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この世界にはどうやら魔王が最強でほかにも獣人族エルフ族小人族がいるようです  作者: 1010
第一章

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第2話「違和感のある子供」

「リオー!早く来いよ!」


外から響く声に、リオは本から顔を上げた。


窓の外では、同年代の子供たちが手を振っている。


「……今行く」


本を閉じ、ゆっくりと立ち上がる。


扉を開けると、すぐに一人の少年が駆け寄ってきた。


「また本読んでたのか?好きだなぁ、お前」


「別に。暇だっただけ」


「嘘つけって。あんな難しいの俺ぜんっぜん分かんねぇぞ?」


少年は大げさに頭を抱える。


その様子に、リオはわずかに目を細めた。


(……理解できない、か)


「ねぇリオ、それって何の話なの?」


別の少女が興味津々に覗き込む。


「昔の戦争の記録」


「え、やだ怖い。なんでそんなの読むの?」


「知っておいた方がいいから」


即答だった。


子供たちは顔を見合わせる。


「……やっぱリオ、変だよな」


ぽつりと呟かれる。


だがその声に悪意はない。ただの率直な感想だった。


リオは少しだけ考えてから、言った。


「みんなは、なんで遊ぶの?」


「は?」


「楽しいからに決まってんだろ?」


「なんで楽しいの?」


「なんでって……なんでだ?」


少年は困ったように笑う。


「ほら、みんなで走ったりするとさ、なんかこう……いい感じじゃん」


「いい感じってなんだよ」


「それは……いい感じはいい感じだ!」


周囲がどっと笑う。


その笑い声が、やけに軽やかに響いた。


リオは少しだけ黙り込む。


(理由がない……いや、言語化できないだけか)


「リオは楽しくないのか?」


ふいに問われる。


視線が集まる。


リオは一瞬、答えに詰まった。


(楽しい、という感覚は——)


過去の記憶を探る。


だが出てくるのは、戦いと創造と破壊ばかり。


その中で、“遊び”はなかった。


「……分からない」


正直に答えた。


空気が少しだけ静まる。


だが次の瞬間、


「じゃあ今日わかればいいじゃん!」


少女が笑いながら言った。


「え?」


「鬼ごっこやろ!リオ、絶対弱そうだし!」


「おい失礼だぞそれ!」


また笑いが広がる。


その中心に、自然と自分がいる。


(……分からないな)


けれど。


「……いいよ」


気づけば、そう答えていた。


「よっしゃ!じゃあリオが鬼な!」


「なんでだよ」


「一番足遅そうだから!」


「決めつけだろそれ」


言い返しながらも、リオはわずかに口元を緩めた。


その瞬間。


ぴくり、と指先が震える。


「あ……」


黒く変色した爪が、わずかに覗く。


「どうした?」


「……なんでもない」


すぐに手を握り込む。


見られてはいない。


だが——


(長くはもたないな)


それでも。


「ほら、逃げろよ」


リオは一歩踏み出した。


「10数えるからな」


「ちゃんと数えろよー!」


「途中で来るなよ!」


騒がしい声が広がる。


リオはゆっくり目を閉じた。


(もう少しだけ)


この、理由のない楽しさを。


この、壊れていない時間を。


知ってみるのも悪くない。


「……1」


静かに数え始める。


その声は、どこか柔らかかった。


だが——


その穏やかな時間の裏側で。


確実に、“何か”が目を覚まし始めていた。

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