表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです  作者: 1010
第3章 「変わらない世界」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/63

第5話「整いすぎた世界」

「ここよ」


エルフの長が立ち止まる。


広間のような場所。


木の内側をくり抜いた空間。


静かで、整っている。


「座りなさい」


促されるまま、三人は向かい合う。


セリアは少しだけ緊張していた。


「……久しぶりだね」


小さく言う。


「ええ」


長は頷く。


「変わりはないわ」


その答えに、セリアは少しだけ違和感を覚える。


(……変わり、ない?)


普通なら。


もっと聞くことがあるはずだ。


どこにいたのか。


何をしていたのか。


危険はなかったのか。


なのに——


それがない。


「あなたは」


長の視線がリオに向く。


「何者?」


直球だった。


リオは少しだけ考えて——


「旅人」


と答える。


「嘘ね」


即答だった。


セリアがびくっとする。


だが長は、追及しない。


「まあいいわ」


あっさりと流す。


それもまた、不自然だった。


(……深追いしない?)


リオは観察する。


普通なら、もっと踏み込む。


だがしない。


「一つ聞くわ」


長が言う。


「あなたたち、何をしに来たの?」


「通過」


リオが答える。


「それだけ」


「そう」


頷く。


「なら問題ないわ」


またそれだった。


“問題ない”。


“均衡が保たれている”。


同じ基準。


同じ判断。


(……揃いすぎてる)


リオはわずかに目を細める。


「ねぇ」


セリアが口を開く。


「最近、何か変わったことない?」


長は少し考えて——


「特にないわ」


と答える。


「すべて、安定している」


その言葉に。


リオの中で、何かが繋がる。


(……安定しすぎてる)


普通は。


少しは崩れる。


少しはズレる。


でもここには、それがない。


まるで——


「調整されてるみたい」


リオがぽつりと言う。


セリアが振り向く。


長の目が、わずかに細まる。


「どういう意味かしら」


「そのままの意味」


リオは周囲を見る。


「均衡が、綺麗すぎる」


「それは良いことでは?」


「普通はね」


リオは続ける。


「でもこれは、自然じゃない」


沈黙。


空気が少しだけ変わる。


「……何を言っているのか、分からないわ」


長は言う。


だが——


その声に、ほんのわずかなズレ。


「そう」


リオはそれ以上追わない。


(……知らないのか)


それとも。


(知らされてないだけか)


どちらでもいい。


重要なのは——


(“誰かが触ってる”)


その確信。


セリアが不安そうに見る。


「リオ……」


「大丈夫」


軽く言う。


だが、その目は笑っていない。


「……ここ、少し変」


セリアが小さく言う。


「うん」


リオは頷く。


「やっと分かった」


「何が?」


一瞬の間。


そして——


「この世界」


静かに言う。


「勝手に動いてない」


セリアの息が止まる。


「え……?」


その言葉の意味を、理解しかける。


「全部じゃない」


リオは続ける。


「でも大きい流れは、誰かが決めてる」


長は何も言わない。


ただ、静かに見ている。


「それって……」


セリアの声が震える。


「どういうこと?」


リオは答えない。


答えは、もうすぐ来るから。


(……タイミング的に)


近い。


気配ではない。


もっと別の“予兆”。


「……来る」


小さく呟く。


「え?」


次の瞬間——


風が、止まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ