第19話 幕間 勝ち筋
文書名、居室三〇二・■■録(■■)。■■者■■。場■■■。■■■■。
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居室三〇二には、日課がある。
六時、カーテンを開ける。カーテンの向こうに窓はもうないが、開ける。開けなければ、朝が来ないので。
七時、湯呑みは三つ。全部同じ大きさ。お茶は二つで、余る一つは共犯者の分だ。
九時、床を拭く。廊下は、任されていない。
条件を確認する。
『時期は出■前。事前に訓練■■■。搭乗は■■■。■■■の生存は必須。■回からの■■を。』
まずは推論を行う。
勝ち筋の推理だ。
問いは、一つ。どうすれば、居続けられるか。
優秀であること、これは絶対だ。どうやっても外せない。
一。正面から行く。──どこにも方法が見当たらない。
二。逃げる。──どこかで捕まるだけだ。
三。隠れる。──どこに? 分からない。
勝ち筋の推理、問いを見直す、居続けること、それがルールだ。要るのは勝ちではない、残ればいいのだ。
我ながら、良い結論だ。共犯者に話したい。
お茶をいれかえて、ゆっくり考えよう。何度も、何度も、深く、深く。急ぐと、間違える。間違えると消える、消される、無駄になる。
落ち着くには、いつもの通りにすることだ。六時、カーテン。七時、お茶。九時、床。いつもの、ありのままの姿で、いること。
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もしも、存在したら。もしも、壊れてなければ。もしも、ヤツが居なければ……。
もしもだけを、続けて読む。
もしも、もしも、もしも。
部屋の隅には、電話がある。古い型だが、九時にここも拭く。埃は溜まっていない。受話器があり、番号を押す釦があり、留守番の赤い灯がある。赤い灯の中に声があったことはない。
私にはまだ関係のない話だ。声を数えるのはこれからだ。
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つぎに伝え方を考える。
答えを書いても、誰も信じない。他の誰も、答えを書かないのだから。
だから手がかりは全部残しておく。答えを見つけるのに必要なものが分からないからだ。
ありのままを見せ、答えだけ抜く。きっとこれが正解だ。
読んで、何をするか、何になるかは、読んだ者が決める。
奥の奥まで、読むこと。注文は、それだけだ。
大きな声では、伝えない。大きな声は、大きな耳に届くので。小さく、静かに、いつもの通りに。
あとは、どう伝えるかだ。
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カーテンを閉める。夜になった。窓はもうないが、閉める。閉めなければ、夜が来ないので。
明日も、日課がある。




