第二十話 真実への道のり
何処にでもいるはずの女性、桜名美姫はホロテイルジュの戦士シンデレーザーとして戦っていた。ホロテイルジュの九人の戦士は悪の組織ダークストーリーズの幹部カイザードが送り出した十万体ものマリスと交戦する。厳しい戦いを強いられる中、シンデレーザーは新たな姿、エレガントタイプへとその姿を変える。戦いを終えた後、ホロテイルジュの戦士達は皆疲労のあまり倒れ込んでしまう。その後、美姫は自身の祖母である琴姫がホロテイルジュの創設者である事実を知る。その事実を隠していた桃井剣二を責める美姫だったが、剣二が自ら謝ったことで和解する。そしてホロテイルジュの秘密を知る覚悟を決めた皆の元にホロテイルジュのトップからの招集の声が届くのだった。
桜名美姫、桃井剣二、浦賀輝弓、金山依斧、水原夜衣魚、双見アラモード、鈴木林檎、三浦竹月、赤園風布花の九人はホロテイルジュの残り三人がいるとされる空間に繋がる扉の前に立っていた。
「この扉から繋がっているんだよね?ホロテイルジュの残り三人に…。」
「ああ、そして招集命令が掛かった。遂にホロテイルジュが十二人揃うということだ。」
美姫と剣二は言葉を交わし、皆は気合が入る。
「よし、行くぞ。」
そして剣二はゆっくりと扉を開く。するとそこには、強風が吹き荒ぶ砂漠が広がっていた。
「うわ、目に入る。」
「いきなり何?この荒れ方。」
夜衣魚と林檎は砂漠の荒れ方に驚いてしまう。しかし皆は覚悟を決めて空間の中に入る。
「どうなっている訳?」
尋ねる美姫に、輝弓が答える。
「この空間、結構過酷なんですよ。俺達も一度行ったことがあるんですけど、その時もかなり大変でした。」
輝弓は空間の過酷さを語る。すると突然強風が更に強くなる。
「嘘、風が強くなった⁉」
皆は驚いてしまう。そして地面に足を付けることさえもままならなくなり、皆は吹き飛ばされてしまう。
「きゃぁ!」
皆は離れ離れにならないように必死に手を伸ばす。
「美姫さん!」
「風布花ちゃん!」
美姫と風布花はお互いに手を取り合う。
「アラモードさん!」
「竹月ちゃん!」
アラモードと竹月もお互いに手を取り合う。
「林檎!」
「あ、うん…。」
夜衣魚も林檎に手を伸ばすが、林檎は何故か不本意な様子で手を伸ばす。そして九人は散り散りになってしまうのだった。
美姫、剣二、風布花の三人が吹き飛ばされて辿り着いた所は砂漠とは言わないまでも荒れ果てた大地だった。
「ここはどこ…?」
「一体どこでしょう…?」
美姫と風布花は先程までとは違う景色に戸惑ってしまう。
「二人共油断するな。何が起こるかわからない空間なんだ。」
剣二は油断しないよう二人を諭すが、その瞬間三人を巨大な影が覆う。
「え、何?」
三人が恐る恐る後ろを振り向くと、そこには大きなティラノサウルスが佇んでいた。
「「てぃ、ティラノサウルスレックスー!」」
美姫と風布花は驚いて勢いよく逃げ出してしまう。
「おい待て!置いて行くな!あと何故レックスまで言う?」
剣二も二人を追うように走り出す。
「何これ⁉もしかして白亜紀にタイムスリップ?」
「わかりません!一体どうなってるんですかここー⁉」
美姫と風布花は一心不乱に逃げ惑う。しかし二人の前にはヴェロキラプトルがいた。
「「ヴぇ、ヴェロキラプトルー!」」
二人は更に逆方向に走り出す。
「おい、落ち着け!」
剣二が二人を落ち着かせようとするが、二人は聞く耳を持たない。そしてまた美姫と風布花が逃げた先に、今度はアロサウルスがいた。
「「あ、アロサウルスー!」」
二人はまた逆方向に逃げ出す。
「何で⁉アロサウルスってジュラ紀の恐竜じゃなかったっけ?何でティラノサウルスと一緒の時代にいるのー⁉」
「わかりません!もしかしたら学説が覆るかも知れませーん!」
「だから落ち着け二人共!あと詳しいな。」
パニックになる二人に、剣二はなんとか落ち着かせようとする。しかしどこを行っても恐竜だらけで、美姫と風布花は落ち着く暇がなかった。
輝弓、夜衣魚、林檎の三人は今にも凍えそうな寒さの中にある氷山の上にいた。
「さっむ~!」
夜衣魚はあまりの寒さに叫んでしまう。
「何ここ?南極にでも飛ばされた訳?」
夜衣魚は突然光景が変わったことに戸惑う。そして輝弓が答える。
「いや、この空間は無作為に環境が変わるようになってるんだよ。他のみんなはまた違う環境にいるはず。」
「こんな訳のわからない所に、残り三人がいるんだね…。」
輝弓の説明に、林檎はホロテイルジュの残り三人がこの過酷な空間にいることに感心する。
「輝弓、それでどっちに行けば良いの?」
「へ⁉」
林檎はこれからの行き先を尋ねるが、輝弓は突然言葉が詰まってしまう。
「ああ、え~とね…。」
「もしかして知らないの⁉」
林檎は輝弓が行き先を知らないことを責める。それには夜衣魚も驚いていた。
「うっそ~!じゃあ私達、氷山に閉じ込められた訳?」
三人が氷山の辺りを見渡すが、何もなくただ海だけが広がっていた。
「…確かに、これは方向感覚失うね。」
林檎は、輝弓が行き先を見失うのも無理はないと悟る。そしてそんな三人を巨大な影が覆う。
「…林檎、これはもしや…。」
「言わなくてもわかるよ…。」
「じゃあみんなで振り向こうか…。」
三人はそう言って恐る恐る後ろを振り向く。するとそこには大きなマンモスがいた。
「「「マンモスー!」」」
三人は思わず叫んで逃げ出す。
「何だっけ林檎、激寒時代だっけ?コオリ時代だっけ?」
「氷河期ね。一文字くらい合っててよ。」
「漫才なんかやってる場合かよ!それよりも逃げるんだよー!」
三人は必死にマンモスから逃げ惑うのだった。
依斧、アラモード、竹月の三人はサバンナのような所に来ていた。三人は辺りを見渡す。
「正に辺境の地だね。」
「はい。アラモードさんはずっとパフェを食していらっしゃいませんけど大丈夫ですか?」
「大丈夫、なんとかね。」
竹月は扉を開いてからパフェを食べていないアラモードを心配するが、アラモードは非常用のチョコレートも持っていたためなんとか気力で持ちこたえていた。
「二人共、ここからはかなり危険だ。何が起こるかわからない。」
「承知致しました。」
依斧の言葉で竹月は気が引き締まる。しかしアラモードは依然として飄々としていた。
「ま、なんとかなるでしょ。」
そう言ってアラモードはゆっくりと歩き出す。するとアラモードは何かにぶつかった感触を受ける。
「ん?」
アラモードが下を振り向くと、そこにはライオンがいた。それを見たアラモードは顔が引きつってしまう。
「やば…、ライオンとか全然平気だと思ってたけど…。」
アラモードは静かにそう言うと後ろを振り向く。
「やっぱ近くで見るとリアル~!」
アラモードは発狂しながら走り出す。
「アラモードさん、大丈夫ですか?」
「無理無理無理無理無理無理無理~~~!!」
アラモードはそう叫んで依斧と竹月を追い越して走る。
「しょうがない、俺達も追いかけるぞ。」
「アラモードさんを守るのは私です。」
依斧と竹月もアラモードを追いかける。そして三人はジャングルに迷い込む。
「じゃ、ジャングル…?」
アラモードは突然のジャングルに戸惑う。すると木々から沢山の蛇が現れる。
「蛇~!」
アラモードは蛇に驚き、泡を吹いて倒れてしまう。
「アラモードさん!」
竹月はアラモードに駆け寄り、抱きかかえる。
「ああ、可哀そうなアラモードさん。私が守って差し上げます。」
竹月はそう言うと依斧の方を向く。
「それでは依斧さん、アラモードさんを運んで差し上げて下さい。」
「あ、自分で運ばないのか?」
「はい、ここは依斧さんが運んだ方が効率的なので。あと女性の体ですので触る所には気を付けて下さい。」
依斧は少し困惑しながらも竹月に言われるがままアラモードを背負う。そして三人は先へ進むのだった。
美姫、剣二、風布花の三人はなんとか恐竜達から逃げ、物陰に隠れていた。
「ねぇ桃井、これどうやったら抜け出せるの?」
美姫は息を切らせながら剣二に尋ねる。
「ああ、ホロテイルジュのトップは疑似的に怪物を作り出す。それを倒せば謁見へ通じる道が開くはずだ。」
「本当に戦士しか行けないようになっているんですね…。」
剣二の言葉に風布花も過酷さを感じる。するとまた恐竜達が向かって来る。
「また来た!」
また慌てふためく美姫達だったが、恐竜達は突然人型の怪物へと姿を変える。
「あれ、同じくらいの大きさになった。」
「よし、こいつらを倒せば道が開けるぞ。」
「それじゃあ、みんなで行きましょう。」
三人は怪物の前に勝機を見出し、立ち上がる。そして一斉に本を開く。
「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」
「しし座!ルビー!桃太郎!」
「やぎ座!パール!赤ずきんちゃん!」
三人がそう叫ぶと空が暗くなり、三つの星座が現れる。そして空から声が聞こえる。
「Miracle Force!」
「来て!」
「来い!」
「来て下さい!」
三人がそう叫ぶと三つの星座の最輝星が光を放ち、三人の指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、三人の体を包む。やがて三人の体は光を放ち、戦士へとその姿を変えるのだった。
「シンデレーザー!」
「キルビーレオン!」
「レッドバイトゥース!」
三人はそれぞれ名乗り、怪物に立ち向かう。
一方の輝弓、夜衣魚、林檎の三人もマンモスが姿を変えた人型の怪物と対面していた。
「ラッキー、これなら一気に潰せるね。」
「そうだね。」
「よし、行くよ!」
三人はそう言うと一斉にに本を開く。
「みずがめ座!サファイア!浦島太郎!」
「うお座!アクアマリン!人魚姫!」
「さそり座!アメジスト!白雪姫!」
三人は一斉に叫ぶと、それぞれ戦士へとその姿を変える。
「サファイアロード!」
「マーメイデスト!」
「ポイズノーム!」
三人はそれぞれ名乗り、怪物に立ち向かう。
アラモードを背負った依斧と竹月がジャングルを抜けると、そこにサバンナの動物達を模したような人型の怪物達が揃っていた。
「しめた、この怪物達を倒せば一気に進めるぞ。」
「それなら話は早いです。」
竹月は怪物達を前に気合が入る。そして依斧に乗っていたアラモードも目を覚ます。
「よし、ここからは名誉挽回だよ。」
アラモードはそう言って依斧から降りる。
「それでは参りましょう。」
竹月の言葉で三人は一斉に本を開く。
「おうし座!シトリン!金太郎!」
「ふたご座!オパール!ヘンゼルとグレーテル!」
「おひつじ座!ガーネット!かぐや姫!」
三人は一斉に叫ぶと、戦士へとその姿を変える。
「アックシトリナー!」
「ツインスウィーテス!」
「フルムーンハイヤー!」
三人はそれぞれ名乗り、怪物に立ち向かう。
「はぁぁ!」
怪物に撃ちかかるシンデレーザー。しかし怪物は踏み止まる。
「あれ、ちょい強?」
シンデレーザーは怪物の強さを意外に感じる。
「「はぁぁ!」」
キルビーレオンとレッドバイトゥースが同時に攻撃するも、怪物へのダメージは今一つだった。
「ねぇ、こんな強い怪物を差し向けて来る訳?」
シンデレーザーはキルビーレオンに尋ねる。
「ああ、これも含めて過酷なんだこの空間は。」
「マジ?」
シンデレーザーはキルビーレオンの言葉に落胆する。
「まあいっか、行くよ風布花ちゃん。」
「はい。」
シンデレーザーの言葉でシンデレーザーとレッドバイトゥースは背中合わせになる。
「やまねこ座!ダイヤモンド!マレーン姫!」
「おおかみ座!」
二人はそれぞれワイルドタイプとクリムゾンタイプに変わる。そして二人は野性的な構えを取る。
「「ガルルルル…!」」
二人は唸りを挙げて怪物に飛び掛かる。
一方、マンモスが姿を変えた怪物と交戦するサファイアロード、マーメイデスト、ポイズノーム。
「マーメイトライデント!」
マーメイデストは三又の槍を振るって怪物に攻撃する。しかし怪物には通用しなかった。
「え、嘘⁉」
そしてマーメイデストは怪物の攻撃で弾き飛ばされてしまう。
「ちょっと、夜衣魚⁉」
ポイズノームは驚いてしまう。そしてマーメイデストが飛ばされた先は冷たい海の中だった。
「うわ、冷たっ!」
マーメイデストは海の冷たさに凍えそうになる。更に海の中にも何体か怪物がいた。
「うわ、マジで⁉」
海洋生物を模したような怪物達にマーメイデストは翻弄されてしまう。しかしマーメイデストはなんとか踏ん張る。
「負けるかぁぁ!」
マーメイデストはそう言って左手を海の上に挙げる。
「いるか座!」
マーメイデストはフロートタイプに姿を変える。
「行っけ~!」
マーメイデストは海の中を自由に泳ぎ周り、なんとか怪物達に応戦する。
「三枚の蛇の葉!」
ポイズノームはスネークタイプに姿を変え、マンモスの怪物をしなやかな動きで攻撃する。
「よし、これなら!」
マンモスの怪物はポイズノームとの交戦に夢中になっていた。その隙を突いてサファイアロードは弓矢を放つ。
「うがっ!」
「ナイス輝弓!」
ポイズノームは優勢になったと感じ、怪物に蹴りを入れ込む。
「スコーピオンウィップ!」
ポイズノームは毒針の付いた鞭を召喚して怪物に突撃する。
一方、サバンナの動物達を模した怪物と交戦するアックシトリナー、ツインスウィーテス、フルムーンハイヤー。
「タウラスブレイク!」
アックシトリナーは斧を振るってライオンの怪物に切り掛かる。しかしライオンの怪物はビクともしなかった。
「意外と頑丈だな。」
アックシトリナーは怪物に感心した瞬間、怪物に弾き飛ばされる。
「うわぁぁ!」
アックシトリナーは地面に転がってしまう。
「ふたご座!」
ツインスウィーテスはふたご座の力で二人に分身する。分身したツインスウィーテスはまるで鏡合わせのような動きで怪物を翻弄する。
「おいでなさい!」
フルムーンハイヤーは本を開いて無数の満月を召喚し空間に散りばめる。そして満月を足場にして飛び回り、怪物達を翻弄する。
「くっ…!」
ツインスウィーテスとフルムーンハイヤーが怪物に対し優勢になる中、アックシトリナーだけは劣勢を極めていた。一人に戻ったツインスウィーテスとフルムーンハイヤーはアックシトリナーの元に行き、背中合わせになる。ツインスウィーテスはアックシトリナーに話し掛ける。
「大丈夫?依斧。」
「すまない、俺は能力を使うのが苦手だからな。腕っぷしの強さだけでは奴らには敵わない。」
「お互いに至らない点を庇い合う、それが私達ホロテイルジュです。」
フルムーンハイヤーがそう言うと、ツインスウィーテスとフルムーンハイヤーは立ち上がる。
「七羽のカラス!」
「うさぎ座!」
二人はそう叫ぶとそれぞれクロウタイプとジャンパータイプになる。
「カモン!」
ツインスウィーテスがそう言って本を開くと、カラスが七羽現れて怪物達を攻撃する。
「参ります!」
フルムーンハイヤーは空高く跳び上がり、急降下して怪物に突進する。その戦いぶりを見たアックシトリナーは感心する。
「俺ではあのような能力を引き出せない、やはり俺に出来ることをするしかないか。」
アックシトリナーはそう言って再び斧を握り締め、怪物に向かって思い切り振るう。
海の中で怪物と交戦するマーメイデスト。海の中を泳ぎ回ったおかげでなんとか怪物を混乱させることに成功していた。
「よし、このまま!」
マーメイデストはそう言って水竜巻を起こす。
「マーメイトルネード!」
水竜巻に巻き込まれた怪物は海の上高くに浮かび上がってしまう。
「からの~!」
マーメイデストは三又の槍を構えて怪物の元まで跳び上がる。
「トライデントクロス!」
X字型に切り掛かり、怪物は消滅してしまう。
「出て来なさい!」
ポイズノームはそう言って本を開き、二匹の蛇を出す。二匹の蛇はマンモスの怪物の体を縛り上げる。そしてポイズノームも鞭で怪物の体を縛り上げる。
「トリプルポイズンストラングル!」
鞭の毒針と蛇の牙が怪物を突き刺し、怪物に毒が流れ込む。
「秘弓・水の一射!」
そしてサファイアロードが止めの弓矢を放ち、怪物は消滅してしまう。マーメイデストもポイズノームとサファイアロードの元に戻り、三人は元の姿に戻る。
「終わったね林檎、輝弓君。」
「うん。」
「そうだね。」
三人は怪物との戦いを終え、安堵の気持ちに浸る。すると三人の前に光の穴が現れる。
「わっ、眩しっ。」
夜衣魚はその眩い光に目を逸らしてしまうが、同時に希望を感じていた。
「あの先に、ホロテイルジュの残り三人が…。」
三人は真剣な眼差しで光の穴を見つめていた。
アックシトリナーは斧を振り回し怪物を叩き切る。
「俺は、この力で道を切り拓く!」
アックシトリナーのその想いが乗ったのか、振り回す斧はとても重く怪物は後ずさってしまう。
「このまま止めです!」
フルムーンハイヤーはそう言うと仰向けに横たわり、脚を垂直に上げる。
「依斧さん!」
「わかった!」
アックシトリナーはフルムーンハイヤーの足の上に飛び乗る。そしてフルムーンハイヤーは足を勢いよく伸ばしアックシトリナーを空高くまで飛ばす。
「はぁぁぁ!」
アックシトリナーは気合を入れながら怪物の上に落ち、斧を振るう。
「急降下タウラスブレイク!」
勢いよく斧で叩き切り、真っ二つになった怪物は消滅してしまう。
「必殺、お菓子の家!」
ツインスウィーテスはお菓子の家を召喚して残りの怪物をまとめて倒す。そして三人は無事に全ての怪物を倒し、元の姿に戻る。
「やったなアラモード、竹月ちゃん。」
「はい。」
「ま、私達にかかればこんなもんでしょ。」
アラモードは激戦の後でも余裕綽綽な態度を取りながらチョコレートをつまむ。そして依斧、アラモード、竹月の三人の前にも光の穴が現れる。
「あれを通れば、ホロテイルジュの残り三人に会える。」
依斧は以前通った経験のある光の穴について話す。
「それでは、参りましょう。」
竹月はそう言って光の穴へ行こうとするが、突然アラモードが依斧を呼び止める。
「ちょっと依斧。」
「何だ?」
依斧はアラモードに話し掛けられたことを珍しく感じる。そしてアラモードは依斧に尋ねる。
「あんた、私達に引け目を感じてない?」
「いや、それは…。」
依斧は図星を当てられた気分になる。しかしアラモードは語り出す。
「私達が使ってる力自体よくわかんない物なんだから、劣等感を感じる必要はないと思うよ。少なくともこの中じゃ依斧が一番戦闘センスがあるんだし。」
アラモードはそう言って依斧の横を通り過ぎる。素っ気ない態度ではあったが、依斧はアラモードの言葉を嬉しく感じた。
「ああ、ありがとう。」
そして三人は光の穴に向かってゆっくりと歩き出すのだった。
シンデレーザーとレッドバイトゥースは鋭い爪で怪物に切り掛かる。
「出て来い!」
キルビーレオンがそう言って本を開くと犬、猿、雉が飛び出す。
「止めだ!」
キルビーレオンがそう言うとシンデレーザーとレッドバイトゥース、そして犬、猿、雉が一斉に怪物に飛び掛かり、攻撃する。そしてキルビーレオンが勢いよく跳び上がり、剣を構える。
「秘剣・獅子の一突き!」
キルビーレオンはそう言ってライオンの幻影を纏った剣を怪物に突き刺す。そして怪物は漸く消滅する。戦いを終えた三人は元の姿に戻る。
「ふぅ…、疲れた。」
美姫は戦いに疲れ溜め息を吐く。そして三人の前にも光の穴が現れる。
「桃井、あれって…。」
「ああ、あれを通れば目的の場所だ。」
「あれが…。」
美姫と風布花は剣二から光の穴について聞き、緊張が走る。
「じゃあ、行こうか。」
美姫がそう言うと三人はゆっくりと歩き出す。そして九人はそれぞれの光の穴の中に入るのだった。
光の穴を通ると、九人は一つの場所に合流する。
「みんな。」
「美姫さ~ん!」
夜衣魚は美姫に会えた喜びのあまり抱き着く。
「ちょっと夜衣魚さん、離れて下さい!」
風布花は嫉妬を感じて夜衣魚を離そうとする。
「まあとにかくだ、みんな無事に揃って良かった。」
剣二は一先ず皆が揃ったことを喜ぶ。
「それにしても毎度毎度俺達にこんな過酷なことをさせて、あの人達は何を考えてるんだろうね。」
輝弓はまたホロテイルジュの残り三人に対しての不満を吐露する。そして九人の前には大きな城が建っていた。
「何この大きなお城…。」
皆は城のあまりの大きさに唖然としていた。
「この中にいるんだよね、ホロテイルジュの残り三人が…。」
「ああ、遂にホロテイルジュの十二人が揃うんだ。」
剣二の言葉に、九人は緊張が走る。
「よし、入るぞ。」
剣二の言葉で、皆はゆっくりと城の中に入る。
皆が城の扉を開くと、一人の若い女性が立っていた。その女性は褐色肌で少し日本人離れした風貌をしていた。
「お待ちしておりました、ホロテイルジュの残り九人の皆さん。」
女性は無表情且つ無愛想な態度で迎える。
「さあ、あのお方がお待ちです。どうぞこちらへ。」
そう言って女性は案内するように前を歩く。皆は言われるがままその女性について行く。
皆はある部屋の前に着く。そこに佇む扉も中々の大きさだった。女性はその扉を三回ノックする。すると、重厚な男性の声が聞こえる。
「いるぞ。」
「彼らがお見えになりました。」
「そうか、入れ。」
皆はその男性の声に聞き覚えがあった。その声は美姫達に招集命令を掛けた男性の声だった。そして女性はゆっくりと扉を開き、九人を誘導する。
「どうぞお入り下さい。」
「はい…。」
皆はゆっくりと部屋の中に入る。その部屋は見るからに広く豪華な装飾に彩られた王室のような場所だった。そしてその中央にある大きな椅子に座る四十代半ばくらいの風貌の男性と、その横に立つまた一人の若い女性がいた。
「やっと来た。女のメンバーは初めてだね。」
男性の横に立つ女性は美姫達を前にしてそう言い放つ。そして美姫達を案内した褐色肌の女性も男性の横に立つ。
「漸くホロテイルジュの悲願、十二人の戦士が揃ったか。」
男性は美姫達を見てそんな言葉がこぼれる。そしてこの部屋の中には嵐の前の静けさが漂っていた。




