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異世界に転生したけど、木こりをやってます ~斧と闘気で生きる辺境開拓ファンタジー~  作者: カンチェラーラ


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一人前

 新たに開発した外気功・属性強化。

 これは、それまでよりもさらに俺の仕事を効率化してくれることとなった。

 斧で木を伐るのもできるようになった。

 砥石で刃物を研ぐのも早く終えられるようになった。

 それ以外にも、俺の家のそばにある小さな畑を耕すのなども以前より簡単にできるようになったりもしている。

 自宅にある鍬は金属製なので、白(金)の気で強化すると耕しやすくなるのだけれど、それにプラスして土に対して弱点を突く関係にある木(青)の気で属性強化を行うことでさらに耕しやすくなったのだ。

 ほかにも、森で採取した薬草などをすりつぶすのも速く上手になった。

 すり鉢とすりこぎ棒を属性強化したのだ。

 土でできた陶器製のすり鉢は黄(土)、すりこ木棒は木(青)が基本属性だが、薬草は木属性なのでその弱点の白(金)の気を加える、なんて具合だ。


 属性強化は思った以上に活用法がありそうだ。

 特に、基本属性と弱点属性の組み合わせは、どちらの気をどの程度加えながら外纏を行うかでも効果が変わってくる。

 同じ気の量であっても各属性の配分を変えることで効果やその結果に違いが出るのは面白いと同時に難しいと感じる部分でもある。

 今後もそのバランスをうまくつかめるように試行錯誤が必要だろう。


 まあ、なんにしても、ノクジルアックスに対して外気功・属性強化を行うことで以前の外纏だけのときよりも木を伐りやすくなったのは間違いない。

 森の木の枝であれば、足場の悪い木の上からでも問題なく切り落とせるようになったし、地植えの木であっても、直径が太すぎなければ簡単に伐れるようになってきた。

 もちろん、木を何本も伐っているけれど、ノクジルアックスに刃こぼれはしていない。


「っふ!」


 両足を肩幅程度に開き、構えた斧を息を吐きながら振る。

 カンッという音とともに斧が木の幹に食い込み、追い口を作る。

 斧が動きを止めたのを確認し、無理な力を入れないように引き抜く。

 そして、すぐにその場を後退した。


「倒れるぞ!」


 ミシミシミシ……、ズドン。

 大きな音がして、木が倒れる。

 俺が木から離れたのを確認すると、ギルマスが大声で周囲に合図を飛ばした。

 その直後に木が倒れた。

 狙い通りに受け口を作った方向に倒れたため、その方向に人はおらずけが人などはなし。


「よし。木を伐るのがうまくなってきたな、ライゼル。最初は受け口や追い口を変な方向に作る癖があるから心配したもんだが、これなら大丈夫そうだな」


 俺が木を伐り終えたのを見て、ギルマスがそんなふうに声をかけてきた。

 どうやらギルマスから見ても、俺の木こりとしての腕はようやく及第点に届いたらしい。

 というのも、最初のころは受け口を作る場所を俺が指示通りにやらなかったことがあったからだ。

 それは、ノクジルアックスを気遣った結果だった。

 隕鉄製の斧という頑丈さに不安があるものを使っているので、そちらに負担がかからないように木の気の流れを確認し、気の流れが悪くなっている部分を狙って斧を当てていたから、指示された場所どおりに受け口を作れなかったのだ。


 これは結構問題行動である。

 森の中の現場を経験者として仕切ってくれているギルマスの言うことを聞かずに、勝手な方向に木を伐り倒す困った新人木こりが俺だったわけだ。

 悪いとは思っていたが、「そうしなければ伐れなかった」は言い訳にしかならないだろう。

 だが、それをようやく改善できた。

 外気功・属性強化を行うことである程度気の流れと完全に合致しなくても受け口や追い口を作れるようになり、狙い通りの方向に木を伐り倒すことができるようになったというわけだ。


「じゃあ、こないだ言っていたあれ、いいの?」


「ああ。これまでは俺が基本的に監督になって木こり仕事を教えて見守ってきたけど、これならライゼルをいっぱしの木こりとして扱ってもいいだろう」


「ほんとに? やったー」


「喜ぶのはいいが、調子に乗るのは駄目だぞ? なんだかんだ言って、木こりの仕事は危険があるのは間違いないんだからな。それにまだライゼルが伐ったことのある木の種類は限られているから、これからもっといろんな木を扱って経験を積む必要もあるんだからな」


「分かっているよ、ギルドマスター。気を付けて仕事はするからさ」


「そう願うよ。ま、なんにせよ、これからは誰と組んで木こりの仕事をしてもいいってこった。頑張って稼ぐんだな、若人よ」


「あざっす」


 ケイオス村の材木ギルドのマスターから一人前の木こりとして仕事ができることを認められた。

 これにより、まだまだ若輩者ではあるが、自由に仕事をしてもいいという許可を得られた。

 これからは、お目付け役のギルマスや父親がいなくても仕事ができる。

 頑張って稼ごう。

 もっともっとお腹いっぱいに食べられるように金を稼ごう。

 俺は周囲の木こりたちから温かな視線を受けながら、木こり見習いを卒業したのだった。

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