十.エピローグ
チニは誰も居ない病室で1人考え込んでいた。
見舞いに来た隊員たちの姿の中にスラウとラナンは見えなかった。
グロリオはあまり詳しくは話さなかったが、隊に疑いがかけられていることを2人に知られたくないようだった。
あの2人だって同じ仲間なのに……
――『この間の任務が連絡塔の認可外のものになった以上、俺たちが自分たちの無罪を主張することはできなくなった』
そう断言するグロリオは何だか好きになれなかった。
――『だが、逆に評議会の連中も俺たちが有罪だという確実な証拠を持っていない。つまり、すべきことは1つだ。次の任務、ハイクラスの隊しか引き受けられないレベルのものを俺たちでやろう。難易度が高いものをこなせば、評議会も俺たちの実力を認めざるを得なくなる。無罪を主張できなくても、実力を分からせれば良いんだ』
チニは強く唇を噛んだ。
やってもいない罪を着せられて、腹立たしく思わないなんてことはない。
それでも、任務に失敗は許されないのだ。
天上界の人間は時間軸を超越して存在するが、地上界の人々はそうではない。
歪められた彼らの時間は戻りはしない。
記憶を失ったとしても、天上人が関わったことにより世界は大きく変わってしまう。
「それなのに……」
思わず声が漏れる。
人間の望みを叶える助けをするのが本来の務めであるはずだ。
自分たちの威信を取り戻す為の任務に何の意味があるのだろう?
「僕、嫌だよ……これじゃ、前と一緒じゃないか……」




