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Miracle Force Princess  作者: ロマンス王子
第三章 最終決戦編
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第二十一話 世界を守る代償

 何処にでもいるはずの女性、桜名美姫はホロテイルジュの戦士シンデレーザーとして戦っていた。ダークストーリーズのトップであるママーハハが現れたことでホロテイルジュの皆の心に警戒心が生まれる。そんな中、美姫は自身の祖母である琴姫(ことひめ)がホロテイルジュの創設者である事実を知り、今まで隠していた桃井剣二を責める。しかし剣二が自ら謝ったことで和解、未だ姿を見せないホロテイルジュの残り三人に会うことを決める。そして美姫達を呼ぶ男性の声が聞こえ、皆は厳しい道中を潜り抜け遂に残り三人への謁見を果たすのであった。

 桜名(さくらな)美姫(みき)桃井(ももい)剣二(けんじ)浦賀(うらが)輝弓(きゆみ)金山(かなやま)依斧(いおの)水原(みずはら)夜衣魚(よしみ)双見(ふたみ)アラモード、鈴木(すずき)林檎(りんご)三浦(みうら)竹月(たかつき)赤園(あかぞの)風布花(ふうか)の九人はホロテイルジュの残り三人と思われる一人の男性と二人の女性の前に並び立っていた。

「それでは、ホロテイルジュの集会を始めます。」

 褐色肌の女性はその場を取り仕切るように言う。

「集会なんだ…。」

 美姫はこれがホロテイルジュの集会であるということに唖然としてしまう。そして褐色肌の女性は話を続ける。

「こちらにいらっしゃるお方はエメラルドの戦士、エメラルディア様です。」

 褐色肌の女性は横に座っている四十代半ばくらいの風貌の男性を紹介する。その男性はエメラルディアと言うようだ。

「そして私はリーナ・ジーニアスと申します。」

「じ、ジーニアス…。」

 褐色肌の女性は自身の名をリーナ・ジーニアスと名乗る。美姫はジーニアスという苗字が気になっていた。そしてもう一人の女性も自己紹介をする。

「私は(みのり)・ファンタジア、宜しくね。」

 その女性は(みのり)・ファンタジアと名乗る。しかし美姫は(みのり)の言葉遣いが気になっていた。

「ちょっと、初対面なのに馴れ馴れしいんじゃないですか?」

 美姫は抗議するが、(みのり)は聞く耳を持たなかった。

「何言ってるの?あんた達は下っ端の戦士なんだから敬語とか使う必要ないじゃん。」

 (みのり)は美姫達を下に見ていた。その言葉に腹を立てる美姫。

「あなたね、ホロテイルジュじゃ先輩かも知れないけど社会に出たら私の方が先輩なんだからね…!」

 美姫はそう言って(みのり)に迫ろうとするが、夜衣魚と林檎が引き留める。

「美姫さん、ここで反論しても話が前に進まないだけですから。」

「ここはこらえましょ。」

 二人が(なだ)めたことで、美姫は(ようや)く落ち着く。

(みのり)、あなたも敬意を払いなさい。この方達は同じホロテイルジュの戦士なのですよ。」

「わかったよリーナ。」

 リーナも(みのり)を咎める。(みのり)もリーナには頭が上がらないようで、素直に言うことを聞く。そしてリーナは美姫達に視線を運ぶ。

「それでは女性の方々はお初にお目にかかるので、それぞれお名前をお願い致します。」

「あ、はい。」

 美姫達はリーナに言われるがまま順番に名乗る。

「桜名美姫です。」

「水原夜衣魚です。」

「双見アラモードで~す。」

「鈴木林檎です。」

「三浦竹月と申します。」

「あ、赤園風布花です。」

 美姫達が名乗り終えると、(みのり)は吟味するように美姫達の前を横切る。

「ふ~ん。」

 そして(みのり)は風布花の前に行くと腰を落として風布花に視線を合わせる。

「こんな小さい子も戦ってたんだ。」

 (みのり)はそう言いながら風布花の頭に手を乗せる。そして立ち上がると、美姫達を見下すように言う。

「男はなんとなく戦士としての風格があったけど、女は本当にそこら辺の人って感じだね。」

 (みのり)の言葉には流石に美姫だけでなく夜衣魚や林檎も怒りを覚えていた。

(みのり)、その人達は複数の星座や童話の力を引き出した人達なのですよ。口を慎みなさい。」

「は~い。」

 リーナがまた咎めるが、(みのり)はまるで反省していないかのような軽い口調で答える。

「何なのあの子?」

「うん、流石に私も少し気になってた。」

 夜衣魚と林檎はひそひそと(みのり)について話す。そして女性陣が険悪な雰囲気になる中、エメラルディアという男性は本題を話し始める。

「今回お前達を呼んだのは他でもない。ダークストーリーズのトップであるママーハハが現れ、更にはカイザードという手強い幹部まで現れた。しかしお前達は宝石の数だけ人数を揃え、更には多くの者が複数の星座や童話の能力を引き出した。今、我らホロテイルジュはダークストーリーズを倒す絶好の機会にある。」

 エメラルディアは真剣な眼差しでそう言い、続けてある提案をする。

「このままダークストーリーズを倒すために、ホロテイルジュの組織力を高める必要がある。」

「組織力、ですか?」

 意気揚々と話すエメラルディアに、剣二は唖然としながら尋ねる。皆はその組織力という言葉が引っ掛かっていた。そしてその問いに、リーナが答える。

「私達ホロテイルジュの十二人はこれから寝食を共にし、いつ如何なる時でもダークストーリーズの出現に対応できる、より軍事的な組織にするということです。」

 リーナの説明に、皆は目を丸くする。つまりエメラルディアは、ホロテイルジュを軍事組織のようにするつもりだった。

「ちょっと待って下さい!私達の生活はどうなるんですか?」

 美姫は慌ててエメラルディアに尋ねる。

「正義の味方たるもの全ての悪を駆逐しなければならない。そのためには自らの犠牲をも辞さない、それが俺の考えだ。」

 エメラルディアの言葉に、賛同できる者はいなかった。

「そんな、私達は普段の生活と両立させながらダークストーリーズと戦って来たんです!」

「こんな報酬も出ない組織に生活を犠牲にすることなんてできません!」

 夜衣魚と林檎もエメラルディアに抗議する。しかしエメラルディアは呆れた様子だった。

「はぁ…、甘いな。」

「え?」

 溜め息を吐きながら言うエメラルディアの言葉に、皆は首を傾げる。

「そんな甘いことを言っているから今までダークストーリーズを倒せていないんだ。そんなことを言って志半ばで挫折した戦士を俺は何人も見て来た。もう一度言う、ダークストーリーズを倒すためにその身を組織に捧げろ。」

 エメラルディアは念を押すように言うが、それでも美姫達は賛同出来なかった。

「…無理です、そこまで言うのなら私はホロテイルジュを抜けます!」

 美姫はそう言って部屋から飛び出す。

「ま、待って下さい美姫さん!」

 風布花は美姫の後を追いかけるように部屋を飛び出す。

「私も、元々戦うことが好きじゃなかったので失礼します。」

 夜衣魚も珍しく真顔でそう言い放ち、部屋を出る。

「それじゃあ私も、何かパフェも規制されそうだし。」

「それなら私もお供いたします、アラモードさん。」

 アラモードと竹月も一緒に部屋を出る。残った林檎は真剣な眼差しでエメラルディアに問い掛ける。

「あの、何で今まで私達の前に姿を現わさなかったんですか?私達はダークストーリーズに厳しい戦いを強いられたこともあったのに。」

 林檎の問いに、エメラルディアは沈黙していた。

「…失礼ですけど、不条理だと思います。私達はよくわからない力を手探りで使いながら戦って来たんです。あなた達の助言をどれだけ渇望したことか。それなのに組織力を語られても納得出来ません。私もホロテイルジュを抜けます。」

 林檎もそう言って部屋を出る。そして部屋には剣二、輝弓、依斧、リーナ、(みのり)、エメラルディアのみとなった。

「剣二、遂にヤバいことになっちゃったね。」

「剣二さん、俺はこれから十二人で戦えると思っていました。」

「ああ、これはある意味でホロテイルジュ最大の危機かも知れない。」

 剣二、輝弓、依斧の三人はこの事態に絶望を感じていた。そして剣二はエメラルディアの方を振り向く。

「エメラルディア様、本気で考えていらっしゃるのですか?」

 剣二はエメラルディアに尋ねる。

「当たり前だ、俺は今までお前達が力を付けるまで待ったんだからな。ホロテイルジュを最高の組織にするために。」

 エメラルディアはそう答える。エメラルディアはホロテイルジュの組織力に拘っているようだった。

「はぁ~!あの人達ホンット信じられない!エメラルディア様に従えば間違いないのに、エメラルディア様こそが至高なのに~!」

 (みのり)はエメラルディアに盾ついて抜け出した美姫達の不満を叫ぶ。エメラルディアはふと剣二に尋ねる。

「ところで、ダイヤモンドの指輪を持っているのは誰だ?」

「はい、一番先に出て行った桜名美姫です。」

 剣二からダイヤモンドの指輪を持っているのが美姫だと聞いたエメラルディアはふと遠い目をする。

「そうか、あいつが例の切り札か。」

「切り札?」

 エメラルディアは美姫のことを切り札と言う。剣二達はその言葉が引っ掛かってしまう。

「おい依斧、聞いたか?」

「ああ、美姫さんの秘密に近付けるかも知れない。」

 輝弓と依斧はひそひそと話をする。剣二も聞き逃すまいとエメラルディアに尋ねる。

「あの、その話詳しく聞かせて頂けませんか?」

「ああ、いいだろう。」

 エメラルディアはゆっくりと語り出す。剣二達三人は緊張を覚えながら固唾を飲んで聴くのだった。



 美姫達は城を出たはいい物の、あることに気が付いて前に進めずにいた。

「これ、どうやって出るんだろう…。」

 美姫達が通って来た光の穴は既に消えており、皆は帰り道がわからずにいた。

「もしかして私達、ここから出られないんですかね…。」

 夜衣魚は思わず弱音を吐いてしまう。

「あの人が私達を無理矢理従わせようとしている可能性もあるしね…。」

 林檎もエメラルディアの思惑を推測する。そして美姫達六人はその場から動けずにいた。そんな時、しゃがみ込んでいたアラモードがあるものを見つける。

「あれ、あそこ。」

 そう言ってアラモードが指を差した方を向くと、そこには光の穴があった。

「あ、帰れるじゃん。」

 皆は取り敢えずこの空間を抜け出して変えることが出来ることに安心するが、すぐにまた警戒する。

「いや、また変な怪物が現れるかも。」

 美姫はこの場所に辿り着くまでに遭った酷い事態再び遭遇することを考えていた。

「よし、みんなで手を繋いで行こう。」

 美姫は皆で手を繋いで通ることを提案する。皆も賛同し、六人で手を繋ぐ。

「それじゃあ行くよ、せ~のっ!」

 美姫の掛け声で皆は光の穴を通る。すると皆は最初の扉の前に着いていた。

「あ、普通に着くんだ…。」

 皆は帰り道があっさりしていることに唖然としてしまう。とにかく皆は洋館に戻り、解散するのだった。



 一方、剣二達はエメラルディアからある秘密を聞いていた。

「まあ、ざっとそんなところだ。」

「驚きました、まさかそんな秘密があったとは。」

 剣二達三人はエメラルディアから聞いた秘密に驚いていた。

「やはり美姫さんがダークストーリーズを倒すための鍵になるかも知れないんですね。」

 依斧はエメラルディアの話から、美姫がダークストーリーズを倒すための鍵になることを改めて感じる。

「でもエメラルディア様~、あいつ組織抜けるって言ってたんだから意味ないじゃないですか~。」

 しかし(みのり)は、美姫がホロテイルジュを抜けると言っている以上は意味のない話だと感じていた。

「それでは彼女らから指輪と本を回収し、次の戦士を探しますか?」

 そしてリーナはエメラルディアにそう尋ねる。その言葉を受け、エメラルディアは少し考える。エメラルディアは美姫を組織から手離すことを躊躇っていた。

「いや、今は揃ったメンバーをまた組織に引き入れることが先決だ。」

「承知致しました。」

 リーナはそう言って部屋を後にし、美姫達の元に行く。リーナが部屋を出た後、剣二はエメラルディアに話し掛ける。

「エメラルディア様。」

「何だ?」

「あいつらをそんなに束縛しなくてもいいのではないですか?」

 剣二自身も美姫達を組織で縛ることに必要性は感じていなかった。

「何故だ?」

 エメラルディアは剣二に尋ねる。

「…少なくとも美姫は、自分に出来ることを放棄するような奴じゃないからです。」

 剣二はそう答える。エメラルディアは、まだその言葉の意味が理解出来ていなかった。



 人間界と表裏一体の世界にあるダークストーリーズのお城では、パンドラスとバブルガス、そしてカイザードがいた。

「パンドラス、あなたは侵攻をしないのですか?」

 カイザードは最近人間界の侵攻をしないパンドラスが気になっていた。パンドラスに尋ねるが、パンドラスは答えようとしない。

「…だんまりを決め込んでいる、といったところでしょうか?」

「…うるせぇ。」

 カイザードの言葉はパンドラスにとって耳の痛い話だった。

「その辺にしなよカイザード。」

 パンドラスを責めるカイザードを、バブルガスが止める。

「あなたもですか。全く、いつからこの組織はそんな消極的になったのですか。」

 カイザードはパンドラスとバブルガスに呆れてしまう。この二体はママーハハが現れて以来、人間界を侵攻することに抵抗を感じていた。

「パンドラス、バブルガス。あなた達は組織への忠誠心が欠如しています。今のホロテイルジュ、特にシンデレーザーを恐れる気持ちもわかりますが今はママーハハ様のために侵攻を進めるのが先決でしょう。」

 カイザードの言葉はダークストーリーズとしてママーハハへの忠誠を求めるものだった。パンドラスはその言葉に癇癪を起こしてカイザードの胸ぐらを掴む。

「勝手なこと言ってんじゃねーぞ!」

 パンドラスの目は今までに見せたことのない怒りの感情に身を任せている目だった。

「ウルフィンはママーハハ様に体ごと吸収された、他の奴らもそうに違いない。俺はなぁ、ただ生きたいだけなんだよ!組織に忠誠を誓って死ぬのなんかごめんだね!」

 パンドラスの言葉はただ生きたいという欲望が籠った言葉だった。それはバブルガスの胸にも響く。しかしカイザードには何も響かなかった。

「ママーハハ様は時が訪れれば必ずホロテイルジュと対峙し、決着をつけます。我々の悲願の達成のためにも、まずはママーハハ様が力を付けやすくするための侵攻を行うべきです。」

「ちっ。」

 パンドラスはカイザードに諭され、仕方がなく人間界へ赴くのだった。



 翌日、美姫はいつものように会社で淡々と仕事をこなしていた。しかし美姫はエメラルディア達のことが気になっていた。

「はぁ~、結局お祖母ちゃんのことも聞きそびれちゃったし、ホロテイルジュも抜けちゃうしで散々だなぁ…。」

 美姫は過酷な道のりを経てエメラルディアに謁見しながらも、組織のために生活を犠牲にすることを求められてしまったためホロテイルジュを抜けてしまったことが心残りだった。

「まあまだ指輪と本は持ってるし、戦うことは出来るか…。」

 美姫は未だに指輪と本を肌身離さず持っていた。一応ダークストーリーズと遭遇した時のためを思っていたからだ。

「まぁいいか、半分一般人に戻ったってことで。」

 美姫は取り敢えずホロテイルジュのことを忘れて仕事に打ち込む。そんな時、職場の人が美姫に話し掛ける。

「美姫さん、美姫さんに用があるという方がお見えになっているのですが。」

「私に?誰だろう…。」

 美姫は自身を尋ねて来る人に心当たりがないため、首を傾げてしまうが取り敢えずその人を通すことにする。

「ここがあなたの職場ですか、桜名美姫。」

「…え?」

 美姫を尋ねて来た人はリーナ・ジーニアスだった。美姫は突然現れたリーナの姿に唖然としてしまう。

「ちょっと、何で来てんの?ていうか何で私の職場がわかったの?」

「あなたの居場所は本を通じてわかります。お忘れですか?」

「あ。」

 美姫は本を持っている以上ホロテイルジュのメンバーに居場所がわかってしまうことを忘れていた。そしてリーナは美姫の職場の上司に歩み寄る。

「あなたが上司というものに当たる人ですね?」

「あ、ああ。確かに桜名の上司だが。」

 美姫の上司はリーナの態度に戸惑うが、取り敢えず対応をする。するとリーナは懐から辞表と書かれた封筒を出し、上司の前に置く。

「桜名美姫は本日付けでこの会社を辞めます。あとのことは私にお任せを。」

「何⁉」

 突然の辞表に美姫の上司は驚いてしまう。そして勿論美姫も驚いていた。

「ちょっと!私は会社を辞めるつもりなんてないから!」

「エメラルディア様はあなたが必要だと仰っていました。これが一番効率的にあなたを連れ戻す方法だと思ったので。」

「は⁉」

 美姫は慌てて辞表を取り上げるが、リーナは淡々と話をする。

「桜名、取り敢えずそいつと話をつけてこい。」

「はい!」

 美姫は上司にそう言われて、リーナを無理矢理屋上に連れて行く。



 一方、パンドラスは人間界に降り立ちとある犯罪集団の本拠地を訪れていた。そこでパンドラスは強面の団長と思われる男性に詰め寄り、首を掴む。

「お前、何の真似だ?私はここいらじゃその名を轟かす犯罪集団の団長だぞ。」

 団長はパンドラスに自身の恐ろしさを説く。しかしパンドラスにはその言葉が全く響かなかった。

「人間の尺度で物を語ってんじゃねーぞ、俺は見ての通りの怪物だ。いいからお前らの悪意を寄越せ。」

 パンドラスはいつになく鬼気迫る表情で団長を脅す。そしてパンドラスは犯罪集団の悪意を無理矢理引き出し、三体のマリスを産み出す。

「このくらいの奴らを暴れさせれば今日のところはいいだろう。」

 パンドラスはそう言ってマリスを連れてその場を後にする。パンドラスは侵攻の形だけ見繕えばいいという考えだった。



 美姫はリーナを屋上に連れて行き、二人きりになっていた。

「もう、びっくりした。一体何のつもり?」

「先ほども申したようにあなたを再びエメラルディア様の元に連れて行き、組織のために動いてもらおうとしたまでです。」

 美姫はリーナに尋ねるが、美姫のテンションとは裏腹にリーナは淡々としていた。美姫はリーナに呆れてしまい、漸く落ち着く。

「そう、まあいいや。とにかく私は今の仕事を辞める気もないし、ホロテイルジュに尽くすつもりもないから帰って。」

 美姫はそう言ってリーナを冷たく突き放し、帰らせようとする。しかしリーナは呆れたように溜め息を吐く。

「はぁ…、やはりあなたは甘いですね。」

「甘くて結構です。私達は今まで日常生活と両立させながら戦って来たの。碌に組織の詳細も教えてくれないのに束縛しようとかふざけないで。」

 美姫はホロテイルジュへの不満をぶつけ、またリーナを冷たく突き放す。するとリーナは、ポケットから指輪を取り出す。その指輪は金色のフレームに縁取られたペリドットの指輪だった。

「ペリドットの指輪!あなたが持ってたの?」

 美姫はずっと探していたペリドットの指輪をリーナが持っていたことに驚く。そんな美姫にリーナは指輪を近付ける。すると美姫の右手の中指がペリドットと同じ黄緑色に輝く。

「何これ、どういうこと…?」

 美姫は突然の現象に驚いてしまう。

「やはりあなたは才能に満ち溢れているようですね。ダイヤモンドだけでなく、ペリドットの指輪の資格も得ているようです。」

 リーナは驚く美姫にそう答える。ホロテイルジュの戦士は普通、使うことのできる宝石が一人につき一つだけなのだが、美姫はダイヤモンドだけではなくペリドットも使うことのできる戦士であり、右手の輝きはそれを表していた。

「何でこんなことが…?」

「あなたは偶発的にホロテイルジュの力との適合率の高いDNAを持って生まれた可能性が高い。そうエメラルディア様は仰っていました。」

 戸惑う美姫にリーナは説明する。美姫は少しだけ祖母の琴姫が言っていたことを理解していた。

「じゃあお祖母ちゃんが私にペリドットの指輪を贈ろうとしていたのは、こういうことだったんだ…。」

 美姫は琴姫が自身を戦士にしようとしていたことを確信する。

「つまりあなたはホロテイルジュに必要不可欠な戦士なのです。それでは私と共に来て下さい。」

 リーナは美姫がホロテイルジュに必要だと言って連れて行こうとするが、美姫は何も言わなかった。

「…まだ決心がつかないようですね。」

 リーナは未だホロテイルジュに戻ろうとしない美姫に歯痒さを感じる。そんな時、パンドラスが産み出した三体のマリスが現れる。

「嘘、こんな時にマリス?」

 美姫は慌てて本を開こうとする。しかしリーナは美姫を止める。

「手出し無用です。今のあなたに背中は預けられません。」

 リーナはそう言ってペリドットの指輪を左手の中指に嵌め、本を取り出して開く。

「てんびん座!ペリドット!アラジンと魔法のランプ!」

 リーナがそう叫ぶと空が暗くなり、てんびん座が現れる。そして空から声が聞こえる。

「Miracle Force!」

「来るのです!」

 リーナがそう叫ぶとてんびん座の最輝星が光を放ち、リーナのしているペリドットの指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、リーナの体を包む。やがてリーナの体が光を放ち、戦士へとその姿を変える。

 その戦士はアラビアの男性を彷彿とさせるような衣装を身に纏い、腰にはシンデレーザーと同じくレーザー銃が装備されていた。そして頭にはターバンのような物が巻かれ、そこから金の天秤が生えていた。

「アラジンザスカイ!」

 その戦士はアラジンザスカイと名乗る。アラジンザスカイはマリスを睨み付けていた。

「今から私が、本当の戦士というものを見せて差し上げます。」

 アラジンザスカイは美姫にそう言うと、マリスに立ち向かう。

「はぁぁ!」

 アラジンザスカイは姿勢を崩さず、達人のような動きで三体のマリスを相手に優勢に戦う。そして戦いながら再び本を開く。一体のマリスが繰り出した攻撃を華麗に避け、空高く後ろに宙がえりする。すると魔法の絨毯が召喚され、その上に乗る。

「覚悟しなさい!」

 アラジンザスカイはそう言うと魔法の絨毯でマリスの周りを自由に飛び回り翻弄する。

「凄い…。」

 美姫はそのアラジンザスカイの戦い方に感心してしまう。そして魔法の絨毯が消え、地面に着地すると腰のレーザー銃を素早く取り出して力を込める。

「アラジンザストライク!」

 アラジンザスカイは必殺のレーザー光線を放ち、三体のマリスをまとめて消滅させる。

「ふぅ…。」

 戦いを終え、アラジンザスカイは溜め息を吐く。

「お疲れ様。かなり強かったけど、やっぱりずっと鍛えてたの?」

 アラジンザスカイに美姫は歩み寄り、話し掛ける。するとアラジンザスカイは突然、美姫に銃口を向ける。

「な、何⁉」

 驚く美姫にアラジンザスカイは答える。

「実力行使なるものです。」

 アラジンザスカイはそう言ってレーザー銃を放つ。美姫はなんとか攻撃を避け、本を開く。

「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」

 美姫は慌ててシンデレーザーに姿を変える。

「ひれ伏しなさい!」

 アラジンザスカイはそう言いながらシンデレーザーに向かってレーザー光線を連射する。シンデレーザーは戸惑いながらも華麗に避ける。

「本気みたいだね…。」

 シンデレーザーはアラジンザスカイの本気を感じ取り、攻撃の態勢を取る。そして二人は互いの目の前に銃口を突き付け、じっと睨み合うのだった。

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