第十九話 新たなステージへの出発点
何処にでもいるはずの女性、桜名美姫は新たな姿であるシンデレーザー・ワイルドタイプへとその姿を変える。そして美姫の後を追うように水原夜衣魚、鈴木林檎、双見アラモード、三浦竹月も新たな力を引き出す。そして小学生のメンバーである赤園風布花もおおかみ座の力を制御できるようになり、レッドバイトゥース・クリムゾンタイプとなる。ダークストーリーズを抜けた幹部、ウルフィンと激闘を繰り広げ遂に倒す。するとママーハハと名乗る幹部が現れウルフィンを吸収してしまう。皆はママーハハに警戒するが、また新たな幹部のカイザードが悪意のあつまる掲示板サイトを利用して十万体のマリスを産み出してしまう。ホロテイルジュは九人でマリスに立ち向かうが、あまりの多さに翻弄されてしまう。そんな中、シンデレーザーは新たな姿のエレガントタイプへとその姿を変えるのだった。
エレガントタイプとなったシンデレーザーは毅然とした様子で佇んでいた。そしてマリスの集団に向かってゆっくりと歩き出す。そして向かって来るマリスを姿勢を崩さずに薙ぎ払う。その度に鶴の羽根が舞い、その様子はまるで鶴のような優雅さだった。
「凄いな…。」
皆はそのシンデレーザーの強さに驚いてしまう。
「さっさとこいつらを倒さないと!」
シンデレーザーはそう言って体に巻き付いた茨を腕に巻き付けて振り回す。
「みんな伏せろ!」
キルビーレオンは咄嗟に叫び、皆はその場に伏せる。そしてシンデレーザーが振り回した茨によってマリスは一気に消滅する。
「凄い…。」
「もう半分くらい倒したんじゃない?」
皆はあんなに多かったマリスの過半数を倒したことで勝機を見出す。
一方その頃、ダークストーリーズの幹部カイザードはパソコンの画面からシンデレーザーの様子を見ていた。
「あれがシンデレーザーですか。確かに強いですね、あの強さは一番最初に我々の前に現れた戦士に通じるものがある。」
カイザードはそんな意味深長なことを言っていた。そしてカイザードは指をパチンと鳴らす。
皆が戦っている中、突然全てのマリスが消えてしまう。
「え、何?」
皆はあまりの突然の出来事に驚いてしまう。
「おい、何の真似だ。」
カイザードと共にいた男性はカイザードに問い詰める。この男性はカイザードが多くの人間の悪意を利用するために使った掲示板サイトの運営者だった。
「まあまあ、今回は彼らの強さを知りたかっただけですから。それに今回のマリスは彼らを倒す決定打には成り得ません。もう少し作戦を練ることにします。」
カイザードはそう言って男性の元を後にするのだった。
なんとか戦いを終えた皆は元の姿に戻り一箇所に集まる。
「なんかよくわかんないけど、なんとか終わったね。」
「ああ、そうだな。あのカイザードとかいう幹部、何を考えているんだ?」
皆はカイザードが考えていることがわからず、不思議に感じていた。
「まあでも、戦いが終わったんですからいいじゃないですか!」
夜衣魚は戦いが終わったことに安堵の気持ちを覚え、少し沈んだ雰囲気を切り替えようとする。
「剣二、ここは取り敢えず安心しようよ。」
「ああ、そうだな。」
桃井剣二も浦賀輝弓の言葉で安堵の気持ちを覚える。すると皆は急に眠たくなってしまう。
「うわ、眠…。」
「これは、長時間戦い続けたせいか…。」
「そんな、すぐに帰らないと…。」
「ダメだ、そんな気力はない…。」
皆は疲れが極限まで溜まり、全員でその場に倒れてしまうのだった。
カイザードはダークストーリーズの本拠地へと戻っていた。パンドラスが睨み付けながら出迎える。
「おい、マリスを消して尻尾を巻いて逃げたって訳か?」
パンドラスはカイザードが撤退したことを咎める。
「ふん、人聞きの悪いことを仰いまね。私は今のホロテイルジュがどのくらいの強さなのか、試していただけですよ。」
カイザードは余裕気な態度でパンドラスに反論する。そしてカイザードはシンデレーザーについて語り出す。
「それにしても、あなたの仰っていた通りシンデレーザーは強い。特に新たな星座と童話の力を同時に引き出すセンス、只者ではありません。」
「ああそうだな。あいつは一番最初に俺達の前に現れた、あのダイヤモンドの指輪の戦士にそっくりだ。」
パンドラスもカイザードと同じ戦士の面影をシンデレーザーに重ねていた。
「これは恐らく、シンデレーザーをママーハハ様に差し向けることになるでしょうね…。」
「そうだな。恐らく今のホロテイルジュで俺達ダークストーリーズの悲願の達成か、はたまた壊滅か、そのどちらかが決まる。」
パンドラスは今のホロテイルジュに、戦いの終焉を見出すのだった。
美姫が目を覚ますと、そこは病室の中だった。美姫が周りを見渡すと、他の皆も横たわっていた。
「そっか、あの場で倒れたんだっけ。みんなで仲良く病院送りとは…。」
美姫は全員で倒れて病院に送られていることに自分達のことながら呆れてしまっていた。そして他の皆も次々と目を覚ます。
「ここは、病院か…。」
「うっそ~、本当に倒れちゃったんだ。」
「我ながら一生の不覚…。」
皆も全員で病院で寝てしまった事実に驚き呆れてしまう。そして一人の看護師が皆の元に来る。
「皆さん、目を覚まされたんですか?良かったです。」
その看護師は目を覚ました皆の様子を見て安堵の気持ちのようだったが、その反応が尋常ではないことは皆も悟っていた。
「あの、私達どのくらい寝ていたんですか?」
美姫がその看護師に尋ねる。
「皆さん、丸一日ずっと意識を失っていたんですよ。」
看護師のその返答に、皆は驚いてしまう。
「おい聞いたか剣二、俺達揃って丸一日だってよ。」
「これは今までにない状況ですね、剣二さん。」
「私がパフェを口にしない日ができるなんて…。」
「学校や家族に何と申しましょう…。」
「怒られる…。」
皆は困惑してしまうが、取り敢えず全員揃って帰る支度をする。
「ちょっと皆さん、大丈夫なんですか?」
「はい、いつまでもここにお世話になる訳には行かないので。」
美姫は困惑する看護師にそう答え、全員で病院を後にするのだった。
「あの、申し訳ございませんでした!」
美姫は会社に戻り、上司に頭を下げていた。
「まあ、病院の人がお前の名刺を見つけたおかげでこちらにも迅速に連絡が行き届いたんだ。それにお前が謎の怪物を引き連れたから無事かどうか心配だったしな。とにかく無事に戻って来てくれて良かったよ。」
美姫の上司は特に美姫を咎めなかった。それが美姫にとって不幸中の幸いだった。
風布花は家で母親に怒られていた。
「もう!病院で丸一日寝ていたってどういうことなの⁉心配してお見舞いに行っても全然起きなかったし!」
「ごめんなさい…。」
風布花は母親から怒られて縮こまってしまう。そして風布花の母親は一つ疑問に思うことがあった。
「ねぇ病院にボランティアの人達も眠っていたんだけど、一体何のボランティアをしているの?学校に聞いたら怪物を外に引き連れて行ったって言ってたんだけど…。」
風布花は母親にホロテイルジュの仲間のことをボランティア仲間と言っていたが、今回のことで母親はその話にも疑いを持ち始めていた。
「た、ただのボランティアだよ。あの時は怪物をどうにかしなきゃってボランティア精神がみんなして働いたっていうか…。」
「そう?それならいいんだけど…。」
風布花の母親は風布花の話に釈然としない節がありながらも取り敢えず信用することにするのだった。
そして翌日、美姫はまた洋館を訪れていた。洋館には夜衣魚、林檎、そして風布花が揃っていた。
「みんな、昨日は大丈夫だった?」
美姫は皆にそう尋ねる。病院を出て皆はそれぞれの仕事や家に戻っていた。それに夜衣魚が答える。
「まあ、私のところは荒らされた店内の修復作業で大変でした。」
アパレルショップで働いている夜衣魚はマリスによって荒らされた店内の修復作業に追われ、病院で丸一日寝ていたことを咎められるどころの話ではなかったようだ。次に林檎が答える。
「私のところも食材とかは無事だったんですけど、それでもやはり店内が荒らされていたのでそれが大変でした。」
カフェで働いている林檎もやはり店内の修復作業に追われていたようだ。
「風布花ちゃんは?」
美姫は風布花にも尋ねる。しかし風布花は答えづらそうに俯いてしまう。
「あの、お母さんにも怒られちゃいまして、それにそろそろホロテイルジュの皆さんのことをボランティア仲間と誤魔化すのが難しくなってきました。」
「あ、そっか…。」
美姫は風布花のその言葉で美姫は色々と悟る。美姫自身も以前から風布花の母親にボランティアだと誤魔化すことを辛く感じていた。
「今回のマリスの件、日本中でニュースになっていますね。」
「そうだね…。」
皆が戦った十万体ものマリスの件はかなりの大事となっており、日本中でも連日ニュースで流れて知らない人がいない程であった。
「マリスを産み出した人の共通点からあのサイトの運営者が事情聴取されて、結局カイザードと会っていたことを自供したらしいですね。」
「あの人もよくカイザードに手を貸したよね。」
皆は掲示板サイトの運営者に呆れていた。しかし美姫は未だにカイザードの目的がわからなかった。
「それにしてもカイザードの目的は何だったんだろう?あんなに大掛かりな事件引き起こしておいて、マリスを消して撤退だなんて。」
美姫はカイザードが途中でマリスを全て消し、撤退したことを不思議に感じていた。そんな美姫の疑問に、林檎がふと答える。
「もしかしたら、私達を試していたのではないでしょうか?」
「試していた?」
美姫は林檎の言葉が気になる。
「はい、マリスが消えたのは美姫さんがまた新たな力を引き出した時です。あのマリスも数こそ多いですがかなり弱かったですし、完全に本気だったとは思えません。」
「そっか、私達今のホロテイルジュの様子見だったらあのくらいで撤退するのも合点が行くね。」
美姫は林檎の言葉でカイザードの思惑もなんとなく納得が行く。しかし夜衣魚にはもう一つわからないことがあった。
「でも、それだったら事件の規模が大きくない?力を試すだけなら直接出向くだけでも良いのに。」
夜衣魚は林檎にそう尋ねる。確かに力を試すだけにしては規模が大きかった。しかし林檎はそれにも推測ができていた。
「それは多分、私達が全員で出て来るようにしたんだと思う。今まで全員で戦いに出ることが少ないってわかってるはずだから。」
「それなら納得です。私達が無条件で戦いに行かざるを得ない状況にすればってことですもんね。」
風布花も林檎の言葉に納得する。皆はカイザードがダークストーリーズの中でも強力な幹部になることを感じていた。美姫はふと夜衣魚に尋ねる。
「そう言えば、アラモードちゃんと竹月ちゃんは?」
美姫はアラモードと竹月がいないことが気になっていた。夜衣魚は呆れたような顔を見せながら答える。
「ああ、あの二人ですか。そう言えば今日は竹月ちゃんのお父さんが久し振りにゆっくりした休日を取れたそうで、アラモードを紹介するそうです。」
「そ、そうなの⁉」
美姫は夜衣魚の言葉に驚いてしまう。
「竹月ちゃんのお父さんも大変ですね。娘の恋人が家に来るっていうだけでも一大イベントなのに、娘の恋人が女で、しかもアラモードですからね…。」
林檎は竹月の父親に同情してしまう。
「そうだね…。」
「そうですね…。」
皆はアラモードが無事に挨拶を終えることを祈っていた。
一方、竹月はアラモードを紹介していた。机を隔てて座布団に正座し、アラモードと竹月は竹月の父親と向かい合っていた。
「お父様、こちらが私の恋人の双見アラモードさんです。」
「あ、ああ…。」
竹月の父親は何故か言葉が出なかった。
「お父様、もう少し肩の力を抜いて下さい。」
「いや、情報量が多くて理解が追いついてないだけだ。」
父親はそう言って唖然とした表情を見せる。そして父親は気になる点を竹月に尋ねる。
「まずだ、お前の恋人は女性なのか?」
「はい、見ての通り女性の方です。自分に正直で、特にパフェなどの甘い物が大好きな方ですよ。」
竹月は笑顔で声を弾ませながらアラモードの紹介をする。
「なるほど…、それでか…。」
父親は竹月の言葉で納得した表情を見せる。アラモードは顔を見せてから何も喋らずただ真っ直ぐな目でパフェを頬張っていた。
「お義父さん、竹月ちゃんは私が幸せにするので安心して下さい。」
アラモードはパフェを食べながらそう言う。アラモードは恋人の父親に挨拶するという緊張感が高くなるであろう場においても飄々としていた。
「その言葉はパフェを食べながら言うことじゃないことを理解して貰いたいが、取り敢えず竹月が幸せならそれでいい。まあよくわからないが、娘を宜しく頼む。」
父親は取り敢えず竹月とアラモードの交際を認める。それを聞いた竹月は嬉しくなって声が弾む。
「アラモードさん、やりました!お父様に認めてもらいました!」
竹月はそう言ってアラモードに抱き着く。
「そうだね。」
アラモードもそう言って竹月の頭を撫でる。
「それではお父様、私達はこれにてお暇させて頂きます。」
「あ、ああ。」
竹月はそう言ってアラモードと共に家を出る。父親は二人を見送った後、嵐が過ぎ去ったような気分になった。
「あれは、時代ということなのか…?」
父親は釈然としないまま、一人でお酒を飲むのだった。
「さて、桃井達が来るまでにまた調べますか。」
美姫はそう言って夜衣魚、林檎、風布花と共に書庫に向かった。そして引き続きホロテイルジュについて調べようとする。
「風布花ちゃん、ペリドットって知ってる?」
美姫はふとペリドットについて尋ねる。美姫は以前、祖母からペリドットの指輪を貰うことを思い出していた。
「はい、確か黄緑色の宝石ですよね?ホロテイルジュにもペリドットの指輪の戦士がいるらしいですけど…。」
風布花はホロテイルジュにペリドットの戦士がいることを知っていた。しかし風布花もその戦士の詳細がわからなかった。
「全く、ホロテイルジュの残り三人って何を考えてるんでしょうかね?あんなマリスの大群が攻めて来るようなことがあったのに、助けに来ないなんて。」
「多分あの人達も私達を試しているとかでしょ?それかカイザードが途中で撤退することを知っていたとか。」
夜衣魚はホロテイルジュの残り三人対しての愚痴をこぼす。しかし林檎は彼らにも思惑があることを推測していた。
「とにかく、今はその残り三人にも会えないんだから私達でできることをするしかないよね。」
美姫がそう言うと、皆は黙々と調べものをする。しかしそれでも特に判明するものはなかった。
「はぁ…、中々手掛かりになるものが見つからないね。」
「「「はい…。」」」
皆は溜め息を吐いてしまう。
「ホロテイルジュなんて組織、誰が作ったんだろう…。」
美姫は思わずホロテイルジュへの愚痴がこぼれてしまう。それを聞いた風布花は、あることを思い出す。
「そう言えば、ホロテイルジュの創設に関して書かれた本が載っていたような…。」
「本当⁉」
美姫は風布花の言葉に、何か手掛かりを掴めるかも知れないと感じる。そして風布花は心当たりのある本を取り出す。
「確か、この本です。」
風布花が差し出した本を皆は恐る恐る読む。
「えっと、最初に特殊なダイヤモンドの鉱石を見つけた土ノ瀬琴姫によって創設された…⁉」
美姫は書いてある文字を読み、その内容に絶句してしまう。
「どうしたんですか?美姫さん。」
夜衣魚は美姫の様子をおかしく感じ、尋ねる。
「琴姫って、私のお祖母ちゃん…。」
「「「え⁉」」」
美姫の言葉に他の三人も絶句する。
「それって、美姫さんのお祖母さんがホロテイルジュの創設者ってことですか?」
「うん、土ノ瀬って苗字もお祖母ちゃんの旧姓で聞いたことがある。」
「じゃあ本当に美姫さんのお祖母さんがホロテイルジュの創設者、最初のダイヤモンドの指輪の戦士だったということですよね?」
皆は美姫の祖母、琴姫の真実に近づきつつあった。するとそこに剣二、輝弓、そして金山依斧の三人が書庫に来る。
「みんな、そこにいたのか。」
剣二は書庫にいた美姫達を見つけるが、美姫の持っていた本に驚いてしまう。
「美姫、その本を読んだのか⁉」
「嘘⁉」
「遂に見つけてしまったんですか⁉」
剣二達三人は美姫がホロテイルジュの創設者の秘密を知ったことに焦りを覚えてしまう。美姫はその様子をおかしく感じる。
「桃井、輝弓君、依斧君。もしかしてあんた達知っていたの?私のお祖母ちゃんがホロテイルジュの創設者だってこと。」
美姫は剣二達にそう尋ねるが、剣二達三人は何も答えられない。
「何とか言いなさい!」
俯く三人に美姫は一喝する。
「私言ったよね?大事なことは言ってって。それなのに何で一番大事なことを言わない訳?」
怒りが込み上げる美姫に輝弓がなんとか話し出す。
「お、俺は話そうとちょっとは思ったんですよ。でももし美姫さんが戦士になる運命とかだったらショックを受けるだろうなぁって思ったら言わないでおこうってことになって…。」
輝弓は必死に弁解する。しかし美姫、更には夜衣魚と林檎も冷たい視線を向けていた。
「ちょっと、これは流石にないわ。」
「私達もダイヤモンドの指輪から美姫さんのお祖母さんが昔の戦士かもって考えていたところなのに、これは真っ先に話すことなんじゃないの?」
夜衣魚と林檎も輝弓に冷たく当たる。
「ちょっと剣二、お前も何か言えよ。お前が黙ろうって言ったことなんだよ?」
輝弓は剣二にも発言を求めるが、剣二は何も話そうとしない。そして見かねた依斧が話し出す。
「剣二さんは、もう少し事実関係が整ってから話そうとしていたんです。恐らく詳細をホロテイルジュの残り三人が知っていると思うので。」
依斧も剣二を庇うように説明するが、それでも美姫は剣二に同情する気がなかった。そして漸くアラモードと竹月も洋館に到着する。
「皆さん、ここにいらっしゃったのですか。」
「あれ、また険悪な雰囲気。」
二人は書庫に入るなり美姫達の険悪な雰囲気を感じ取る。そして夜衣魚がひそひそと詳細を話す。
「美姫さんのお祖母さん、ホロテイルジュの創設者だったみたい。しかも男どもはずっと隠してたって。」
「本当ですか⁉」
「ヤバいじゃん。」
二人もその詳細を聞いて驚く。そして漸く剣二も口を開く。
「みんな揃ったか、聞いてくれ。」
剣二はそう言うと、美姫に向かって突然頭を下げる。
「本当にすまなかった、美姫。」
「桃井…?」
美姫は剣二の態度に驚いてしまう。
「美姫がダイヤモンドの指輪を持っていた事実から、美姫がホロテイルジュと何かしらの関係性があることは察していた。そして美姫から祖母の名が琴姫だと聞いた時にこの事実に気付いた。しかしまだ確証が得られない以上話す訳には行かないと思った。全ては俺の判断ミスだ。」
「桃井…。」
美姫は剣二の今まで見なかった態度に真剣さを感じていた。そして美姫は優しい口調で話す。
「わかったよ、あんたもホロテイルジュの戦いに巻き込まれた側だしね。」
美姫は剣二もホロテイルジュについて深く知らないことをわかっていた。そして美姫は真剣な眼差しで話す。
「私も正直信じたくない事実はある。お祖母ちゃんはとても優しくて、毎晩寝付けなかった私に童話を読み聞かせてくれた。それに星座や宝石にもとても詳しくて博識な人だった。私はホロテイルジュのみんなに出会うまで平凡な人生を歩んできたと思って来たけど、唯一お祖母ちゃんが亡くなったことだけが悲しい出来事だった。そんな大好きなお祖母ちゃんがホロテイルジュの創設者でダークストーリーズと戦っていた戦士だったなんてとても信じたくない。でも私ももう戦士だから、どんな事実でも受け入れてみせる。だから、まずはみんなでホロテイルジュの残り三人に会いに行こう。」
そんな美姫の言葉で、ホロテイルジュの皆は結束しているような感覚を覚えた。
「美姫さんが本気でそう言ってるんですから、私達もそれに応えないとダメですね。」
「そうだね。私達も立派な戦士だから、このくらいしないと。」
「まあ私も甘い物の次にホロテイルジュのみんなが大事だから、覚悟はできてる。」
「私もお供させて頂きます。」
「私も美姫さんについて行きます。」
「俺達はただの一般人からここまで来たんです。今の俺達は最強です。」
「そうそう、幹部を何体も倒しちゃってる訳だしね。だろ?剣二。」
皆も美姫の言葉に賛同し、剣二も覚悟を決める。
「ああ!俺達今のホロテイルジュならダークストーリーズを一網打尽にできる、いや俺達でやってやるんだ!そのためにも、まずはホロテイルジュ全員が揃わなければならない。」
こうして九人はホロテイルジュの残り三人に会うことを決める。そんな時、何処からか声が聞こえる。
「ホロテイルジュの戦士達よ、我の元に来るがよい。」
その声は重厚で荘厳な雰囲気のある男性の声だった。剣二、輝弓、依斧の三人はその声に聞き覚えがあった。
「あれは、あの人が呼んでいるのか。」
「あの人って、残り三人の内の一人?」
美姫は剣二にそう尋ねる。
「ああ、そして今のホロテイルジュのトップだ。」
剣二の言葉に、皆は気持ちが引き締まる。そして美姫が先陣を切って気合を入れる。
「よし、じゃあ今からみんなで行くよ!」
「ああ!」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
こうして皆はホロテイルジュの残り三人に会いに向かうのだった。
こんばんは、ロマンス王子です。
今回で第二章は完結となります。第三章以降も完成し次第投稿致しますので、ご期待下されば幸いです。




