第十六話 優等生の努力
何処にでもいるはずの女性、桜名美姫は新たな姿であるシンデレーザー・ワイルドタイプへとその姿を変える。そして美姫の後を追うように水原夜衣魚、鈴木林檎も新たな力を引き出す。そんな中、ホロテイルジュで一番やる気のないメンバーの双見アラモードは母親から大学で友達がいないのか尋ねられ大学の友達が大事なのか悩んでしまう。そしてアラモードはホロテイルジュの皆が大事な友達だと認識し、新たな姿のツインスウィーテス・クロウタイプになる。一方、美姫は亡き祖母である琴姫がホロテイルジュの戦士だという事実に近付く。そして琴姫からペリドットの指輪を貰うはずだったことを思い出すのだった。
「桃井、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
「何だ?」
ある日、美姫は洋館で桃井剣二にふと尋ねる。
「ペリドットの指輪ってホロテイルジュにある?」
「…は?」
剣二は美姫の言葉が理解できなかった。
「…もしかして、ペリドットを知らない?」
「何だそのペリドットというのは?」
「嘘でしょ…?」
美姫はペリドットを知らない剣二に呆れてしまう。
「ペリドットっていうのは黄緑色の宝石で、八月の誕生石って言われてるの。」
「そんなものがあるのか。」
「呆れた…。」
美姫は少し怒りを込めながらペリドットの説明をするが、知らなかったことを何とも思わない剣二に呆れてしまう。そんな中、夜衣魚と林檎が洋館を訪れる。
「美姫さ~ん、おはようございます!」
「おはようございます。」
夜衣魚が相変わらず元気に挨拶し、林檎は冷静に挨拶する。
「おはよう、二人共。」
美姫は二人に挨拶を返す。そして美姫は二人にもペリドットの指輪の話をする。
「そうだ、この前お祖母ちゃんからペリドットの指輪をあげるって言われる夢を見たんだよね。」
「ペリドット?」
「私達の中には持ってる人いませんよね?」
夜衣魚と林檎は今まで聞かなかったペリドットの言葉に首を傾げる。
「そうなの。もしかしたらホロテイルジュの残り三人が持っているのかなと思ったんだけど、桃井の奴ペリドットを知らなくてさ。」
「え?」
「剣二さん、それはないですよ~。」
夜衣魚と林檎もペリドットを知らない剣二に引いてしまう。
「そんなに悪いことなのか?」
剣二は責められることに納得が行かなかった。そしてそこに浦賀輝弓も現れる。
「剣二、何かしでかした訳?」
輝弓は剣二を嘲笑うかのように話し掛ける。
「俺がペリドットを知らないことを美姫達が責めて来てな。」
「何、剣二ってペリドットも知らないのかよ。常識だよ?ですよね、美姫さん。」
「うん、まあね。」
輝弓も剣二がペリドットを知らないことを責める。しかし輝弓は段々表情が引きつって来る。
「あの、良いですよねペリドット。」
「うん、ペリドットは確かに綺麗だけど…。」
美姫は輝弓の様子のおかしさに違和感を覚える。
「そう、綺麗ですよね~。それでいて、あの、美味しいし。」
「美味しい?」
「ペリドットが?」
美姫、夜衣魚、林檎の三人は輝弓がペリドットを美味しいと言ったことに驚く。
「いや、美味しいんじゃなくて、その…、お、面白いですよね。」
「面白い?」
「ペリドットが何か芸でもするの?」
今度はペリドットを面白いと言う輝弓に美姫達は更に困惑する。
「いや、面白いじゃなくて、あの…。」
「輝弓、お前も知らないだろ。」
剣二は輝弓もペリドットを知らないと感じていた。
「そんな訳ないだろ!」
輝弓は焦るように剣二の言葉を否定する。するとそこに金山依斧が現れる。
「皆さん、どうしたんですか?」
依斧は皆が口論しているように感じ、尋ねる。
「依斧~、剣二がペリドットを知らないんだってさ。」
輝弓は剣二だけがペリドットを知らなかったと話す。
「何ですか?ペリドットって。」
「まさか、依斧も知らない訳~?」
輝弓は依斧もペリドットを知らないことを責め立てる。
「それじゃあ美姫さん、依斧にもペリドットの説明をお願いします。」
「うん、ペリドットというのは黄緑色の宝石のこと。もしかしたらペリドットの指輪を例のホロテイルジュ残り三人が持っているんじゃないかなと思って。」
「なるほど、心当たりのある宝石という訳ですか。」
「宝石だったんだ…。」
「やっぱり知らなかっただろ。」
依斧は美姫からペリドットの説明を受けるが、輝弓も初めて聞いたような反応をしているのを見て剣二は責め立てる。そして夜衣魚は指輪について美姫に尋ねる。
「それにしても、美姫さんのお祖母さんがペリドットの指輪をあげようとしていたということは、やっぱり美姫さんを戦士にしようとしたということなんでしょうか?」
「もしかしたらそうなのかも、あまり信じたくないけど。」
美姫は祖母の琴姫が自身をペリドットの戦士にしようとしていたのではないかと考えていた。
「ねぇ桃井、私のお祖母ちゃんがホロテイルジュの戦士じゃないかって話になってるんだけど、何か知らない?」
美姫はふと祖母のことを剣二に尋ねる。
「い、いや、し、知らないぞ。」
「そ、そうだよな剣二。俺達は何も知らない、なぁ依斧。」
「そ、そうだな。俺達は何も知らない。」
剣二、輝弓、依斧の三人は慌てて白を切る。三人は美姫の祖母の琴姫がホロテイルジュの創設者であるということを未だ秘密にしていた。
「でも、例の残り三人の内の誰かがペリドットの指輪を持っているよね?」
「いずれにしろ、残り三人が美姫さんのお祖母さんのことを知っているよね。」
夜衣魚と林檎はホロテイルジュの残り三人が秘密を持っていると確信する。そして美姫はある提案をする。
「桃井、残り三人に会わせてくれない?」
「無理だな。」
美姫はホロテイルジュの残り三人に会うことを決めるが、剣二はそれを断る。
「何で?」
「残り三人がいる空間に繋がる扉は、今鍵が掛かっている。」
「じゃあ、今は会えないってこと?」
剣二は扉の鍵が掛かっている事実を美姫に告げる。これによって、皆はこれ以上情報を集めることができなくなってしまうのだった。
「まあいいか、残り三人もダークストーリーズとの戦いが佳境に入れば会えるでしょ。」
「そうですね。」
皆は残り三人にもいずれ会えると楽観視し、解散するのだった。
一方その頃、高校生のメンバーの三浦竹月は新たな力を引き出すべく高校にあるトランポリン部の練習に参加していた。
「三浦さん、中々筋が良くなってきたね。」
「ありがとうございます、部長さん。」
竹月の上達を褒めているのはトランポリン部の部長、中須飛雄。彼はトランポリン部の主力選手でもあった。
「それでは、私はこの辺で失礼致します。」
「うん、お疲れ様。」
そう言って竹月は体育館を出る。竹月の姿が見えなくなるとトランポリン部の部員達はひそひそと話を始める。
「ねぇねぇ、三浦さんってかなり上達が早くない?」
「もう正式に入部すれば良いのにね。」
「ていうかもう中須部長より上手くない?」
ひそひそ話に花が咲く部員達を飛雄は一喝する。
「おい、お前らはもっと練習しろ。」
「「「は~い。」」」
部員達は気だるそうに返事をすると、練習に戻る。
「三浦さん、歯痒いな…。」
飛雄は竹月が部員の誰よりも上達することと正式に入部しないことで複雑な心境だった。
竹月が制服に着替え学校を出ると校門の前をアラモードがパフェを食べながら通り掛かっていた。竹月はアラモードに話し掛ける。
「アラモードさん。」
「竹月ちゃん、こんな時間まで学校?」
「はい、新しい力を引き出すためにトランポリン部で練習しておりました。」
「ああ、前に言っていた奴ね。」
アラモードと竹月は他愛のない会話を交わす。
「アラモードさんはこれからパフェですか?」
「まあね、竹月ちゃんも来る。」
「はい、お供させて頂きます。」
そして二人はパフェを食べにスイーツショップを食べに行くのだった。
スイーツショップでパフェを食べながら、竹月はアラモードに新たな力について尋ねる。
「どうしてアラモードさんは新しい力を引き出したのですか?」
「何でだろう?別に新しい力のことなんて考えてなかったのになぁ…。」
アラモード自身も新たな力を引き出した理由を特にわかっていなかった。そして竹月は、あることを仮定する。
「やはり、想いの強さなのでしょうか?」
「想いの強さ?」
竹月は、新たな力を引き出すために必要なのは想いの強さではないかと考えていた。
「はい。夜衣魚さんは美姫さんを支えたい想いでフロートタイプに、林檎さんは毒に侵された美姫さんのお姉さんを救いたい想いでスネークタイプに、そしてアラモードさんはホロテイルジュの皆さんを仲間として守りたいという想いでクロウタイプになりました。振り返れば美姫さんも、剣二さんやホロテイルジュのことを再び信じようとした時にワイルドタイプになりました。」
「そう言われれば、そうかも…。」
竹月はこれまで皆が新たな力を引き出した時のことを思い出し、全てが想いの強さに起因するものだと考える。それを聞いたアラモードもなんとなく納得する。
「私も、皆さんのお役に立ちたいという想いが強ければ新しい力を引き出せるのでしょうか?」
「どうだろうね…。」
アラモードも新たな力を引き出す条件について、確証は得られなかった。少し雰囲気が沈んだ時、竹月はふと話題を変える。
「そう言えば、アラモードさんってお付き合いしている方はいらっしゃるのですか?」
「ん?別にいないけど…。」
アラモードは突然の竹月の質問に少し困惑するが、特に気にすることもなく答える。
「それなら良かったです。」
アラモードの言葉に竹月は少し笑みを見せながらそう言う。その様子に違和感を覚えるアラモード。そして二人は解散するのだった。
異世界に佇む城ではダークストーリーズがホロテイルジュに危機感を覚えていた。
「まさか、ウィッチ・シスターズまでもがやられるとはな…。」
パンドラスはウィッチ・シスターズがホロテイルジュに敗れたことを受けて焦っていた。
「あらあら、お困りのようですねパンドラス。」
「スーターか。」
頭を抱えるパンドラスの元に、スーターが現れる。
「今度は私にお任せ下さい。必ず成果を挙げて来ますよ。」
スーターは意気揚々とパンドラスに言うが、パンドラスはその言葉が信じられなくなっていた。
「お前が今更何かできる訳でもないだろ。」
パンドラスはスーターが人間界に赴いても無駄だと話すが、そこに荘厳で重厚な女性の声が聞こえる。
「行くのだスーター、人間界を支配するのだ。」
「はい、仰せのままに。」
スーターはその声に従い人間界へと赴く。
「まさか、あのお方が現れるとはな…。」
パンドラスは突然聞こえたその声に衝撃を受けるのだった。
明くる日、林檎は小学生のメンバーの赤園風布花の元を訪れる。インターホンを押すと母親が出迎える。
「あら、風布花のボランティアの方。」
「あの、風布花ちゃんはいますか?」
林檎は風布花の母親に風布花の所在を尋ねる。
「ええ、いますよ。どうぞ。」
風布花の母親は林檎を快く風布花の元を案内する。
「風布花、ボランティアの方が来てくれたよ。」
部屋にいた風布花はその母親からの言葉で目の色を変える。
「まさか、美姫さん⁉」
風布花は美姫が来たのかと思ってウキウキしながら扉を開けるが、そこにいたのが林檎だとわかると途端に落ち込んでしまう。
「あ、林檎さん…。」
「ごめんね、風布花ちゃん…。」
林檎は急に落ち込んだ風布花を見て申し訳なく感じてしまう。
「こら風布花、せっかくお友達が来てくれたんだからムスッとしないの。」
母親は落ち込む風布花を叱る。
「いえお母さん、お構いなく。暫く風布花ちゃんと二人だけにさせて頂けますか?」
「はい、後でお菓子を持って来ます。」
風布花の母親はそう言って二人の元を後にする。そして二人きりになった林檎と風布花の間には険悪な雰囲気が漂っていた。
「あのね、風布花ちゃん…。」
「林檎さん、また美姫さんを諦めろって言うんですか?」
風布花は林檎を睨み付けながら言う。風布花は林檎から美姫を無理にデートに誘ったりキスを迫るようなことを控えるように言われ、更に美姫が自身にキスをしたのはあくまで好意ではないことを知ってから落ち込んでいたのだ。
「違うよ風布花ちゃん、別に人を好きになるのは構わない。でも付き合い方を考えないと美姫さんを傷つけるだけだって言いたいの。」
「そうですよね、別に美姫さんは私のことなんて好きじゃないですから。」
「そんな訳ないじゃん。美姫さんは風布花ちゃんのことを嫌いな訳ないし、大事に思ってる。でも美姫さんの気持ちを考えずに関係を迫るようなことをしてもダメってこと。」
林檎はなんとか風布花に言い聞かせようとしても風布花は聞く耳を持たない。
「どうしよう…。」
林檎は話を聞いてくれない風布花に頭を悩ませる。
「もう帰って下さい、林檎さん。」
「うん、わかった。また来るね。」
林檎はそう言って風布花の部屋を出ようとする。すると丁度お菓子を持って来た風布花の母親とすれ違う。
「あら、もうお帰り?お菓子を持って来ましたのに。」
「すみません、お構いなく。」
林檎はそう言って風布花の元を後にする。風布花の母親は心配になって風布花に尋ねる。
「風布花、お友達帰っちゃったけど…。」
「いいの、別に。」
「喧嘩したの?お友達は大事にしないとダメよ。」
母親は風布花が林檎と喧嘩したと思って注意するが、風布花は聞く耳を持たずベッドに籠ってしまうのだった。
一方、竹月は休日のトランポリン部の練習に参加していた。
「また腕を上げたね、三浦さん。」
「ありがとうございます。それではこれにて失礼致します。」
竹月はまた部長の飛雄から褒められ、嬉しくなる。しかし竹月が体育館を出ると、飛雄の表情はまた曇ってしまう。
「はぁ…。」
溜め息を吐いた飛雄は、そのまま練習を終えると学校を後にするのだった。
飛雄の帰り道は足取りが重たかった。飛雄は未だに正式な部員ではない竹月がどんどん上達する現実に複雑な気持ちでいっぱいだった。そんな飛雄の元に、スーターが現れる。
「やぁやぁ、随分と物憂げな表情を浮かべていますね。」
「誰だ?…って、怪物⁉」
飛雄はスーターの姿に驚いてしまう。しかしそんなことを気にせずスーターは話し掛ける。
「君、何か不満があるのではないですか?」
「不満?あ、あるにはあるけど…。」
「それは興味深いですねぇ、是非ともお聞かせ下さい。」
スーターは詰め寄るように飛雄に尋ねる。飛雄はスーターの圧に戸惑うが、なんとか答える。
「実は、俺が所属しているトランポリン部の練習に参加している人がどんどん上達しているんだけど、入部してくれなくて…。」
「なるほど。私はその方が何故入部しないのに練習に参加するのか、その理由を知っていますよ。」
スーターは不気味に微笑みながら答える。スーターは竹月が新たな力を引き出すためにトランポリン部の練習に参加していることを既に調査済みだった。
「彼女は自分の才能に驕るために練習に参加しているのです。あなた達部員を嘲笑ってね。」
「そんな、三浦さんが…。」
飛雄はスーターの言葉に、竹月への恨みが芽生え始める。
「いいですねぇ、中々悪意が熟していますよ。」
スーターは笑みを浮かべ、飛雄の頭に手を翳す。すると黒いオーラが飛雄を覆う。
「出でよ、マリス。」
スーターがそう言うと飛雄を覆った黒いオーラからトランポリン選手を模したようなマリスが現れる。マリスを産み出した飛雄は気を失ってしまう。
「ふん、この程度の悪意か。この男はもう用済みだな。」
スーターはそう言うと飛雄を道端に放る。そしてマリスを連れ街に繰り出すのだった。
休日に街を歩く美姫。すると美姫は人々の悲鳴を聞く。
「きゃぁぁ!」
「まさか、ダークストーリーズ?」
悲鳴を聞いた美姫がその方向へ急ぐと、スーターと暴れ回るマリスがいた。
「スーター、また悪さをしている訳⁉」
「あらあら、誰かと思えばホロテイルジュじゃありませんか。」
高らかに笑うスーターを睨み付け、美姫は本を開く。
「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」
美姫がそう叫ぶと空が暗くなり、おとめ座が現れる。そして空から声が聞こえる。
「Miracle Force!」
「来て!」
美姫が空に叫ぶとおとめ座の最輝星が光を放ち、ダイヤモンドの指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、美姫の体を包む。やがて美姫の体は光を放ち、シンデレーザーへとその姿を変える。
「シンデレーザー!」
シンデレーザーは名乗ると、スーターとマリスに立ち向かう。
「美姫!」
シンデレーザーが戦っているところに剣二も駆けつけ、急いで本を開く。
「しし座!ルビー!桃太郎!」
剣二はそう叫んでキルビーレオンになり、シンデレーザーに加勢する。
「大丈夫か?」
「全然平気。」
キルビーレオンとシンデレーザーは態勢を整え、再びスーターとマリスに挑むのだった。
剣二から連絡を受け、戦いの場へと向かう竹月。すると竹月は道端に倒れ込む飛雄を見つける。
「部長さん⁉」
竹月は慌てて飛雄の元に駆け寄る。
「部長さん!起きて下さい!」
竹月は飛雄に叫び掛け、飛雄はなんとか目を覚ます。
「ん、三浦さん…?」
飛雄は目を覚まし、竹月の顔を見るとスーターの言葉を思い出す。
「三浦さん、君はトランポリン部を嘲笑うために練習に参加していたのか?」
「え、何のことですか?」
飛雄は竹月にスーターが言っていたことを尋ねるが、竹月にはその言葉が理解できなかった。
「怪物が言っていたんだ。君が自分の才能を驕り、俺達トランポリン部を嘲笑うために練習に参加していたって。」
「そんな訳ありません。私にはやるべきことがあって、そのためにはジャンプ力を鍛えなければならないと想い練習に参加させて頂いたのです。」
「そうなのか…?」
竹月はスーターが言っていたことが嘘だと弁解する。飛雄は疑ってしまうが、竹月の目が嘘を吐いているとは思えなかった。
「…いや、一瞬でも君を疑ってすまなかった。三浦さんが人を馬鹿にしない人だとわかっている。」
「はい。」
竹月は疑いが晴れたと感じると嬉しくなる。
「さあ、ここは危険です。早くお帰り下さい。」
「わかった。」
飛雄は竹月に言われるがまま立ち上がり、家へと向かう。その途中、飛雄は竹月の方を振り返る。
「三浦さん、頑張ってくれよ。」
飛雄は竹月を励ます。竹月はそれが嬉しかった。
「はい、今まで練習に参加させてくれてありがとうございました。」
竹月はそう返し、戦いの場へ急ぐ。すると竹月の前にアラモードが現れる。
「アラモードさん。」
「竹月ちゃん、友達を助けに行こう。」
「はい。」
そしてアラモードと竹月は共に向かうのだった。
シンデレーザーとキルビーレオンはスーターとマリスに苦戦していた。
「くそ、こんな日に出られるメンバーが限られているとはな…。」
キルビーレオンは戦いに出られるメンバーが少ないことに歯痒さを感じる。
「そうだね…。」
それにはシンデレーザーも同意する。するとそこにアラモードと竹月が駆けつける。
「ふたご座!オパール!ヘンゼルとグレーテル!」
「おひつじ座!ガーネット!かぐや姫!」
アラモードと竹月はそう言うとそれぞれツインスウィーテスとフルムーンハイヤーになる。
「ツインスウィーテス!」
「フルムーンハイヤー!」
二人は名乗るとスーターとマリスに立ち向かう。
「ふたご座!」
ツインスウィーテスはふたご座の力でピンクとライトブルーの二人に分身する。そして二人はツインデスナイフを使い、華麗な連携でマリスを攻め立てる。
「ツインデススラッシュ!」
そして同時にマリスを切り裂き、マリスは消滅してしまう。
一方のフルムーンハイヤーはスーターの周りに満月を散りばめ、四方八方に飛び回る。
「はぁぁ!」
そしてスーターを次々と攻め立てる。
「くそっ、またこの技か…。」
スーターはフルムーンハイヤーに翻弄されてしまう。そしてフルムーンハイヤーはスーターを睨み付け、飛雄のことを尋ねる。
「スーター、あなたが部長さんを騙してマリスを産み出させたのですね。」
「ああそうですよ!それの何が悪いのですか⁉」
スーターは開き直るように答える。そしてフルムーンハイヤーは怒りが増す。
「あなたは、ここで倒します!」
フルムーンハイヤーが怒りを込めてそう言うと、空が暗くなりうさぎ座が現れる。
「これって…。」
フルムーンハイヤーは突然現れたうさぎ座に驚く。
「竹月ちゃん、あれうさぎ座!」
「承知致しました。」
フルムーンハイヤーはシンデレーザーの言葉で空に浮かび上がっているのがうさぎ座だとわかるとガーネットの指輪を嵌めた左手を挙げる。
「うさぎ座!」
フルムーンハイヤーが空にそう叫ぶとうさぎ座の最輝星が光を放ち、ガーネットの指輪に届く。そしてフルムーンハイヤーはその姿を変える。
その戦士は赤い十二単にウサギを思わせる白いラインが刻まれ、頭にはウサギの耳のような物が生えていた。
「フルムーンハイヤー・ジャンパータイプ!」
新たな姿となったフルムーンハイヤーはジャンパータイプと名乗る。そしてフルムーンハイヤーは空高く跳び上がる。
「はぁぁ!」
そのジャンプは今までとは比べ物にならないくらい高く、皆が見上げても見えなくなる程だった。
「高いな…。」
「凄いジャンプ力…。」
皆はその高いジャンプに唖然としてしまう。
「一気に止めです!」
フルムーンハイヤーはそう言うとスーターに向かって一気に急降下する。
「必殺、ラビット急降下打ち!」
フルムーンハイヤーはスーターの頭を目掛けて拳を振るう。
「そんな、まさか…。」
スーターはフルムーンハイヤーの攻撃を受け、消滅してしまう。
「ふぅ…。」
スーターを倒したフルムーンハイヤーは竹月の姿に戻る。そして疲れた竹月は倒れそうになってしまう。
「竹月ちゃん!」
そんな竹月をツインスウィーテスから戻ったアラモードが抱きとめる。
「ありがとうございます、アラモードさん。」
「無理し過ぎだよ、新しい力を引き出したばかりなんだから。」
アラモードは竹月を労う。そして美姫と剣二も元に戻り二人の元に歩み寄る。
「よくやったな、竹月。」
「これで五人も新しい力を引き出したわけだよね。」
美姫と剣二も竹月が新たな力を引き出したことを喜ぶ。こうしてホロテイルジュは、どんどん力を付けていくのであった。
後日、竹月は改めて飛雄の元を訪れる。
「すみません部長さん、私の目的は達成されましたのでもう練習には参加致しません。今までありがとうございました。」
「いや、いいんだ。こちらこそ部員達の良い刺激になった、ありがとう。」
竹月を飛雄はお互いに感謝する。そして飛雄は頬を赤らめ、少し言葉を詰まらせながら竹月に言う。
「ところで、話があるんだけど…。」
「申し訳ございません。私は今からお慕いしている人に想いを告げに参りますので、ここで失礼致します。」
「そ、そうなんだ…。」
飛雄は竹月に好意を抱いていたが、竹月に振られ気持ちが沈んでしまうのだった。
洋館ではアラモードが相変わらずパフェを頬張っていた。そんなアラモードの元に竹月が歩み寄り、話し掛ける。
「アラモードさん、またパフェですか?」
「まあね。」
アラモードはいつものように素っ気なく返す。しかし竹月はそれに対し笑みがこぼれる。
「でもアラモードさん、私達のことは甘い物の次に大事なんですよね?」
「そうだけど…。」
アラモードは少し竹月の様子に違和感を覚えながら答える。すると竹月はアラモードの口元にパフェのクリームがついていることに気が付く。
「アラモードさん、クリームがついていますよ。」
竹月はそう言ってクリームを指で拭い取り舐める。それをされたアラモードは驚いてしまう。
「え?」
思わず竹月の方を向いてしまうアラモード。すると竹月が顔を赤らめているのがわかる。
「アラモードさん。私、アラモードさんのことが好きになっちゃいました。」
竹月はそう言ってアラモードにキスをする。
「竹月ちゃん…?」
「私と、付き合って頂けませんか?」
アラモードは驚いてしまうが、竹月の目を見て本気であることを悟る。
「竹月ちゃん。」
「はい。」
「ウチ…、来る?」
「お供させて頂きます。」
アラモードは竹月を家に誘う。そして竹月も誘いに乗り、二人は家に向かうのだった。
アラモードの家に来た二人。その夜、二人は一つのベッドで一緒になっていた。
「竹月ちゃん。」
「アラモードさん。」
二人は恍惚とした表情で見つめ合っていた。
「私、付き合うよ。今までそういう経験なかったし、いい機会かなって。」
「私が、アラモードさんを幸せにします。」
アラモードは竹月の告白を受け、二人はキスを交わす。そして二人は共に一夜を過ごすのだった。




