パーティーメンバー
「よろしくおねがいしまーす」
ブレナンパーティーからの誘いを受け、魔境へ同行することになった。
その次の日には準備を整えて出発する。
基本的にはついて行ってトレントを見分けて接近する前に報告するだけだけれど、一応装備はしっかりと整えておく。
武器であるノクジルアックスや、森の中を移動するために藪を刈ることもあるだろうから鉈も持ち、念のためにナイフも装備しておく。
また、荷物用のウエストポーチ型マジックバッグのほか、トレントを倒したときに素材を少しでも多く持って帰ることができるように背負子も背負っている。
ブレナンとは事前に話をしていて、道中で薬草などを見つけたときには採取してもいいと許可を得たので、魔境では時間が許す限り採って帰っておきたい。
最近は薬草を調合して薬として販売していたが、森に入る探索者連中には採取がへたくそな奴もいて、状態がいい薬草を自分でも用意しておきたかったからだ。
「うん、よろしくね、少年。手、つなぐ?」
森の入り口で挨拶をした俺に対して護衛役のレイラがそう言ってくる。
木々が覆い茂る森の中では手をつないで移動なんてしにくいが、子どもの俺を安心させるために言ってくれているんだろうか。
深くとんがり帽子をかぶった少女はのんびりしている雰囲気を出しているために、どこまで深く考えての発言か微妙に判断に困る。
が、歩きにくさを感じるまでは手をつないでもいいだろうと、差し出された手を掴んだ。
柔らかな手だった。
重たいものを持ち慣れている手には思えない。
レイラは優秀な魔術師だと聞いているが、武器の類は持たないのだろうか。
「坊主、レイラのそばを離れずにしっかりとついて来いよ。ただ、疲れて歩けないと感じたらすぐに言え。無理についてきて邪魔になるくらいなら、トレントが出るエリアまでついてくる必要はねえからな」
俺がレイラと手をつないでいるのを見て、大男が声をかけてくる。
大きな盾を持ち、がっしりとした体格の男性だ。
俺は探索者のパーティーというのをしっかりと見たことはないけれど、重厚な金属の盾を持ち、全身鎧ではないけれど部分部分をしっかりと守る鎧を着たその姿から、このパーティーの盾役なのだろうと判断した。
前衛役の人の言うことはもっともだ。
というか、普通に考えて十にも満たない子どもの俺を一緒に連れていこうというほうがおかしい。
パーティーメンバーを守る役目を担うその男性からすれば、完全なお荷物が増えるだけだとしか思えないだろう。
まあ、俺だって森の中を歩くことは多いから、ついて行くだけなら体力は持つと思う。
気を付けますと元気に返事をしておいた。
魔王種を倒そうというブレナン率いるパーティーは俺を除いて合計六名編成だ。
盾役の大柄男性に、メインアタッカーのブレナン、後方支援の魔術師レイラ。
そのほかに、弓を持った索敵兼遊撃手のひげの男と双剣使いの女性がいる。
後のもう一人はいわゆるポーターと呼ばれる荷物持ちで、パーティーに必要な物資のほか、魔境で得た素材を持ち帰る担当のようだ。
ブレナンパーティーは主に魔王種を狙っているとはいえ、その道中ではたくさんの魔物を倒す。
それらの素材を持ち帰り、稼ぎを得るのはほかの探索者と変わらないようだ。
というか、思っていたより、みんな気さくなしゃべり方をしている。
男爵家の三男として礼儀正しい執事みたいな人がいるのかと思っていたが、どうやらこのパーティーのメンバーはブレナン以外は全員が庶民出身の探索者みたいだな。
危険な魔境を探索する以上、実力を見て集めたメンバーなのだろう。
そんなこんなでメンバー全員と顔合わせをして、挨拶も済ませた俺は、レイラに手を引かれながら森へと入って行った。
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