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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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パーティーを見て

 初めて探索者パーティーとともに魔境を探索したことで、今まで知らなかったことをいくつも学べた。

 索敵担当のバードが行う周囲の警戒の仕方だったり、武器を持った探索者たちの連携のやり方だったりというのは、俺が今まで一人で森で活動していただけでは知りえない情報だ。

 一度見ただけで自分もできるようになるとは思わないが、それでも参考になるし、真似してみようと思うことがいくつもあり、勉強になる。


 そんななかでも、気になったことがある。

 それは、パーティー内での分配についてだ。

 今はまだ探索中であるから、この探索で得た魔物などの素材の売り上げなどとは違う分配。

 それは、戦闘における経験値の分け方、とでも言えばいいのだろうか。


 基本的にはこの世界は別にゲームのように敵を倒せば経験値が得られてレベルアップするなんてことはない。

 あくまで自身の経験を積み重ね、それを次へ活かして成長していくだけだ。

 戦闘を繰り返すことで、急激な肉体の変化というのはない。

 が、例外がある。

 それは魔術についてだ。


 魔術とは、魔物が使う魔法を人間でも扱えるように作り替えた技術である。

 魔法が使えない人間が似たような現象を起こせるようにその人の体に魔術刻印を刻む必要がある。

 その系統の魔術を使う素養を持ち、魔術刻印をその身に刻んだ人間がようやく魔術を使うことができるわけだ。


 だが、魔術の素養があって、魔術刻印を持っているからといって、すぐに強力な魔術を使うことができるかというとそうではない。

 魔術刻印は経験を積み、扱いに習熟しなければ強力な魔術は発動できない。

 例えば、火の魔術であれば、最初はノクジル爺さんのように鍛冶場の火の火力調節のようなものしか使えない。

 それでも俺からすれば十分にすごいものではあるのだけれど、魔術を使い込んで魔術刻印を育てていくことで、火力の調節だけではなく、例えば火のないところにマッチやライターのような小さな火を熾すこともできるようになる。

 さらに成長すれば、より強い火を出すことができ、ファイアーボールのような遠くにいる相手に放つ攻撃魔術も使えるようになるようだ。


 魔術師は、魔術を使えるだけでは十分ではない。

 日々、魔術を使い込んで魔術刻印を育てなければならない。

 が、なんの危険のない日常生活で魔術を使っているだけよりも、効率的に魔術師としての技量を高める方法がある。

 それが、魔物相手に戦うことだ。


 魔物との戦闘を重ねることで、魔術刻印は成長すると昔から知られているそうだ。

 さらに、俺のマジックバッグと同様に魔物から得た魔石を使って魔術刻印を強化することも可能なのだとか。

 そう、魔石だ。

 より強い魔術を使えるようになるためには魔石が必要になってくるというわけだ。


 このブレナンパーティーでは魔術を使える人間は魔術師レイラや運び屋ギーグだけではない。

 実は、パーティーメンバー全員が、ある程度の魔術を扱えるらしい。

 といっても、索敵のバードや盾役のドランなどはあまり強力なものは使うことはできないとのこと。

 だが、貴族家の一員でもあるこのパーティーのリーダーでもあるブレナンも実は攻撃魔術が使える。


 というわけで、ここでパーティー内の格差が生じることとなる。

 魔物を倒して得られた魔石は、主にブレナンやレイラが使うことになる。

 強力な魔術を発動できる彼らを強化したほうが、より探索が安全かつ効率的に行えるようになるからだ。

 そうなると、バードやドランなどもそうだが、運び屋でしかないギーグにはほとんど魔石を使って魔術刻印を強化する機会は訪れることが無い。

 すると、探索を繰り返すほど魔術の技量には差が生まれることになる。


 今日、初めて探索者のパーティーを見ることとなった俺からすると、どこか不公平に感じる配分だと思う。

 だが、これはこのパーティーだけの問題ではなく、一般的な光景なのだそうだ。

 基本的には魔術師を鍛えるために魔石は使われるし、あるいは貴族向けに魔石はパーティー内で使わずに売られることも多い。

 歴史ある名家である貴族家の人間は魔術の素養を持つ者が多く、そういう人物は自身が魔境で魔物を倒す以外に、魔石を購入して魔術刻印を強化することも多いから需要が尽きないそうだ。

 というわけで、魔石はいつでもそれなりに高価な買取価格が設定されているために、ギーグのような便利な魔術を使えるだけの人間を強化していくよりも、お金に換えたほうがいいという意見もあり、ギーグ自身も稼げるならばそちらのほうがいいと思っているようだ。

 今回は、パーティーのリーダーが貴族家の三男だからこそ、魔石を売り払わずにブレナンが使っているんだろう。


 こうなると、パーティーを組んでの魔境探索をするなら、組む相手は慎重に選ぶ必要があるなと感じてしまった。

 というのも、俺は魔術を使えないし魔術刻印を持っていないけれど、魔石は自分で使いたいからだ。

 マジックバッグの容量を増やすのにも魔石が必要なのだ。

 だが、俺自身が魔術を使えないのであれば、パーティー内での魔石分配の序列では最下位になること間違いなしで、そうなると俺はいくら魔境を探索しても魔石を得ることができないということになる。

 だからといって、仮にマジックバッグのために魔石を譲ってもらえたとしても、パーティー解散後にマジックバッグの価値の高さでメンバーと揉めることになりそうな気もする。


 結構、大変そうだな。

 順調に魔境の森を進むブレナンパーティーを見ながら、俺は自分がどこかのパーティーに属して魔境を探索するのは厳しそうだと感じてしまったのだった。

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― 新着の感想 ―
バッグを育てるためには一人で戦うのが一番だけど 一人が珍しくないと良くも悪くも目を引くよねぇ バックの普及率次第だけど、育ったバッグは狙われるだろうし
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