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Miracle Force Princess  作者: ロマンス王子
第三章 最終決戦編
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第二十四話 倒さなくちゃいけない時

 何処にでもいるはずの女性、桜名(さくらな)美姫(みき)はホロテイルジュの戦士シンデレーザーとして戦っていた。ダークストーリーズはトップであるママーハハの登場により勢力を増しつつあった。一方の美姫達はホロテイルジュのトップであるエメラルディアとその側近のリーナ・ジーニアスと(みのり)・ファンタジアに会うが、ホロテイルジュとしてダークストーリーズと戦うために今の生活を犠牲にするよう強いられる。その指示に納得出来ない美姫達六人はホロテイルジュを離脱、そして今後のダークストーリーズとの戦いについて悩んでしまう。そんな中、ダークストーリーズの幹部バブルガスも居づらさを感じており、水原(みずはら)夜衣魚(よしみ)鈴木(すずき)林檎(りんご)はそれに同情してしまう。しかしリーナ・ジーニアスが現れバブルガスを容赦なく攻撃する。バブルガスに同情した夜衣魚は思わずバブルガスを庇ってリーナと衝突してしまうのだった。

 バブルガスがパンドラスと共にその場を去っても尚、アラジンザスカイとマーメイデストはぶつかり合っていた。

「夜衣魚、もうバブルガス行っちゃったよ!」

「え、マジ?」

 林檎はなんとか戦いを止めようとマーメイデストに向かって叫ぶ。マーメイデストは驚き、攻撃の手を止める。

「ちょ、ちょっとリーナ!タンマ!」

 マーメイデストはアラジンザスカイの攻撃の手を止めようとするが、アラジンザスカイは聞く耳を持たなかった。

「はぁぁ!」

 アラジンザスカイはレーザー光線を放つ。

「ヤバっ!」

 マーメイデストは慌てて三又の槍でレーザー光線を弾く。しかしアラジンザスカイの攻撃に防戦一方になってしまう。

「流石に私も行かないとまずいか。」

 林檎は防戦一方のマーメイデストを見ていられなくなり、本を開こうとする。しかしマーメイデストとアラジンザスカイの間をアックシトリナーが斧を振るって止める。

「その辺にしてもらえますか?」

 アックシトリナーは金山(かなやま)依斧(いおの)の姿に戻り、アラジンザスカイを睨み付ける。そしてアラジンザスカイとマーメイデストの二人も元の姿に戻る。

「リーナ、ダークストーリーズもいないのにこれ以上の戦闘は無意味です。ここは一旦帰りましょう。」

「そうですね、私も取り乱していました。」

 依斧はリーナを宥め、リーナも落ち着きを取り戻す。そしてリーナはじっと夜衣魚を睨み付ける。

「水原夜衣魚、バブルガスからどんな入れ知恵をされたのか知りませんが敵に情けを掛けるなど戦士失格です。」

「うん、わかってる。」

 リーナは夜衣魚に注意する。それは夜衣魚も自覚していたことだった。そしてリーナは依斧と共に夜衣魚の元を後にする。

「夜衣魚…。」

「ごめんね、林檎。」

 心配しながら歩み寄る林檎に、夜衣魚は寂しそうな顔をしてそう言うのだった。



 パンドラスとバブルガスがダークストーリーズの本拠地に戻ると、カイザードが二体を睨み付けていた。

「全くあなた達は、また何の成果も挙げずにそそくさと帰って何のつもりですか?」

 カイザードは二体を責める。

「あ、あのさカイザード。」

「何ですかバブルガス?」

 言葉を詰まらせながら話し掛けるバブルガスに対し、カイザードは威圧的に答える。

「私達、世界を支配する必要なんてあるのか?」

「何ですって?」

 カイザードはバブルガスの突然の言葉に耳を疑う。

「だって、人間達をシナリオ通りに動かすなんてしなくたって生きることはできるんだよ。それなのに無駄に戦って死んでママーハハ様の肥しにされて、そこまでしてやる意味あるのかなって。」

 バブルガスは世界の支配に対して価値を見出せなくなっていた。しかしカイザードは有無を言わさない勢いで答える。

「我々ダークストーリーズは人間界に住まう者を自らのシナリオ通りに動かす、そのために生まれた存在なのです。今更自分の生まれた意味に疑問を抱くなど、正気ですか?」

「くっ…。」

 カイザードの言葉で、バブルガスは返す言葉を失ってしまう。しかしパンドラスはカイザードに対して怒りを覚え、反論する。

「おいカイザード、ダークストーリーズが何だ。俺達は生まれた時から戦って死ななきゃいけねぇってか?」

「当たり前ですよパンドラス。私達はこの闇の世界に生まれしダークストーリーズの幹部、世界の支配をせずに何をすると言うのですか?」

 カイザードはパンドラスやバブルガスと対照的にダークストーリーズの幹部の使命に何の疑念も抱いていなかった。それまでもがパンドラスとバブルガスにとって居づらい原因になっていた。

「…わかったよカイザード、ダークストーリーズのためにこの身を捧げればいいんだろ?」

 バブルガスは何かを諦めたような表情でそう言い、重い足取りで人間界に行こうとする。

「おいバブルガス、無理なんてしなくていいぞ。」

 パンドラスはバブルガスに優しい言葉を投げ掛け、その足取りを止める。

「ありがとうパンドラス、でも私にはもうどこにも居場所なんてないんだ。」

 バブルガスは寂しげな表情でそう言うと、人間界に赴くのだった。パンドラス達がバブルガスを見送った後、また新たな幹部が現れる。

「あれがダークストーリーズの幹部ですか?カイザードさん。」

「ええそうですよ、かなり腰抜けになったものですね。」

 その幹部はバブルガスを嘲笑うようにカイザードに話し掛ける。その幹部は頭にバンダナを巻いた盗賊の姿をした怪物だった。

「カイザード、誰だよこいつ?」

 パンドラスはその幹部のことを知らなかった。ダークストーリーズの幹部が増えることなど今までなかったので、パンドラスは目を見張った。

「ああ、ご紹介がまだでしたね。彼の名はロバーズ、私達と同じママーハハ様直属の幹部です。」

 カイザードはパンドラスにその幹部をロバーズと紹介する。

「これからよろしくお願いいたしますね、先輩。」

 ロバーズは笑顔でパンドラスに握手を求める。しかしパンドラスはロバーズのどこか自分を見下したような目つきが気に入らず、握手を拒む。

「そうかい、どこの誰だか知らねぇが精々お前らで仲良くするんだな。」

 パンドラスはそう言い残し、カイザードらの元を後にするのだった。



 それから数日後、夜衣魚と林檎は美姫と赤園(あかぞの)風布花(ふうか)にバブルガスのことを話す。

「じゃあ、バブルガスもウルフィンと同じようにママーハハが現れた今のダークストーリーズに居心地の悪さを感じているってことですか?」

「うん、そうみたい。」

 風布花は夜衣魚から受けた話に驚く。

「まあ、ママーハハは私達と戦うために強くなるって言ってたし、あのウルフィンの末路を考えたらいずれバブルガスもパンドラスもママーハハの一部になることは確定だろうからね。」

 林檎も今までのダークストーリーズの動向からバブルガスの末路が見えていた。

「それで夜衣魚ちゃん、バブルガスを庇っちゃったんだ。」

「すみません、美姫さん…。」

 夜衣魚は申し訳なさそうにそう言う。夜衣魚はアラジンザスカイからバブルガスを庇ったことを少し後悔していた。

「でも夜衣魚ちゃん、気持ちはわかるよ。」

 美姫は夜衣魚の気持ちを汲み取り、優しい言葉を掛ける。

「ありがとうございます、美姫さん。」

 夜衣魚は美姫の言葉に嬉しくなる。

「それじゃあ美姫さん、私と夜衣魚はこれで失礼します。」

 林檎はそう言って夜衣魚と共に美姫達と別れる。

「それじゃあ風布花ちゃん、私達はどこに行こうか。」

 美姫は二人きりになった風布花にどこに行くか尋ねる。すると風布花は言葉を詰まらせながら答える。

「え、えっと私は洋館に行きたいです。」

「洋館に?」

 美姫は風布花の言葉に軽く驚いてしまう。美姫達はエメラルディアに反抗してホロテイルジュを離脱して以来、洋館には一度も行っていなかった。

「まだ洋館の書庫で読んでいない本があるので。」

「そっか、じゃあ行こうか。」

 美姫は風布花の気持ちを汲み取り、二人で洋館に行くことにする。



「うわ~、久々~。」

 洋館を訪れた美姫は、久し振りに見る光景に懐かしさを感じていた。

「書庫も久し振りですね。」

 風布花も久し振りに見る書庫に嬉しくなる。そして風布花はまだ読んでいない本を手に取り、読み始める。

「でも、私達ホロテイルジュを抜けたのに大丈夫かな?」

 美姫はふと自分達の立場を考え、少し不安を感じる。

「大丈夫ですよ美姫さん。あの人達はあの変な空間のお城にいるでしょうし、どうせ洋館になんて来ませんよ。」

 風布花は気にしない様子で少し毒づきながら美姫にそう答える。

「そうかな…?」

 美姫は真顔で毒づく風布花に少し苦笑いする。

「そうですよ美姫さん、だから今は二人きりです。」

 風布花はそう言いながら美姫を椅子に座らせる。

「風布花ちゃん…?」

 美姫は風布花の様子に違和感を感じる。そして風布花はうっとりした表情を浮かべながら美姫の頬を両手で挟む。

「私、やっぱり美姫さんのことが…。」

「風布花ちゃん…。」

 そしてそのまま二人は唇を近付け合う。しかしその瞬間、扉を開く音が聞こえる。

「誰かいるのですか?」

 そう言いながらリーナが書庫に入る。美姫と風布花は慌てて互いに離れる。

「あ、リーナ…。」

「リーナさん…。」

 美姫と風布花はリーナを前にして気まずくなってしまう。そしてリーナの表情には怒りが籠っていた。

「何をやっているのですかあなた達は!」

 リーナの荒げた声が書庫に広がっていた。



 一方その頃、夜衣魚と林檎は共に街中を歩いていた。林檎は夜衣魚にふと尋ねる。

「夜衣魚、次にバブルガスと会ったらどうするの?」

「そうだよね…、別にバブルガスがこのまま改心して人間界に住む訳でもないしね…。」

 夜衣魚はバブルガスを倒すことに未だ迷っていた。

「やっぱり、バブルガスが何をしたいのかわからないと…。」

「そうだよね、これでもしバブルガスが悪いことを考えていたら敵だしね。」

 そんな会話を交わしながら歩いていると、二人はパフェを食べている双見(ふたみ)アラモードと三浦(みうら)竹月(たかつき)を見つける。

「あ、夜衣魚さんに林檎さん。」

 竹月は爽やかな笑顔で話し掛ける。

「アラモード、竹月ちゃん。」

「いいところで会ってくれた!」

 夜衣魚は悩んでいるところに遭遇したアラモードと竹月を嬉しく感じていた。



 一方その頃、リーナは美姫と風布花を睨み付けていた。

「全く、ホロテイルジュから離れた身であるあなた達が何故ホロテイルジュの基地であるこの洋館で不埒な悪行三昧を働いているのですか?」

「誤解だって…。別に悪行三昧ってほどじゃないし。」

 美姫はリーナに弁解しようとするが、リーナが言っていることは強ち間違ってもいないため口ごもってしまう。

「それでは赤園風布花、あなたは桜名美姫に何をしようとしていたのですか?」

 リーナは風布花を睨み付け、問い掛ける。

「わ、私はただ、美姫さんにキスを…。」

 風布花が弁解を言い終わる前に美姫は慌てて風布花の口を塞ぐ。

「風布花ちゃん、ここはあまり本当のことを言うところじゃないからね。」

 しかし時は既に遅く、リーナは全てを悟ってしまう。

「やはりそうでしたか。この神聖なる場で不純同性交遊など汚らわしい、あなた達のような戦いと無縁の日常を送っている者が私は一番嫌いなのです。今すぐ出て行きなさい。」

 リーナは鋭い目つきでそう言う。しかし美姫は一つ気になることがあった。

「リーナには日常がないの?ずっとホロテイルジュにいたの?」

 美姫はそうリーナに尋ねる。美姫が気になっていたことはリーナ、そして(みのり)・ファンタジアがエメラルディアの元にいつもいることだった。リーナと(みのり)にも家族などがいるのではないかと感じていた。美姫に尋ねられたリーナは、急に怒りが治まったかのような真顔になる。

「私はずっとエメラルディア様の元にいました。そしてこれからもエメラルディア様と共にいます。」

 リーナはそう言い残し、書庫を後にする。

 リーナはエメラルディアの元に戻ろうと、エメラルディアの元にいる空間に繋がる扉を開けようとする。すると、リーナが開けようとする前に扉が開き桃井剣二が現れる。

「リーナか。」

「桃井剣二、あなたですか。」

 剣二はリーナの少しムスッとした表情が気になっていた。

「どうかしたのか?」

「離脱した彼女らは、やはり戦士には相応しくないと思っただけです。」

 リーナはそう言い残し、剣二と入れ替わるように空間へと入って行くのだった。

「何だあいつ?」

 剣二はリーナの様子が少し気になっていた。

 剣二は書庫の扉が開いているのを見つけ、中を覗き美姫と風布花がいることに気付く。

「美姫、風布花、お前らここで何をやっているんだ?」

「あ、桃井。」

「剣二さん。」

 剣二は書庫に入り、美姫と風布花の元に歩み寄る。

「リーナが言っていたぞ、お前らは戦士に相応しくないって。リーナに何か言ったのか?」

 リーナの様子が気になっていた剣二は美姫と風布花に尋ねる。

「別に何も言ってないよ。ただちょっとトラブったっていうか…。」

 美姫は誤魔化すように剣二に答える。

「そうか。まあ別に首を突っ込むつもりはない、面倒だしな。」

 剣二はそう言って書庫の本を手に取る。美姫はふと剣二に話し掛ける。

「ねぇ桃井。」

「何だ?」

「リーナ、それと(みのり)って家族とかいないのかな?」

 美姫はリーナと(みのり)のことについて尋ねる。すると剣二は深刻な表情を見せる。

「…あいつらのことか。」

「何かあるの?」

 美姫は剣二の態度が変わったことを気に掛ける。そしてそんな中、剣二はゆっくりと語り出す。

「リーナは生後間もなくしてダークストーリーズの襲撃に遭い、両親を殺されたらしい。」

「嘘⁉」

「そんなことがあったんですか⁉」

 美姫と風布花はリーナの事実に驚いてしまう。

「ああ。そしてリーナはエメラルディアに助けられ、今に至るらしい。」

 剣二の話を聞き、美姫と風布花はリーナが戦うことに固執していた理由を理解する。そして剣二は更に(みのり)についても語り出す。

(みのり)も同じ境遇だ。あいつも五年前にダークストーリーズの襲撃を受け、両親を殺されている。その時の衝撃でそれまでの記憶を無くしている。」

(みのり)さんも…。」

「そうなんだ…。」

 美姫と風布花は(みのり)についても同情していた。

「エメラルディア様が仰っていた、いつかホロテイルジュの全ての力を結集させなければならない時が来ると。俺は美姫達がいざという時に戦いを放棄する奴らじゃないとは言った。だがやはりリーナや(みのり)を見ていると感じるな、根本的にお前らとは相容れないと。」

 剣二はホロテイルジュの皆が揃うには難があることを感じていた。そして美姫もそれに同意せざるを得なかった。



「バブルガスを倒すかどうか?」

 アラモードはパフェを食べながら夜衣魚の話を聞いていた。

「そうなの。バブルガスは今のダークストーリーズに疑問を抱いている。だからといって組織の意向に従わない決断をするのかどうかもわからないし、世界を支配したいって気持ち自体はあるから結局敵対することになる可能性もあるだろうしね。」

 夜衣魚はバブルガスの気持ちがわからず、倒すかどうか迷っていた。

「もしもバブルガスが改心したとしても、この世界に溶け込んで生活ができるかどうかもわかりませんしね…。」

 竹月もバブルガスのことを心配していた。

「私としては、ウルフィンがママーハハに吸収されたみたいにバブルガスも奴らに狙われると思うんだよね。」

 林檎はバブルガスがダークストーリーズから逃げる生活を強いられると予測する。

「じゃあ、ずっとバブルガスを匿うこともできないよね…。」

 夜衣魚はバブルガスを助けることのリスクを感じる。そうして夜衣魚が迷う中、アラモードが割って入るように話し出す。

「夜衣魚、悩み過ぎじゃない?バブルガスはダークストーリーズとしてこの世界を侵攻してきた怪物なんだよ、今更そんな助けるとか匿うとか考えなくてもいいと思うけどな。」

「アラモード…。」

 アラモードはバブルガスを倒すべきだと主張する。アラモードの考え方は冷静ではあるが冷徹とも言えるものだった。しかしそれは戦士として理にかなっているものだった。

「夜衣魚、残念ながら私も同意見だよ。多分バブルガスは夜衣魚に恩を売られても何もしないと思う。」

 林檎も夜衣魚にバブルガスを倒すべきだと主張する。そして夜衣魚も決意を固めつつあった。

「そうだよね、どこまでいってもダークストーリーズは私達の敵なんだし。」

 そんな時、突然街の人達が大きな泡の玉に閉じ込められる。

「きゃあ!」

「何これ?」

「ここから出してくれ!」

 街の人達は混乱に陥ってしまう。

「これって、バブルガスがやったこと?」

 夜衣魚は目の前に怒っている現象からバブルガスの仕業だと感じる。そして夜衣魚達の前にバブルガスが三体のマリスと共に現れる。

「やっぱりそこにいたんだねぇ、ホロテイルジュ。」

「バブルガス、あんたこそやっぱりダークストーリーズのために働くことを選んだんだね。」

 バブルガスと林檎は言葉を交わす。

「夜衣魚、これでやることは決まったね。」

「うん…。」

 夜衣魚は少し元気のない返事をする。夜衣魚は少しでもバブルガスに改心して欲しいという気持ちがあったからだ。しかし夜衣魚はなんとか迷いを吹っ切る。

「行くよ、みんな!」

 夜衣魚の合図で夜衣魚、アラモード、林檎、竹月の四人は一斉に本を開く。

「うお座!アクアマリン!人魚姫!」

「ふたご座!オパール!ヘンゼルとグレーテル!」

「さそり座!アメジスト!白雪姫!」

「おひつじ座!ガーネット!かぐや姫!」

 四人はそう叫んでそれぞれ戦士の姿へとその姿を変える。

「マーメイデスト!」

「ツインスウィーテス!」

「ポイズノーム!」

「フルムーンハイヤー!」

 四人はそれぞれ名乗る。

「みんな、バブルガスは私に任せて。」

 マーメイデストは他の三人にそう言う。それは決意の籠った言葉だった。

「わかった。」

 ポイズノームはそう答え、マーメイデスト以外の三人はマリスに立ち向かう。

「バブルガス、私が相手だよ!」

「そうかい、それじゃあ思う存分暴れようかねぇ。」

 マーメイデストとバブルガスはそう言葉を交わし、互いに睨み合う。

「「はぁぁ!」」

 そして二人はぶつかり合うのだった。



「ダークストーリーズが現れたか。」

 剣二は洋館でダークストーリーズの出現を察知する。

「剣二さん、私と一緒に行きましょう。」

「わかった、風布花。」

 剣二と風布花は共に洋館を出ようとする。

「美姫、お前はどうする?」

 剣二はそう美姫に尋ねる。しかし美姫は戦いに行こうとはしなかった。

「私、リーナと話に行く。少しでもわかり合いたいし。」

 美姫はそう言ってエメラルディアやリーナのいる空間に繋がる扉のところに行く。そして剣二と風布花は洋館を出てバブルガスが暴れるところに赴くのだった。



 剣二と風布花はマーメイデスト達が戦っているところに到着する。

「みんな!」

「すぐに助太刀します!」

 剣二と風布花はそう言って本を開く。

「しし座!ルビー!桃太郎!」

「やぎ座!パール!赤ずきんちゃん!」

 二人はそう叫んでそれぞれキルビーレオンとレッドバイトゥースになり、マリスに立ち向かう。

「バブルガス、生きたいんじゃないの?こんなことをしても無駄だってわかってるはずでしょ!」

 マーメイデストは戦いながらバブルガスに言い聞かせる。

「うるさい!私は疑問を持つことさえ許されないんだ、あんた達と違ってダークストーリーズは生まれた時から世界の支配を使命づけられているんだ!」

 しかしバブルガスは自身のダークストーリーズとしての宿命に行き場のない憤りを感じ、マーメイデストの説得さえ通じなかった。

「わかった、あんたが宿命に抗おうとしないのなら私が引導を渡す!」

 マーメイデストは完全に決意を固め、バブルガスに向かって叫ぶ。

「ポイズンストラングル!」

「秘剣・桃の舞!」

 ポイズノームとキルビーレオンの同時攻撃が決まり、三体のマリスは消滅する。泡の玉に閉じ込められた人達は無事に解放され、そして残りの敵はバブルガスのみとなっていた。

「夜衣魚さん!」

 レッドバイトゥースはマーメイデストを心配し、助けに行こうとする。しかしそれをポイズノームが止める。

「風布花ちゃん、ここは夜衣魚に任せよう。」

「そんな…。」

 レッドバイトゥースは歯痒さを感じてしまう。そしてマーメイデストの勝利を真珠の指輪に祈る。

「いつか、みんなが自分の使命に苦しまない自由な世界に…。」

 レッドバイトゥースがそう祈ると、突然レッドバイトゥースの真珠の指輪が光り出す。

「これは…?」

 そしてポイズノームのアメジストの指輪、ツインスウィーテスのオパールの指輪、フルムーンハイヤーのガーネットの指輪が光り出していた。

「私達の思いが、一つになったということ…?」

 ポイズノームは光る指輪を見てそう感じる。

「また新たな力を引き出せるかも知れない。みんな、指輪を高く挙げるんだ!」

 キルビーレオンは皆にそう言う。そしてポイズノーム、ツインスウィーテス、フルムーンハイヤー、レッドバイトゥースの四人は空高く左手を挙げる。すると空が暗くなり、くじら座が現れる。

「あの星座知ってる、確かくじら座!」

 マーメイデストは空に浮かぶくじら座を見つける。

「まさか、また新しい力かい⁉」

 バブルガスもその現象に驚いていた。そしてくじら座の最輝星が光を放ち、マーメイデストのしているアクアマリンの指輪に届く。そしてマーメイデストの体が光を放ち、新たな姿になる。

 その戦士は鯨を模したような大きく(きら)びやかなドレスを身に纏っていた。

「マーメイデスト・スプラッシュタイプ!」

 その戦士はマーメイデスト・スプラッシュタイプと名乗る。

「オーシャンスプラッシュ!」

 マーメイデストは大きな津波を起こし、バブルガスに浴びせる。

「うわぁぁ!」

 バブルガスは津波によって勢いよく飛ばされる。そしてマーメイデストは間髪入れずに三又の槍を召喚し、バブルガスに攻撃を打ち込む。

「トライデントスプラッシュ!」

 三又の槍の先から水飛沫を出すマーメイデスト。バブルガスはその強さに圧倒されてしまう。

「くっ…、こんなところで…!」

 バブルガスはマーメイデストの強い攻撃に悔しさを感じていた。それは自身にも死期が訪れていることを予知していたようだったからだ。

「行っけ~夜衣魚!」

 ポイズノームの叫びで、マーメイデストは腰を落として構える。そして勢いよく跳び上がり、拳を突き出す。

「スプラッシュパ~ンチ!」

 マーメイデストはバブルガスに止めの拳を浴びせる、かと思われたがマーメイデストは寸前のところで踏み止まってしまう。

「うっ…。」

「何やってるの夜衣魚?さっさと止めを刺して!」

 ポイズノームがマーメイデストを急かすが、マーメイデストは止めを刺せずにいた。

「ごめん、やっぱりちょっと無理かも…。」

 マーメイデストはバブルガスへの同情の念を捨てきれなかった。

「見逃すってのかい?こんな怪物を。」

 バブルガスはマーメイデストに問い掛ける。

「そんな訳ないじゃん!でも、まだ倒す決心が決まり切ってなくて…。」

 マーメイデストがバブルガスを倒すことを躊躇する中、バブルガスの後ろから拍手音が鳴り響く。

「よく働いてくれましたよバブルガス先輩。」

 そう言いながら近づいて来たのはダークストーリーズの新たな幹部ロバーズだった。

「誰だいあんた⁉」

 バブルガスは初めて見るロバーズの姿に驚く。

「申し遅れました。私はママーハハ様直属の幹部、ロバーズと申します。」

 驚くバブルガスに、ロバーズは平然な態度で自己紹介をする。そしてロバーズは更に話を続ける。

「ホロテイルジュの一人がまた新たな力を引き出した時点であなたは用済みだとママーハハ様からのお達しです。今までお疲れ様でした。」

 ロバーズはそう言って懐からナイフを取り出す。

「そんな、まさか…!」

 背筋が凍えるバブルガスの胸を、ロバーズはナイフで一突きする。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 声を()らす程の断末魔と共に、バブルガスは消滅してしまう。

「そんな、バブルガスが…。」

 マーメイデストはその光景に目を見張る。それは他の皆も同じだった。

「何者だ貴様!」

 キルビーレオンはロバーズに叫ぶように問い掛ける。

「いずれ戦うことになるでしょう、ダークストーリーズの誇りに掛けて。」

 ロバーズはそう言ってマーメイデストの元を後にする。皆はロバーズの背中に恐ろしさを感じるのだった。



 一方、美姫はリーナと話し合おうと再びエメラルディアのいる城を訪れていた。そんな美姫を浦賀(うらが)輝弓(きゆみ)が出迎える。

「美姫さん?どうしてこんなところに。」

「ちょっと、リーナと話がしたくてね。それで、リーナはどこ?」

 驚く輝弓に、美姫はリーナの居所を尋ねる。

「リーナは(みのり)の部屋で(みのり)と一緒にいるよ。」

 輝弓はそう答え、美姫を(みのり)の部屋まで案内する。

(みのり)の部屋はここです、美姫さん。」

「ありがとう、輝弓君。」

 美姫がそう言うと、輝弓は美姫の元を後にする。そして美姫は、リーナと話し合ってホロテイルジュとして少しでもわかり合おうと意気込むのだった。

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