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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです  作者: 1010
第5章「勇者と討伐隊」

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第5章 第5話「ナイの声」

夜だった。

ガビは一人、部屋にいた。

窓の外。

王都の灯りが広がっている。

静かだ。

穏やかだ。

なのに——

「……眠れない」

呟く。

疲れているはずだ。

訓練は激しかった。

体は重い。

でも——

目が、覚めている。

(なんでだろう)

天井を見る。

何もない。

ただの石造りの天井。

それでも——

何かが、いる気がする。

気のせいだと思う。

気のせいのはずだ。

「——ガビ」

声が——した。

「っ」

起き上がる。

誰もいない。

部屋の中。

窓の外。

どこにも——

誰もいない。

「……気のせいか」

横になる。

目を閉じる。

「——ガビ」

また聞こえる。

今度は——

もっと近い。

「誰だ」

低く言う。

答えはない。

でも——

声は、続く。

「お前は——正しい」

「お前の正義は——本物だ」

「疑うな」

「信じろ」

「お前のために——世界はある」

その言葉が——

するりと入ってくる。

拒絶できない。

違和感があるはずなのに——

心地よい。

「……誰だ」

もう一度聞く。

「友だ」

「友?」

「お前を——見ている者だ」

「ずっと——そばにいた」

「なぜ」

「お前が——大切だから」

ガビは——

少しだけ考える。

(おかしい)

でも——

(おかしくない気もする)

「魔王を——倒せるか」

声が聞く。

「倒します」

即答だった。

「怖くないか」

「怖くないです」

「なぜ」

「正しいことをしているから」

「そうだ」

声が——

温かくなる。

「正しいことをしている者は——負けない」

「お前は——負けない」

「必ず——勝てる」

「……はい」

ガビが答える。

その声を——

信じている。

誰の声か——

分からないまま。

でも——

信じている。

「——一つだけ」

声が続く。

「なんですか」

「仲間を——信じるな」

ガビが——

わずかに眉を寄せる。

「え?」

「仲間は——裏切る」

「そんなことは——」

「人間は——弱い」

「大切な場面で——逃げる」

「でも——」

「お前一人でいい」

「お前だけが——正しい」

「お前だけが——戦える」

その言葉に——

ガビの中で。

何かが——

かすかに揺れる。

違和感。

小さな、小さな——

違和感。

「……でも」

ガビが言う。

「守りたいものがあって戦う方が——」

「強い気がします」

沈黙。

一瞬だけ——

声が止まる。

「——それは」

少しだけ——

間があった。

「弱さだ」

「依存だ」

「お前には必要ない」

「お前は——一人で十分だ」

その言葉が——

また、するりと入ってくる。

心地よく。

温かく。

「……そうかもしれない」

ガビが呟く。

目が——

重くなる。

眠くなる。

「眠れ」

声が言う。

「明日も——鍛えろ」

「お前の使命のために」

「はい……」

目を閉じる。

意識が——

遠くなる。

その瞬間。

ほんの一瞬だけ。

(この声——)

違和感が——

浮かびかけて。

「——眠れ」

消えた。

完全に。

静寂。

ガビは——

眠った。

穏やかな顔で。

何も疑わずに。

その部屋の中で——

「——順調だ」

ナイの声が——

最後に響く。

「仲間への信頼を——削る」

「孤立させる」

「孤立した駒は——より深く、入れる」

「次は——」

「もっと深く」

灯りが——

一つ、消える。

王都の夜は——

静かだった。

まるで——

何も起きていないように。



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