マジックバッグ
フクロフクロウの胴体にある袋を剥ぎ、洗浄して乾かすこと十日ほど。
冬場であることが関係して、乾かす工程には時間がかかった。
ここで焦ってはいけない。
失敗につながりかねないということで、ノクジル爺さんに言い聞かされた俺は、早く完成した鞄が見たいと思いつつも、日々を送り、そうしてようやく乾燥が終わった。
結果から言えば、時間がかかったのは乾燥工程だけで、その後の作業は意外なほど早かった。
というのも、俺が最初に予想していたのと鞄の作り方が違ったからだ。
俺はフクロフクロウの皮から革製の鞄を作るものだとばかり思っていた。
が、容量を拡張する機能は皮膚状の袋そのものにあり、それ以外のフクロフクロウの皮は別に重要ではなかったのだ。
つまり何が言いたいのかというと、鞄の外見的な部分、要するに、外側は別の動物の革で鞄を作り、その内側にフクロフクロウの皮膚袋を張り付けるようにすればよかったみたいなのだ。
言われてみれば、それでもいいのかと思うけれど、完全に魔物の革だけで作らなければならないものだと思い込んでいた。
外側は普通の動物の革でよく、そのための革は乾燥期間中にノクジル爺さんが用意してくれていたというおまけつきだ。
さすが師匠、抜かりがない。
「っていうか、すごいね。革製品まで作れるって」
「なあに、やってみれば覚えられるもんじゃよ。ほれ、ライ坊もこれから自分で革袋くらいは作れるようによく見ておくんじゃよ」
ノクジル爺さんが用意していた革を縫い合わせて立体的な形へと変えていく。
分類的にはウエストポーチになるだろうか。
大きさはそれほど大きくないが、すべての作りが丁寧で決して素人作品などには見えない。
革製品の良し悪しを見極める目は持っていないけれど、いい品だと思う。
大事にしなければ。
あれこれと俺に革の加工の仕方を教えてくれながら、まずは外側を作り上げ、そして、その内側にピタリと張り付けるように袋を収め、縫いつける。
決して皮膚が破けないように計算しながらやっているんだろう。
ていうか、よくもまあ詳細な設計図に描かずにこんなにピタリと合わせたものが作れるもんだ。
「これで、完成じゃ。どうじゃ、ライ坊? 気に入らんところがあれば手直しするが」
「まさか。全く問題なしだよ、ノクジルさん。ありがとう」
「ふぉっふぉっふぉ。そう言うてくれるなら本望じゃて。大事に使うんじゃぞ」
「もちろん。でも、これって結局どのくらいの荷物が入るんだろう? 生きていた時のフクロフクロウが中に詰め込んでいた量は最低でも入るって考えてもいいのかな?」
「そうじゃな。確かめてみん限りはっきりとはいえんじゃろうが、あの時に入っていた量くらいは入るはずじゃ。あとは、この鞄も成長させることができるぞい」
「成長? ノクジルアックスみたいに?」
「うむ。フクロフクロウの皮膚袋を使って作った容量拡張鞄は魔物から取れる魔石を使って性能を上げることができるという話を聞いたことがある。まあ、変化する量はさほど期待できんかもしれんが、鞄の中に魔石を入れてやればそのうち入れられる物の量が増えているかもしれん。そればかりは、わしも経験ないからわからんがな」
まじか。
容量は固定じゃないってことか。
じゃあ、なおさら冬の間は森の中で魔物でも退治しながら氷菓樹の実と魔石を確保しちゃおうかな。
なんにせよ、こうして俺はマジックバッグを手に入れたのだった。
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