胸の苦しさが頂点に達し、ついに元のリーナの姿に戻ってしまう。
「そんな、ここで…。」
リーナは慌てて本を開こうとする。しかし本から物語を記した文字が消えてしまう。
「そんな、まだ消えないで、私に力を貸して!」
リーナは必死に訴えかけるが、それも虚しく本は全てのページが白紙と化しペリドットの指輪からは輝きが完全に失われた。
「もう…、戦士じゃない…。」
リーナは落胆してしまう。そんなリーナにマリスの大群が襲い掛かる。
「リーナ!」
ピーターシザーズは慌ててリーナの元に駆け寄り、マリスをリーナに近付けないように攻撃する。
「実…。」
「言ったでしょ、リーナは私が守るって。」
ピーターシザーズはリーナを見つめながらそう言う。その言葉と眼差しからはリーナへの想いが感じられた。
「ありがとうございます、実。」
そしてリーナは決心を固め、ペリドットの指輪を外す。
「桜名美姫!あなたにペリドットの力を託します。」
リーナはそう言ってシンデレーザーに向かってペリドットの指輪を投げる。
「リーナ。」
リーナからペリドットの指輪を受け取ったシンデレーザーはロバーズを睨み付け、指輪を右手の中指に嵌める。
「ギジュ、いやロバーズ!あなたに私の最強の力を見せてあげる!」
シンデレーザーはそう言って本を開く。すると白紙のページに文字が浮かび上がり、空は暗くなって星座が浮かび上がっていた。
「ほうおう座!ペリドット!黄金の鳥!」
シンデレーザーがそう叫ぶと空に浮かび上がったほうおう座の最輝星がペリドットの指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、シンデレーザーの体を包む。やがてシンデレーザーの体は光を放ち、新たな戦士へとその姿を変える。
その戦士は黄金に輝く煌びやかなドレスに背中からは大きな翼が生えていた。
「シンデレーザー・ウイングタイプ!」
その戦士はシンデレーザー・ウイングタイプと名乗り、ロバーズの前に佇む。その姿に皆は戦いながら思わず見蕩れてしまう。
「あれが、美姫さん…?」
「綺麗…。」
「美姫…。」
「姉さんの想いを受け継いだ美姫の真の力、あれがホロテイルジュの最強の力か!」
エメラルディアはウイングタイプとなったシンデレーザーがホロテイルジュの最強の力だと悟っていた。
「金ピカか、もう今のお前はお姫様じゃねぇな!」
ロバーズはそう言ってシンデレーザーに向かって走り出す。しかしシンデレーザーは華麗に避けるように空高く飛び上がる。
「ロバーズ、行くよ!」
シンデレーザーはそう言ってロバーズに向かって急降下する。そしてロバーズを捕まえると、また空高く飛び上がる。
「美姫、お前…。」
「残念だったね、空を飛べなくて。」
シンデレーザーはロバーズに皮肉を言うと全身に力を溜める。
「まあ、こんな至近距離で放つような技じゃないんだけど。」
「お前、本気か…?」
ロバーズは技を放とうとするシンデレーザーの正気を疑う。しかしシンデレーザーはそんな言葉に耳を傾けるはずもなかった。
「ゴールデンバースト!」
シンデレーザーはそう叫んで大きな金色のオーラをロバーズにぶつける。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ロバーズはその攻撃をまともに受けてしまい、吹き飛ばされてしまう。そしてロバーズは真っ直ぐ下に落ちてしまう。
「うさぎ座!」
フルムーンハイヤーはうさぎ座の力でジャンパータイプになる。
「風布花ちゃん!」
「わかりました!」
レッドバイトゥースはフルムーンハイヤーの肩に乗り、レッドバイトゥースを肩車したフルムーンハイヤーはロバーズを目掛けて跳び上がる。
「喰らえ、ウルフパニッシャー!」
レッドバイトゥースはロバーズを左右に開くように鋭い爪で引き裂く。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
更にレッドバイトゥースからの攻撃を受けたロバーズはボロボロになりながら落ち、地面に叩きつけられる。そしてホロテイルジュを苦しめたマリスの大群は一切合切消えてしまう。
「嘘、マリスが消えた…?」
皆はその光景に驚いてしまうが、ボロボロになったロバーズを見て状況を察し、ロバーズの元に集まる。
「観念しろ、ロバーズ。」
エメラルディアは倒れ込むロバーズに向かってそう言い放つ。
「俺がこんなので終わると思うか?ここでお前らを一気に片付けてやる!」
しかしロバーズに諦める様子はなく、尚もホロテイルジュ一同に向かってそう言い放つ。
「何て諦めの悪い野郎だ。」
「自分から美姫さんを振ったくせにね。」
サファイアロードとマーメイデストはロバーズに呆れてしまう。
「どうでもいい。エメラルディア様、ロバーズが人間に戻れるというのならこのまま改心するまで生け捕りにすることも出来ますがいかが致しましょう?」
キルビーレオンはエメラルディアにロバーズの対処を尋ねる。
「そうだなぁ、取り敢えずダークストーリーズの内部事情を吐かせるか。」
エメラルディアはロバーズを生け捕りにすることを決める。しかしそんな時、空が突然闇に覆われたように暗くなる。
「何?」
「何事?」
不気味に思う一同だったが闇から現れたのは巨大な体を誇る怪物、ママーハハだった。皆はそのママーハハの巨体に絶句するのだった。




