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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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道づくり

「よし、行くか」


 背中には背負子とノクジルアックスを担ぎ、腰にはマジックバッグのウエストポーチや鉈、解体用ナイフを下げる。

 これまで何度も森へ入ってきた木こり姿だが、これが今の俺にできる精一杯の装備だった。

 一応、火狐の皮を使っての簡単な防具も身に纏っているが、防御性能という面でいえばブレナンたちには遠く及ばない。


 俺も金属製の防具でも用意したほうがいいのかなとは考えたのだけど、やめておいた。

 そもそも、金属装備は金がかかるうえに、まだ八歳の俺はこれから体の大きさが成長とともに大きく変わるはずだ。

 オーダーメイドの一品物の鎧はさすがに何度も用意するのは難しい。

 さらにいえば、基本的に森の中では内気功・迷彩を使って隠れながら行動する俺のスタイルだと、金属音を立てる鎧は、俺にはあまり向いていないと思った。


 なので、俺の恰好は斧と背負子を除けば、索敵担当のバードに近いものになっていると言えるだろう。

 バードのことを思い出すと、俺も弓でも使えるようになればさらに索敵要員になれそうだとも思ったけれど、弓は高い技術が求められる。

 すぐにでも魔物との戦闘が起こる今の環境では、練習している暇もないだろう。


 というわけで、俺は木こりの恰好をして、森にある注連縄を越えていく。

 そして、すぐに近くの藪を伐り始めた。


 ブレナンたちが撤退し、探索者たちも徐々に姿を消し始めていたが、まだ、探索者が完全にゼロになったわけではない。

 それには理由があった。

 そもそもの話だが、情報の伝達には時間がかかるものだからだ。

 携帯電話やインターネットなんて便利なものがないので、基本的に情報というのは人の口から口に広がっていく。

 そのため、ブレナンが魔王種を発見したこと、それがリッチであること、ブレナンが魔王種討伐を諦めて撤退したことなどの情報はそれぞれが時間をかけて広がることになる。

 つまりは、これまでと同様によそからこのケイオス村に魔物退治にやってくる探索者たちはまだまだいて、情報を知らないまま、この村まで来る探索者も少なくなかった。


 それ以外にも、すでにいる探索者たちも一斉に引き上げるわけではなかった。

 この地の魔境にいる魔王種が危険なものであるとしても、すぐにその危機が差し迫っているわけではない。

 俺やケイオス村の村民たちがこの地に残ったように、まだしばらくは大丈夫だろう、という根拠のない理由でここに留まる探索者もいないわけでもないのだ。

 自分たちなら危険を察知した時点で逃げられるから、それまではここで魔物を狩って稼げるだけ稼ごうと考えているようだ。


 俺も人のことは言えないのだけれど、そういう命知らずの探索者がこの魔境の森にはまだそれなりにいた。

 そして、数は減るかもしれないけれど、しばらくの間はここに来る探索者というのもいるはずだ。

 ブレナンたち以上に実力と装備が備わっていて、魔王種すらも倒せる探索者がその中に含まれている可能性は低いだろうけれど、彼らすらいなければケイオス村の滅びはさらに早まることは必至だ。


 ゆえに、彼ら探索者が少しでも活動しやすい環境を整えよう。

 俺はそう考えて藪を払っていく。


 ブレナンたちとの探索中に俺はトレントを見つける係で、そのほかは野草や薬草などを勝手気ままに採取していただけだ。

 が、実はその間に地図も描いていたのだ。

 マッピングとも言えるあれだ。


 これまでは村にある魔物避けの効果範囲から人が出なかったために、注連縄の向こうに広がる魔境の森は人の立ち入らない場所であり、ゆえに道などなく、地図もまともになかった。

 が、ブレナンたちと探索して、その間に歩いた場所を地図に描いたことで得た情報がある。

 それは、水場の位置だ。


 ブレナンパーティーは運び屋ギーグが魔術で水を出すことができたので、最悪水が無くても活動を続けることができた。

 が、魔術はそう気軽に使えるものではない。

 いざというときの備えとして魔術を使うことを考えて、気軽にポンポンと使うことはなかった。

 それは、荷物持ちのギーグであってもそうだった。


 そのため、ブレナンたちは自分たちで探索していた時にも水場を探しながら活動していたし、俺も歩きながら水のありそうな位置は常に気にかけていた。

 俺は、目に闘気を集めることで黒い気が多いところ、つまり水がある場所を把握していたので、それらは逐一地図に記していたのだ。


 というわけで、俺がした最初の魔境探索の活動は、注連縄を越えてから水場に向かって道を作ることだった。

 道路のように整備された道ではないが、藪を払い、木の枝を落とし、さらには必要であれば木すらも伐ることで、水場までの獣道のような細い道を作っていく。

 その途中に、音を聞きつけて近づいてきた小型の魔物なども倒しながら、俺は道づくりを続けていったのだった。

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― 新着の感想 ―
逃げ道を作るのかと思ったら 攻め口を整備してて草
引き際を見誤ってる様な冒険者ばかりじゃなくて、ガチの一攫千金を狙ってるのも残ってるだろうけど それでもそういった冒険者でリッチに対抗できるかは怪しいよなぁ…。 生き残るためには、領主様とかが軍を派遣し…
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