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追加ダメージ+9999の短剣拾った  作者: 赤戸まと


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76.解毒ポーション


 セイルウ商会での夕食会の次の日、さっそく私はポーションづくりに取り掛かったよ。

 いろんな分野の才能ある人たちと関わって、良い刺激を受けたのかもね。


 意気揚々と向かったのは、白衣のお姉さんのお宅、ではなく、東区の地下水路だ。

 魔泥のストックが切れそうだったんだよ! 仕方ないから、久々にドブさらいすることにしたよ。


 東区のドブさらいの報酬は、西区より安い。でも、こっちの方が採れる魔泥の量は多いんだ。それに将来的に東区に住むかもしれないから、綺麗にしておきたいんだよね。


 ドブさらいをするついでに、魔泥をくすねていく。

 泥をすくって~。お宝探し~。


 おっ、小銭発見! ドブさらい中に見つけたものは、持ち主が不明なものに限り、もらっていいことになってるんだ。もーらい。


 あれっ? この硬貨、見たこと無いや。どこかの外国のお金かな? うーん、この街では使えないだろうね。

 このあたりって、だいたい教会の地下あたりだよね。今度チヴェッテちゃんか神父のおじいちゃんに聞いてみようっと。


 小銭はポケットに入れて、魔泥集めとドブさらいを続けたよ。


 ***


 いい感じに魔泥が集まったけれど、終わったらもう夕方が近い。この東区から白衣のお姉さんの西区に移動する頃には、夜になっちゃうよ。

 今日の所は冒険者ギルドに報告だけして、ポーションづくりは明日だね。


 ドブさらいの報告をして、依頼料の1000ペネをもらう。宿はギルド併設の宿泊所で800ペネだから、今日の稼ぎは200ペネだね、とほほ。


 一晩寝て、さあ今日は解毒ポーション+に挑戦するぞ!

 というわけで、朝から白衣のお姉さんのお宅にやってきたよ。


 二級薬師の仕事場を使えるなんて、もうそれだけで熟練者になった気分だよね。やる気が湧いてくるよ。

 ……となりでじっと見てる白衣のお姉さんがいなかったら、だけどね。


「あのう、お忙しいのでは?」


 興味津々な態度で私の手元を覗き込んでくるお姉さん。


「まあええやん! 休憩中や。お嬢ちゃんのつくるトコ見せてえな」


 解毒ポーションなら見られても問題ないから、いいんだけどね。上級者に見られてると落ち着かないよ。

 なんていってても、どうにもならない。集中してやるしかないよ。


 解毒ポーションの作り方は、初級ポーションとたいして変わらないんだ。

 まずはこの部屋に置かせてもらっている、私の調合道具と霊水を作業台に配置する。カバンから、魔泥とシケクド草を取り出して、準備オーケーだ。


「へえ。水にはこだわるんだね。えらい!」


 白衣のお姉さんや他の人は、どうしてるんだろう。ただ煮沸しただけの水だと、かなり品質が落ちるはずだ。

 それでも使ってる人はいるだろうけど、白衣のお姉さんクラスだとそんなことはないだろう。


 聞いてみたら、なんと瓶や水は、錬金術師ギルドから仕入れてるんだって。

 なるほどね、そういう繋がりがあるんだ。錬金術師のお姉さんもそんなことを言っていたね。

 錬金術なら、霊水に近い水くらい作れるんだろう。神聖魔法が使えなくてもね。


 霊水だと一本60ペネだけど、量を考えたらちょっと割高だよね。あと、あの教会のことはあまり知られてないみたいだし、使ってる薬師は他にいないらしい。

 錬金水の値段を聞いたら、霊水を買うより安い。


 白衣のお姉さんは、私が持ってきた霊水をしげしげと観察してる。どうやら気に入ったみたい?

 教会の場所を私から聞き出して、すぐに買いに出ていったよ。教会は東区で、この西区からは遠いのに、さすがの行動力だね。


 錬金水も、置いてあるのを見せてもらった。確かに良さそうだけど、まあ私も今まで通り、霊水を使い続けるかな。


 ではまず、魔泥と霊水をかけ合わせて、魔力水を作ろう!

 調合ナベに霊水を入れて、火にかける。わ、ここの魔導コンロすごいや。火力をすごく細かく調整できる! しかも魔力量を数値化して計測できるようだ。


 もしかして、これも錬金術の産物だろうか、便利だね。でも高いんだろうなあ。

 おかげでいい感じの魔力水ができたぞ。


 魔力量が減衰しないように弱火にして、シケクド草をすりつぶそう。さあゴーレムの出番だ。


 カバンの中から、スリングショットの弾にも使ってる石の玉を取り出した。これがちょうどいいんだ。小さすぎたらゴーレムにならないし、これ以上大きくても、出てくるゴーレムの大きさは変わらないからね。

 そして今回からは追加でこれも出すよ。ホワイトゴーレムの核だ。ふたつを並べて呪文を唱える。


「クリエイトゴーレム!」


 ちっちゃい石ゴーレムちゃんが登場! 今までよりすこし大きくなったよ。私のひざ下くらいの大きさだね。以前より少しは頼もしくなったかも?


 乾燥させたシケクド草を、すり鉢に入れて石ゴーレムに渡す。

 シケクド草はルオナ草よりも少しだけ厚みがあるから、ちょっと力がいるんだよ。だけどパワーアップした石ゴーレムなら問題なさそうだ。


 シケクド草の生臭い匂いは、乾燥させるときに水分と一緒に飛ばしたから、もう臭くないよ。


 さらに、ちょっとしたコツがあって、すり鉢に少しだけ初級ポーションを垂らすんだ。そうすることで、すり鉢の中身がペースト状になって、完成する解毒ポーションの品質も向上するんだよ。


 すりこぎを石ゴーレムに任せて、魔力水の様子を確認していたら、白衣のお姉さんが帰ってきたようだ。


「わお! またなんやオモロイモンがおるで!」


 あっ、家主に石ゴーレムを使っていいか、まだ確認してなかったんだ。

 白衣のお姉さんに説明すると、興味深そうに石ゴーレムを触りまわって、許可してくれたよ。


 いい感じにペースト状になったシケクド草を、魔力水のナベに投入!


 うへへえ、うへへえ……。


 白衣のお姉さんと一緒になって、ナベの変化を堪能したよ。

 解毒ポーションの完成だ!


 だけどやっぱり簡単にはいかないね。+のない普通のポーションだ。

 まあそうだよね、これは長期戦になりそうだ。



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