紙作り
伐採して丸太にしたカミマキは倉庫で保管されて乾燥を待つことになる。
が、そのまま放置するわけではなく、途中で一度加工が施されるらしい。
表面の木の肌を削り落として丸くしておく。
伐った木は意外と凸凹しているけれど、この加工を行うことでより丸太っぽい形になるわけだ。
そうして、加工されて半年乾燥させたカミマキは専用器具によって紙になる。
これは昔ノクジル爺さんが作った紙を作るためだけの道具で、丸太の両端で固定してハンドルを回すとクルクル回せるようになるようだ。
丸太の重さがあるためハンドルを回すにはかなりの力が必要となるが、回転を始めると、器具に取り付けられたスライサーの刃のようなところで木の表面がスライスされていく。
巨大なスライサーで大根のかつらむきをするように紙を作る工程は、なんともダイナミックだと思ってしまった。
というか、無駄が多い気もする。
最初の丸太に加工するときに削った部分は完全に無駄になるわけだし、巨大な機械でのかつらむきは丸太が一定の細さになると刃がうまく当たらなくなって紙を作れなくなる。
端材を細かく砕いて繊維にして、糊と一緒に水につけて漉いたら和紙みたいなものでもできないものかと思ってしまった。
まあ、そう思いはしたものの、特に提案するつもりはなかった。
無駄がありそうな紙作りではあるけれど、この専用器具を用いて作られたケイオス村の紙はそれなりに評価されていて、よその町でも需要がある。
ならばそれで十分だろう。
が、それはそれとして、カミマキの丸太から紙を作る工程で、一定の無駄が出ることがわかった。
そして端材となったカミマキも、専用器具ではこれ以上紙を削り出しにくいというだけで、端材を削れば紙を作り出すこともできるようだ。
要するに、余った端材をもらい、俺がそれを自分で削れば紙が手に入るということでもあった。
「これ、もらってもいいんだよね?」
「おう、いいぞ。どうせ、その端材は薪にするくらいだから、燃やして終わりだ。坊主が自分で加工して紙にしたいってんなら、持って帰ってもいいぞ」
「ありがとう。じゃあ、これもらっていくね」
カミマキを紙に加工している担当者に端材をもらう許可を得て、いくつかを手に取る。
俺はそれをノクジルアックスで削り、紙へと加工していく。
端材からの削り出しなので、紙の大きさが不揃いだけど、十分にメモ用紙として使えそうだ。
いままでは、学校で紙をもらったりしていたけれど、これならもっと気軽に紙を使えそうだな。
適当な大きさに切りそろえた用紙をまとめ、半分にして自分用のメモ帳を作った。
木こり仕事などで聞いた話をこれに書き留めておこう。
そんなことを思い、俺はズボンのポケットに入れて紙作りの見学を終えたのだった。
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